転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

207.閑話 とある男の休日の情景1

清涼 喬史は、3連休の初日を一日中、
部屋で過ごしていた。
文字通り24時間ほとんど部屋にいた。
そして、ホームコンピュータの前で両手が休む間もなく、
キーボードを叩いていた。
昼頃までの彼は、快適な気分で
「ヴェルトール王国戦記」を楽しんでいた。
無料キャラガチャ、アイテムガチャの結果が
思いのほか良く、彼の気分は上々であった。

王国の舞台は、冒険者におあつらえ向きであった。
国内外に乱世の様相を醸し出し、魔物が蔓延り始め、
闇の勢力が蠢動していた。

動乱の刻を迎え、王国は混乱の極致に向かっていた。

「どちらにもキャラを振り分けておくかな。
N(ノーマル)ランクの奴らをクランから
両陣営に振り分けておくか。
こいつらならいくら消費しても問題ないし」
清涼は、一括命令でNランクのキャラに
命令を与えて、王国とダンブル陣営に振り分けた。

時計を見るともう、12時を回っていた。
そろそろ、昼飯の時間だなと思い、
一階のリビングに向かった。
両親の小言が色々とうるさいが、
自分で料理するのも外食するのも億劫だったため、
食事の席についた。

清涼は、食事・家賃込みで親には
3万円を毎月、手渡していた。
大学卒業後から今の会社で事務の仕事についていた。
父の伝手で何とか今の会社に採用されて、
特に出世しようとも結婚しようとも思わず、
日々、仕事とゲームの毎日を繰り返していた。
廃課金者ほどではないが、清涼もそれなりに
課金を繰り返していた。
毎日のログインと指示を欠かさず行い、
今では他のプレーヤーに一目置かれる存在であった。

両親の愚痴を聞き流し、ゲームを再開した。
チャットルームで莉々子、佐藤と会話を始めると
佐藤が無知ゆえの発言を繰り返し始めた。
「ったく佐藤さんもうざいない。
もっと勉強してから、発言して欲しいよな」
無論、そんなことは書き込まずに
ベテランプレーヤーとして、佐藤の態度を窘めてやった。
しかし、佐藤の言葉が事実と分かると、
清涼の顔は歪み、身体が小刻みに震えていた。
そして、無意識のうちに右の人差し指の爪を
噛んでいた。
適当にお茶を濁して、チャットルームを退出すると、
別のチャットルームで莉々子に出し抜かれないように
釘を刺した。

　それから、苛つきがどうにも収まらなかった。
こっちが何年もかけて、続けたゲームで
会敵すらしたことのない上位魔人撃破、
激レアのNPCオニヤ、それなりに有名どころの
NPCをチームに加えて、急速に力をつけていた。
しかも生成したキャラはSSR一名とか
ふざけているとしか思えなかった。