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135.次の訓練7

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キャロリーヌとシエンナの目に誠一が映った。
川べりでラムデールと上半身裸で組み合っていた。
何というか、淫靡な光景に二人は絶句した。

シエンナの顔は真っ赤になっていた。

キャロリーヌは呆れていた。

「ヴぇエル、見せたいのはアレのこと?」
キャロリーヌの目が笑っていなかった。

「おう、そうだ。シエンナ、頼む。
探知魔術でアルに妙な魔術がかかってないか
チャックしてくれ」

ふう、一息ついたキャロリーヌが
ラムデールと誠一を引き剥がした。
「キャロリーヌさん、駄目です。
アルフレートがまた、ごしごしはじめてします」

「ふううっ、ラムデール。
それよりあんたとアル君が密着してる方が
気味悪いって。
それともそっちの趣味があるのかしら。
ほら、アル君を川から引きずり出すわよ、手伝いなさい」

ラムデールの顔は真っ赤になっていた。
彼は無言でキャロリーヌを手伝った。
誠一は、特に抵抗する訳でもなく、
川から引きずり出された。

誠一の様子にシエンナは酷く動揺していたが、
すべきことはした。
「魔術の痕跡はないわ。
このまま濡れたままだと、体力も失われるし、
宿営地に向かいましょう。
それから、事後については話し合いましょう」

ヴェルとラムデールがキャロリーヌに代わり、
誠一の両側から抱えて、宿営地に向かった。

誠一の様子を見た剣豪とスターリッジは、
驚く様子もなかった。

剣豪は誠一に近づくと、徒手による一撃を加えて、
昏倒させた。
ふと、シエンナはキャロリーヌの川べりでのことを
思い出していた。
彼女も驚く風もなく、冷静に対処していた。

「ちっ、これだから貴族の坊ちゃまは!」
スターリッジが吐き捨てるように呟いた。

「ふむ、これは意外でした。
アルフレート様がこのようになるとは」
剣豪の言葉にヴェルが反応した。

「それってどういうことだよ。
アルは大丈夫なのかよ」
剣豪は鼻歌交じりに言った。

「さあ?知らぬ。アルフレート様次第でしょうね」

「ちょっと、それってどういう意味よ。
あなた、アルの先生でしょ。心配じゃないの?」
シエンナがアルの身体を拭いながら、
鋭い声で問い詰めた。

「お嬢様、落ち着いてください。
この男は魔物とは言え、あまりに多くの
死に中てられたのです。
我々はいくら魔物を屠っても悩むことはないでしょう。
無論、生物を殺す以上、なんらかの抵抗は
あるでしょうが、忌避、拒絶する意識が
罪悪を心から自然に追いやります」

「何よスターリッジ!アルが優し過ぎるってこと?」
シエンナがスターリッジに鋭い声で問い詰めた。

「いえ、この男の魔物への認識がズレているのか、
もしくは生来、ああいった殺戮の状況に
向いてないのか、それは何とも言えません」

剣豪は、スターリッジの言葉に続けた。
「例え憎むべき魔物であれ、
こういった殺伐した状況に耐えられない人が
稀にいるのです。
まさか、それがアルフレート様だとは
思いもよりませんでしたけどね」

シエンナ、ヴェル、そしてラムデールは、
彼等の話を聞き、押し黙ってしまった。
暗がりが支配し始めた森の中に重苦しい沈黙が
支配していた。
時節、パチパチと薪の弾ける音がした。

 誠一はたまに苦しそうに顔を歪ませ、
額に汗を流した。
その度にシエンナが心配そうに汗を拭った。
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