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183.中等部昇格試験4
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実技、講義項目の昇級試験は終わると、
残りは迷宮探索のみであった。
初等部と違い、準備期間は短かった。
しかし、毎年、どの生徒もつかの間の休みで
英気を養い、探索に臨んでいた。
中等部の1年の昇級試験は、
誠一が総合でトップであった。
何とか首席の座を保ったが、
アルフレートの持つ知識では最早、
カバーすることが出来ず、
誠一も相当な時間を勉強に費やしていた。
次席のシエンナとの差は、
年々、確実に差が縮まっていた。
実技での評価の差が縮まれば、
首席の座から引きずり降ろされそうであった。
「これは来年、かなりやばいな。
今回の休暇は勉強と鍛錬に当てないと不味い」
誠一は焦りを感じながら、実技試験の内容を
確認するために移動した。
掲示されている最後の昇級試験の迷宮探索の内容は、
昨年から大きく変更となっていた。
掲示板の周りのざわめきは、順位表の周りより
はるかに大きかった。
・対象迷宮:オークの洞窟
・試験内容:各チームの学院生×2の
オークの肝を入手すること
・備考1:魔術院指定の戦士もしくは
騎士を一名、チームに加えての実施とする
・備考2:洞窟へ持ち込むアイテムに特に指定なし
その他、試験日等の告知や期間、
詳細の注意事項が記載されていた。
誠一が近づくと同級生たちは
一斉に彼の方を見た。
誠一は彼らの疑惑の視線が
何を意味しているのか理解していた。
おそらく先日の彼の発言であろう。
そして、彼が何らかの不正を
しているのではないかと疑惑の目を
向けているのだと思った。
逆の立場であっても同じことを疑うだろうと
誠一は思い、特に弁明も何も言わずに掲示板を
写し始めた。
「恥知らず」
どこからともなく、野次が飛んできた。
そして、続いて、いくつもの野次が飛んできた。
「きたねえぞ」
「そうまでして、首席を取りたいのか」
「卑怯者」
どの世界でも同じであった。
標的となるいじめの対象が必要になることは。
そして、貴族たちは、そうやって、
優越感に浸っているのだろう。
廃嫡という分かりやすい対象がいる分、
やりやすいのだろう。
如何に優秀であろうとも貴族社会での脱落者、
如何にあがこうとも貴族社会での負け組、
そして、この社会において、決して覆すことが
未来永劫できないと信じている貴族階級の子弟たち、
実に分かりやすい構図であった。
誠一は特に言い返すこともせずに
必要事項を書き留めると、掲示板から離れた。
残りは迷宮探索のみであった。
初等部と違い、準備期間は短かった。
しかし、毎年、どの生徒もつかの間の休みで
英気を養い、探索に臨んでいた。
中等部の1年の昇級試験は、
誠一が総合でトップであった。
何とか首席の座を保ったが、
アルフレートの持つ知識では最早、
カバーすることが出来ず、
誠一も相当な時間を勉強に費やしていた。
次席のシエンナとの差は、
年々、確実に差が縮まっていた。
実技での評価の差が縮まれば、
首席の座から引きずり降ろされそうであった。
「これは来年、かなりやばいな。
今回の休暇は勉強と鍛錬に当てないと不味い」
誠一は焦りを感じながら、実技試験の内容を
確認するために移動した。
掲示されている最後の昇級試験の迷宮探索の内容は、
昨年から大きく変更となっていた。
掲示板の周りのざわめきは、順位表の周りより
はるかに大きかった。
・対象迷宮:オークの洞窟
・試験内容:各チームの学院生×2の
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・備考1:魔術院指定の戦士もしくは
騎士を一名、チームに加えての実施とする
・備考2:洞窟へ持ち込むアイテムに特に指定なし
その他、試験日等の告知や期間、
詳細の注意事項が記載されていた。
誠一が近づくと同級生たちは
一斉に彼の方を見た。
誠一は彼らの疑惑の視線が
何を意味しているのか理解していた。
おそらく先日の彼の発言であろう。
そして、彼が何らかの不正を
しているのではないかと疑惑の目を
向けているのだと思った。
逆の立場であっても同じことを疑うだろうと
誠一は思い、特に弁明も何も言わずに掲示板を
写し始めた。
「恥知らず」
どこからともなく、野次が飛んできた。
そして、続いて、いくつもの野次が飛んできた。
「きたねえぞ」
「そうまでして、首席を取りたいのか」
「卑怯者」
どの世界でも同じであった。
標的となるいじめの対象が必要になることは。
そして、貴族たちは、そうやって、
優越感に浸っているのだろう。
廃嫡という分かりやすい対象がいる分、
やりやすいのだろう。
如何に優秀であろうとも貴族社会での脱落者、
如何にあがこうとも貴族社会での負け組、
そして、この社会において、決して覆すことが
未来永劫できないと信じている貴族階級の子弟たち、
実に分かりやすい構図であった。
誠一は特に言い返すこともせずに
必要事項を書き留めると、掲示板から離れた。
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