転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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142.遠征1

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テルトリアに到着し、誠一たちは、
次の討伐地の検討を始めた。

「おい、ラムデール。
普段からここら辺はこんなに魔物が徘徊してるんか?
流石に伯爵家の騎士が出征中とはいえ、多過ぎじゃね?」
ヴェルが率直な感想を述べると、
シエンナやキャロリーヌも似たような感想を述べた。

「ふむふむ、確かにそうですな。多過ぎます」
簡単な地図に討伐依頼の出されている地域と
討伐した場所を書き込み、考え深げに地図と
にらめっこをする剣豪であった。

「先生、このポイントだけ妙に少なくないですか?」
ラムデールの指摘したポイント付近の村だけ、
討伐依頼が確かに少なかった。

「ふむ、この付近の討伐に明日から向かいますかね。
何かわかるかもしれません。
少し遠いですが、道中で討伐をしながら、
向えば訓練にもなるでしょう。
アルフレート様、大丈夫そうですか?」
誠一は自分でも分からず、曖昧に頷いた。

「よろしい。多分、大丈夫でしょ。
随分とすっきりした表情に見受けられますので。
では、本日は解散でよろしく」
剣豪は手を振りながら、ラムデールと
エスターライヒ家の屋敷に戻った。

誠一は明日の準備をするためにモリス家から
借りた部屋に戻った。

部屋のドアはしっかりと閉じたはずであったが、
いつの間にか背後に人が立っているのを感じた。
物音一つしなかった。
気配も全く感じなかった。
誠一は背中に短刀の切っ先を感じていた。
「スターリッジだろう。何のつもりだ?」

「ふん、このまま、刺してもいいんだがな。
商館の一室が貴様の血で汚れるのもうっとうしい」

誠一は額に汗が流れるのを感じた。
スターリッジが自分を敵視しているのは
その態度と言動で分かっていた。
答えを違えば、背中の短刀が
深く突き刺さることは十分すぎる程、知っていた。

「おまえは、一体、何者だ!
アルフレートではないな。
エスターライヒ家の屋敷のメイドの件といい、
昨夜のあの女との件といい、
俺の調べたアルフレートの人物像との乖離が
大きすぎるんだよ」

誠一は、昨夜のあの行為を観察されていたとは
全く思っておらず、動揺してしまった。
動揺を悟られまいとしたが、無駄であった。

「おいおい、あの女は観察されていたことを
承知でしていたぞ。無論、あの先生も観察していたぞ」

誠一の動揺は更に大きくなり、
額を流れる汗は滝のようであった。
「何が目的だ、スターリッジ?」

「ああっ、目的?おまえは一体何者だ、それを教えろ。
それだけだ。それと、お嬢様には手を出すな。
守れるなら、一つ忠告してやろう。
あの女は男にとって毒だ、せいぜい、
快楽、享楽の波に呑まれない様にするんだな」

少し刃が肉に刺さり、背中から血が流れ出した。
「忠告はした。あとはお前次第だ」

誠一が振り向くと、スターリッジはいなかった。
音もなく消えていた。
ドアも開いた気配はなく、誠一が部屋に
戻った時と変わらずであった。
スターリッジなど初めからいなかったのかも
しれないと誠一は思ったが、床に滴る自分の血と
背中の痛みが、それを否定していた。

「くそっ、いったいどうしろってんだよ」
呟くと、背中を止血するために上着を脱ぎ、
自分で治療を始めた。
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