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187.中等部昇格試験8
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最終試験、オークの洞窟が開始された。
各チームに学院指定の騎士か戦士が同行していた。
講師の指示に従い、各チームが洞窟内へ向かった。
「おい、何で我々のチームだけ騎士見習いなんだ?
どういうことだ?」
ファブリッツィオは、近くにいる講師に
聞こえよがしに言った。
しかし、ヴェルやシエンナは、騎士見習いに対して、
不満を漏らすこともなかった。
無論、彼が信頼できる人物であり、
実力の程を知っているからであった。
「アルフレート、あの男は一体、
何をぶつくさと言っているのだ?」
ラムデールが騒がしい男の方を見ていた。
「聞いての通りさ。
他のチームが屈強そうな戦士だったから、
不満なんだろうね。
ストラッツェール家のご子息だから、
講師が忖度してくれると思ってたんじゃないかな」
誠一の説明にラムデールが笑ってしまった。
「確かに。
騎士見習いじゃな。
貴族様は、洞窟を探索するのは不安で一杯だろう。
しかし諦めの悪い男だな。
あれじゃ、評判を落とすだけだぞ」
誠一が何かを言おうとした時、彼等は呼ばれた。
薄暗い洞窟に向かう最後のチームであった。
「くそっ、こんな理不尽がまかり通るとは。
仕方ない。おい、そこの見習い。
さっさと明かりを持って、先頭を歩け」
事を荒立てるのが面倒であったため、
ラムデールは、明りを掲げて黙々と先頭を歩いた。
オークの洞窟は、既に広く知られており、
地図も充実していた。
洞窟内は、アリの巣のように広がっているだけだった。
最深部にはオークを統べる王が鎮座していたが、
倒されることはほとんどなかった。
オークの肉や素材、そして最深部の宝は、
魅力的であったが、洞窟より運び出すには、
骨の折れる仕事であった。
森や山で狩った方が洞窟より運搬の手間が
省けて効率的であった。
ヴェル、シエンナ、ラムデール、そして誠一は、
それなりに広い場所で、見事な連携により
最初に現れたオークを狩った。
彼らの連携についていけなかったファブリッツィオは、
剣を抜くだけで、その場から動けず、彼等の動きを
見守るだけであった。
「ファブリッツィオ、戦闘に参加しないなら、
せめて、そいつの胆だけでも抜き取ってくれよ」
ヴェルが彼に注文を付けた。
「くっ、おい、ラムデールとやら、さっさとやれ」
ファブリッツィオがぐずぐずしていると、
血の臭いに誘われて、オークが集まって来た。
「アル、囲まれる!一旦、ここから離れないと」
シエンナが、前方に炎の壁を展開した。
吸い込まれるような暗がりの中に明かりが燈ると、
そこには、オークの大軍が彼らの瞳に映し出された。
オークは、前進の歩みを遅らせたが、
薄い炎の壁を恐れずに彼らに近づいてきた。
各チームに学院指定の騎士か戦士が同行していた。
講師の指示に従い、各チームが洞窟内へ向かった。
「おい、何で我々のチームだけ騎士見習いなんだ?
どういうことだ?」
ファブリッツィオは、近くにいる講師に
聞こえよがしに言った。
しかし、ヴェルやシエンナは、騎士見習いに対して、
不満を漏らすこともなかった。
無論、彼が信頼できる人物であり、
実力の程を知っているからであった。
「アルフレート、あの男は一体、
何をぶつくさと言っているのだ?」
ラムデールが騒がしい男の方を見ていた。
「聞いての通りさ。
他のチームが屈強そうな戦士だったから、
不満なんだろうね。
ストラッツェール家のご子息だから、
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「確かに。
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しかし諦めの悪い男だな。
あれじゃ、評判を落とすだけだぞ」
誠一が何かを言おうとした時、彼等は呼ばれた。
薄暗い洞窟に向かう最後のチームであった。
「くそっ、こんな理不尽がまかり通るとは。
仕方ない。おい、そこの見習い。
さっさと明かりを持って、先頭を歩け」
事を荒立てるのが面倒であったため、
ラムデールは、明りを掲げて黙々と先頭を歩いた。
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洞窟内は、アリの巣のように広がっているだけだった。
最深部にはオークを統べる王が鎮座していたが、
倒されることはほとんどなかった。
オークの肉や素材、そして最深部の宝は、
魅力的であったが、洞窟より運び出すには、
骨の折れる仕事であった。
森や山で狩った方が洞窟より運搬の手間が
省けて効率的であった。
ヴェル、シエンナ、ラムデール、そして誠一は、
それなりに広い場所で、見事な連携により
最初に現れたオークを狩った。
彼らの連携についていけなかったファブリッツィオは、
剣を抜くだけで、その場から動けず、彼等の動きを
見守るだけであった。
「ファブリッツィオ、戦闘に参加しないなら、
せめて、そいつの胆だけでも抜き取ってくれよ」
ヴェルが彼に注文を付けた。
「くっ、おい、ラムデールとやら、さっさとやれ」
ファブリッツィオがぐずぐずしていると、
血の臭いに誘われて、オークが集まって来た。
「アル、囲まれる!一旦、ここから離れないと」
シエンナが、前方に炎の壁を展開した。
吸い込まれるような暗がりの中に明かりが燈ると、
そこには、オークの大軍が彼らの瞳に映し出された。
オークは、前進の歩みを遅らせたが、
薄い炎の壁を恐れずに彼らに近づいてきた。
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