転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

174.閑話とある外食での情景2

ある程度、お腹が満たされると
千晴は、「ヴェルトゥール王国戦記」を開いた。
どうやら誠一たちは、迷宮を攻略しているようだった。

ヴェル、シエンナ、そして、ラムデールという
いつものメンバーだった。
あれれっ、確かよく誠一に絡んでくるイケメン貴族も
一緒にいる。
千晴は、キャラの詳細を確認するために
鑑定眼を使用した。
彼は素性を特に隠す気はないようで、
簡単に見ることが出来た。
ストラッツェール家の次男ファブリッツィオ。
騎士の素養と魔術師の素養を伸ばすべく、
魔術院に入学し直した。
その文章を読み、千晴は一体、このゲームにおいて、
魔術師とは何なんだろうと疑問に思ってしまった。
一人は槍の様なものを振り回し、一人は、鎧を身に付け、
剣を振り回し、一人は、メイスを振り回す。
シエンナ以外に魔術師のようには到底、見えなかった。

それにしても迷宮を探索しているようなのに
盗賊、シーフといった類のキャラクターが
いないのも不思議であった。
罠とかどうしているのだろう、少し心配になった千晴は、
適当に毒消し草と回復薬、松明を送った。

突然、現れたアイテム群に彼らは大混乱に陥っていた。
シエンナは両膝をついて、祈り出した。

この娘は聖女だっ！

祈る姿がめっちゃ絵になっている。
騎士様二人の敬礼も絵になっているな。
ヴェルたちもどうやらお礼を言っているようだった。
騒ぎに反応した魔物が誠一たちに近づいたが、
祈りを妨げられたシエンナの激怒に触れて、
一瞬で死骸と化していた。
その形相に驚いた千晴は、心の中で前言撤回した。
ふと、誠一の方を見ると、訝し気な表情であった。

パチパチと打ち込む。

『迷宮の攻略なのにシーフや忍者がいないので、
罠とか危険ですよ。
役立ちそうなものを引き当てたので、送ります』

『ありがとうございます。
ところで、プレーヤーイベントは
かなり進んでいますか？
迷宮攻略はあまりしていなかったので、
そちらのイベを進める様にします。
討伐イベは前回の休暇でかなり進んだと思います。
プレーヤーイベントで進めたいものがあれば、
言ってください。
出来る限り優先的に進めます』

この人、もしかして私よりゲームに
詳しいのかもしれない。
デザートの杏仁豆腐を食べながら、誠一の言葉を読んだ。

『わかりました。お願いします。
では、気を付けて攻略を進めてください』
一旦、会話を切って、ビールを飲み干す千晴だった。

会計を済ませて、中華屋を出るとまたも視線を
感じて、きょろきょろするが、
視線の先を見つける事は出来なかった。

気のせいと思い、書店へ向かった。