転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

147.遠征6

「はいはい、二人とも時間が惜しいでしょ。
その位にして、急ぐよ」
ヴェルと誠一の掛け合いにシエンナが
ため息をついて、魔術をかけ始めた。

魔術の効果を感じた誠一は、
凄まじい速度で走り去っていった。

「おおっすげーな！何とかなりそうじゃね」
砂塵を巻き上げる程の誠一の走りに
ヴェルが驚きの声をあげた。

「そんなことどうでもいいから、
早くこの不味い液体を飲み干して！
私たちも早く合流するわよ。
神託に背くは、すなわち死！
教導師団がうるさいわよ。
まずっ、何でこんなにまずいのよー」

飲み干したシエンナの可愛い顔が
苦さでもなく辛さでもなく、まずさで歪んでいた。

「くっそ！魔晶をもっと用意しとくべきだったよな、
ゲロゲローまっず！」
ヴェルもまずさに顔を歪ませた。

「魔晶は戦闘時に使って！
こんなの戦闘中に飲めないでしょ！
不味過ぎて隙が出来るわよ」

二人は魔力が回復してくるのを感じながら、
嫌々ながらも二本目を手にした。

誠一の視界がキャロリーヌと
2匹の魔物の姿を前方に捉えた。
キャロリーヌも魔物も立ち上がってはいるが、
お互いにふらふらとしていた。

誠一は、最大速度で彼らの間に割って入った。
「キャロリーヌさん、大丈夫ですか？」

「魂を削るくらいの大技だったから、
ちょっと、ヘロヘロかな。
襲うなら、いまだよ、チャンスだし、アル君！」

「キャロリーヌさん、それは少し誇張し過ぎでしょう」

ヘロヘロながらも軽口を叩く余裕があるキャロリーヌに
誠一は安心した。

眼前の魔物たちはかなりの怪我を
負っていたが、涎を垂らしながら、
下腹部を腫らしふらふらとしていた。
死に際のせいで生殖本能が刺激された上に
キャロリーヌの魅力で欲情が正直に
働いているのだろうと誠一は判断した。
げに恐ろしきはキャロリーヌの色気かと思った。

死にぞこないのオーガとゴブリンマスター、
強化された誠一にとって問題ならない魔物たちであった。

「アル君、気分は大丈夫？」
先日のことがあったためにキャロリーヌが気遣った。

「ええ、何か色々と吐き出せて貰って、
こいつらを前にしても大丈夫そうです。
それにあなたの前でカッコ悪いところは
見せたくないでしょう！」
普段は、両手で振り回すメイスを
右手で力任せに振り回し、二匹の魔物を叩き潰した。

魔物たちは即死だった。

「ちょっと、いくら強化されているとはいえ、
このひしゃげ方は、あり得なくない」

誠一はメイスを手放し、
ふらつくキャロリーヌの腰に
手を回し、引き寄せた。
そして、キャロリーヌを強引に抱き寄せた。
キャロリーヌの豊かな胸が誠一の身体に密着した。

誠一は場所も弁えずに興奮してしまった。