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222.輜重隊出征11
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凄まじい勢いで槍はシエンナに向かった。
槍は小さい水球に当たるとぽとりと落ちてしまった。
「先生、その格言は、本当だったんですね」
シエンナは納得した表情で小さい水球を
騎士目がけて投じた。
「痛いっ。いたっ、やめてくれ、いたっい」
水球が当たる毎に悲鳴を発する騎士。
最後は立って入れなくなり、地面に臥して、
ピクリとも動かなくなってしまった。
「尋問は北関の騎士団に任せるとしよう。
シエンナ、アルフレート様やヴェルの援護に
向かいなさい。
他の4人はここの防衛とこの男を拘束しなさい」
「えっと、先生は?」
「昼寝の時間です」
さも当たり前の様に答える剣豪に
シエンナは吹き出してしまった。
そして、一礼すると直ぐに戦場に向かった。
「ではみなさん、後はよろしく」
そう言い残して、剣豪は少し離れたところで
本当に眠り始めていた。
溢れ出た魔物の数は多かったが、
強い魔物は出現せず、数を減らしていった。
騎士団は、街道から外れて逃げ出す魔物を
敢えて追わずに対応していた。
「ふう、何とか凌いだな」
カリバーは、一息ついた。
疲れていたが、この血なまぐさい臭いと血に
誘われて魔物が集まることを考慮して、
移動を開始した。
「しばらく進んだら、今日はそこを宿営地とする」
その後、輜重は、北関まで滞りなく到着した。
北門の守備隊の歓声は凄まじく、大気を震わした。
まるで勝鬨のようであった。
ヴェルトール王国軍の士気は否応なしに上がっていた。
輜重の輸送を成功させた部隊の前で
レドリアン導師が労いの言葉と今後についての説明を
始めた。
「諸君、今回の輜重の輸送成功、大いに礼を言う。
して、今後についてだが、カルバー騎士団は王都に戻り、
再度の輜重の護衛任務に就いて貰う。
学院諸君は、北関に留まり、今後の反攻作戦に参加してもらう」
ざわめきが起こった。
そのざわめきを聞いたレドリアン導師の
柔和な表情が崩れ、酷く尊大な表情となった。
「君らは何か勘違いしていないか!
もはや軍属である以上、上官の指示は絶対だ。
それに許しがあるまで黙って聞きなさい。
配属は各々におって、伝える。以上だ」
レドリアン導師は踵を返して、
立ち去ろうとして、立ち止まった。
「誰だぁ。上官に向かって殺気を放った者は!
名乗り出ないなら、連帯責任として、全員を罰する」
ひょいっ、一人進み出た者がいた。
まったく詫びれる様子もなく、楽し気な様子であった。
その様子がレドリアン導師の怒りに拍車を
かけていることは明白であった。
槍は小さい水球に当たるとぽとりと落ちてしまった。
「先生、その格言は、本当だったんですね」
シエンナは納得した表情で小さい水球を
騎士目がけて投じた。
「痛いっ。いたっ、やめてくれ、いたっい」
水球が当たる毎に悲鳴を発する騎士。
最後は立って入れなくなり、地面に臥して、
ピクリとも動かなくなってしまった。
「尋問は北関の騎士団に任せるとしよう。
シエンナ、アルフレート様やヴェルの援護に
向かいなさい。
他の4人はここの防衛とこの男を拘束しなさい」
「えっと、先生は?」
「昼寝の時間です」
さも当たり前の様に答える剣豪に
シエンナは吹き出してしまった。
そして、一礼すると直ぐに戦場に向かった。
「ではみなさん、後はよろしく」
そう言い残して、剣豪は少し離れたところで
本当に眠り始めていた。
溢れ出た魔物の数は多かったが、
強い魔物は出現せず、数を減らしていった。
騎士団は、街道から外れて逃げ出す魔物を
敢えて追わずに対応していた。
「ふう、何とか凌いだな」
カリバーは、一息ついた。
疲れていたが、この血なまぐさい臭いと血に
誘われて魔物が集まることを考慮して、
移動を開始した。
「しばらく進んだら、今日はそこを宿営地とする」
その後、輜重は、北関まで滞りなく到着した。
北門の守備隊の歓声は凄まじく、大気を震わした。
まるで勝鬨のようであった。
ヴェルトール王国軍の士気は否応なしに上がっていた。
輜重の輸送を成功させた部隊の前で
レドリアン導師が労いの言葉と今後についての説明を
始めた。
「諸君、今回の輜重の輸送成功、大いに礼を言う。
して、今後についてだが、カルバー騎士団は王都に戻り、
再度の輜重の護衛任務に就いて貰う。
学院諸君は、北関に留まり、今後の反攻作戦に参加してもらう」
ざわめきが起こった。
そのざわめきを聞いたレドリアン導師の
柔和な表情が崩れ、酷く尊大な表情となった。
「君らは何か勘違いしていないか!
もはや軍属である以上、上官の指示は絶対だ。
それに許しがあるまで黙って聞きなさい。
配属は各々におって、伝える。以上だ」
レドリアン導師は踵を返して、
立ち去ろうとして、立ち止まった。
「誰だぁ。上官に向かって殺気を放った者は!
名乗り出ないなら、連帯責任として、全員を罰する」
ひょいっ、一人進み出た者がいた。
まったく詫びれる様子もなく、楽し気な様子であった。
その様子がレドリアン導師の怒りに拍車を
かけていることは明白であった。
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