転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

242.出陣2

「おいおい、城に籠っていた人間どもが出て来たぞ。
あいつら、冬眠でもしてたのか」

「さあな、それよりカスじゃどうにもならんな。
もう少しましな魔物を召喚するか」

「ここまで来たとしてもどうにも出来ない。
それでも召喚するのか」

「ああ、雑魚が群がってきても面倒なだけだろ。
少しは戦いってもんを楽しみたいじゃねーか」

「あまり見くびるなよ。確かどっかの領で
上位魔人が殺されたらしいからな」

「最底辺の魔人を一匹、倒されたくらいでびびるなよ」

「召喚石も残りわずかだ。ここで使い切っても問題ないだろう」

3人の魔人が召喚石を投じて魔術を唱えた。
地に浮かび上がる魔術陣より数多くのオーガ、オーク、
トロル、ホブゴブリン等が現れた。

突如、現れた強力な魔物の前に
クリスチャンの指揮する軍は前進を遮られた。

　何度、突いても中々、死なずのそりのそりと
前進しながら、麾下の兵を鈍重ながらも
剛腕の一撃で叩き潰すトロルの一団に難儀していた。

「クリスチャン様、一旦、後退して態勢を
立て直さないと押し切られます」

部下の助言にクリスチャンも頷いたが、
前進を止めないトロルに思い切った後退を
することができなかった。
　ぼこぅ、べこ、ぶしゅうと嫌な音がそこかしこから
聞こえてくる。
兵の多くは恐怖に囚われ、申し訳程度に槍を
突き出すだけであった。

「おおおっトロルがいるぞー素材は後にしろ。
倒したら、魔石だけ取り出しておけ」
幾人かの歓声が後方で沸いていた。

「クリスチャン卿、一旦、退かれよ。
あの手の魔物は、我らクラン「黒曜の翼」の者が受け持つ。
魔犬や小鬼といったパーティによる攻撃の必要のない魔物を
攻撃してくれ」

本陣で遊軍の冒険者たちを動かしたようであった。
クリスチャンは、軍を再編成するべく、すばやく行動に移った。

「野郎ども稼ぎ時じゃー。各パーティで応戦しろ。
我らが神のお言葉も頂いている。奮起せよ」

アーロンとフレデリックの騎士団の一部は、
新たに現れた魔物の群れを突破し、
3人の魔人と対峙していた。

どう突破してきたのか分からないが、
いくつかの冒険者のパーティもいた。

「ほう、結構、突破してきたな。
おまえらは直接、手を下す価値がありそうだな」

「おい、王の言葉を忘れたか。
魔石を使い切ったら、撤収だ」

「うるせえよ。戻るなら、お前、一人で先に戻れよ。
上質な餌を前にはいそうですかと帰れるかよ」

「貴様、王の言葉を軽んじるのか」

「おまえら、二人は黙って見ていろ。俺一人でやる」

対峙する人間をじろりと睨みつけると、
大きく息を吸い、吐き出した。次の瞬間、
一人の騎士の身体が破裂した。