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121.閑話 とあるチャットルームでの情景
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千晴はこのところ毎日、マンションの部屋に戻ると、
コンピュータを立ち上げ、
『ヴェルトゥール王国戦記』をプレイしていた。
ビールを片手にゲーム機能を利用しながら、
莉々子や清涼と情報交換をしていた。
流石に休日の昼間は掃除や洗濯、買い物で
それなりに忙しく過ごすが、時間が空けば
コンピュータで誠一をモニターしていた。
「綺麗、クリスタルかな」
誠一とファウスティノの会話を流し読みしながら、
モニターに映る幻想的な風景を鑑賞していたが、
誠一がクリスタルに近づくと千晴はぎょっとしてしまった。
「なっ中に人がいる?
確かリシェーヌじゃなかったかな」
一糸纏わぬ姿のリシェーヌがクリスタルの中にいた。
誠一が何か話しかけているが、全く無反応であった。
どうやら復活にエリクサーが必要らしいことは
千晴にも理解できた。
「エリクサーねぇ」
モニターの前でぽつりと呟いていた。
彼女はゲーム内のチャット機能で清涼と莉々子に
尋ねてみた。
あいにくと莉々子は不在であったが、清涼には繋がった。
「エリクサー?通常時は無理無理。
そもそも無課金じゃ絶対に当たらないよ。
通常排出率0.001%、イベント時に数万の課金で
あたるかもって感じだよ。
復活させたいキャラでもあるの?
S級の迷宮にあるらしいけど、
噂だと毒薬があったとかないとか。
ところで愛しのアルフレート君はどこにいるのかな?」
「よくわからないけど、
『深淵の廻廊』とかいう洞窟。
有名なの?」
「いや知らない。
それどこにあるのか分かる?」
「途中からだったから、彼がどこからそこへ
行ったか分からないのよ」
「ふーん。そうなんだ。
わかったら、教えて。
ちょっとどんな所か調べてみるよ」
「こんば!ごめん、千晴。
ちょっと買い物に出ていた!
( ,,`・ω・´)ンンン?エリクサー!
もしかして、千晴もついに課金する気なんだ」
「いやそんな気はないけど、
アルフレートがどうしても
必要って話してたから、ちょっと気になっただけ」
「おい、莉々子。
『深淵の廻廊』って知ってるか?
裏イベ情報とかで流れてない?」
「さあ、知らない。新しい迷宮?」
「だよな」
「二人ともごめんね。
二人が知らないってことは
読み間違いかもしれない」
「似たようなのは境界線の先に
あったような気がもするけど」
「あーそうだな。
でもあそこにアルフレート一人で
向かうのは無理だろ」
「そだね。
私たちでもかなりしんどいし、
聞き間違えじゃない。
それより清涼はどっちに与するの?ダンブル派?
それとも王国派?まさかの独立勢力?」
「あー悩み中。
意外とダンブルも粘るよな」
チャットも内容は次第にアルフレートから
離れていき、現在のイベントの話にシフトしていた。
千晴は適当にお茶を濁しながら、
次第にROM状態になり、うとうとし始めて、
いつの間にか寝落ちしていた。
別のチャットルームにて
「莉々子、勇者フリッツの行方を知らないか?
情報あれば、買うぞ」
「私の方には何も情報は入ってこないわ」
「くそっ、有力な勇者候補が
何人か確保できているのに
あいつが生きている限り無理じゃんかよ」
「ねえ、清涼。
それよりさっきの千晴の言っていた『深淵の廻廊』って何?
千晴が中二病のように名もなき迷宮に
命名しているとは思えないけど」
「さあな、恐らく王都近郊にあるんじゃないか?
俺は王都の地下にあるんじゃないかと睨んでいる。
衛兵から得た情報だとリシェーヌが先の反乱で
死んだらしい。
恐らくそこへ遺体が安置されていて、
アルフレートが復活を
させてたがっているんじゃないかな」
「あららっ愛しのアルフレート様の浮気ね。
千晴、嫉妬してるんじゃない?」
「そんなこと知るか。
確か『神々への反逆者』のスキルを持っているから、
キャラクターとの会話が成立してるんだろ。
それで何となく愛着が湧いて、協力したくなったとか」
「しかし千晴もどんな鬼畜な指示を
続けたのかしらね。
ゲームキャラとは言え、
あの歳でその称号を得るとか、普通ないし。
そもそもあの称号自体、稀でしょ」
「確かに佐藤さんがどんなことを
書き込んだかは興味あるよな。
意外とSっ気が強いのかも。
島崎はそれを見抜いていて、
いじめられたかったのかもな」
「あー確かに島崎ならあり得そう。
あいつ、結構な体躯の割にあの顔が見るからに
M体質そうだしね」
二人の会話はいつの間にか
ゲームの攻略情報から会社の愚痴に変わっていた。
コンピュータを立ち上げ、
『ヴェルトゥール王国戦記』をプレイしていた。
ビールを片手にゲーム機能を利用しながら、
莉々子や清涼と情報交換をしていた。
流石に休日の昼間は掃除や洗濯、買い物で
それなりに忙しく過ごすが、時間が空けば
コンピュータで誠一をモニターしていた。
「綺麗、クリスタルかな」
誠一とファウスティノの会話を流し読みしながら、
モニターに映る幻想的な風景を鑑賞していたが、
誠一がクリスタルに近づくと千晴はぎょっとしてしまった。
「なっ中に人がいる?
確かリシェーヌじゃなかったかな」
一糸纏わぬ姿のリシェーヌがクリスタルの中にいた。
誠一が何か話しかけているが、全く無反応であった。
どうやら復活にエリクサーが必要らしいことは
千晴にも理解できた。
「エリクサーねぇ」
モニターの前でぽつりと呟いていた。
彼女はゲーム内のチャット機能で清涼と莉々子に
尋ねてみた。
あいにくと莉々子は不在であったが、清涼には繋がった。
「エリクサー?通常時は無理無理。
そもそも無課金じゃ絶対に当たらないよ。
通常排出率0.001%、イベント時に数万の課金で
あたるかもって感じだよ。
復活させたいキャラでもあるの?
S級の迷宮にあるらしいけど、
噂だと毒薬があったとかないとか。
ところで愛しのアルフレート君はどこにいるのかな?」
「よくわからないけど、
『深淵の廻廊』とかいう洞窟。
有名なの?」
「いや知らない。
それどこにあるのか分かる?」
「途中からだったから、彼がどこからそこへ
行ったか分からないのよ」
「ふーん。そうなんだ。
わかったら、教えて。
ちょっとどんな所か調べてみるよ」
「こんば!ごめん、千晴。
ちょっと買い物に出ていた!
( ,,`・ω・´)ンンン?エリクサー!
もしかして、千晴もついに課金する気なんだ」
「いやそんな気はないけど、
アルフレートがどうしても
必要って話してたから、ちょっと気になっただけ」
「おい、莉々子。
『深淵の廻廊』って知ってるか?
裏イベ情報とかで流れてない?」
「さあ、知らない。新しい迷宮?」
「だよな」
「二人ともごめんね。
二人が知らないってことは
読み間違いかもしれない」
「似たようなのは境界線の先に
あったような気がもするけど」
「あーそうだな。
でもあそこにアルフレート一人で
向かうのは無理だろ」
「そだね。
私たちでもかなりしんどいし、
聞き間違えじゃない。
それより清涼はどっちに与するの?ダンブル派?
それとも王国派?まさかの独立勢力?」
「あー悩み中。
意外とダンブルも粘るよな」
チャットも内容は次第にアルフレートから
離れていき、現在のイベントの話にシフトしていた。
千晴は適当にお茶を濁しながら、
次第にROM状態になり、うとうとし始めて、
いつの間にか寝落ちしていた。
別のチャットルームにて
「莉々子、勇者フリッツの行方を知らないか?
情報あれば、買うぞ」
「私の方には何も情報は入ってこないわ」
「くそっ、有力な勇者候補が
何人か確保できているのに
あいつが生きている限り無理じゃんかよ」
「ねえ、清涼。
それよりさっきの千晴の言っていた『深淵の廻廊』って何?
千晴が中二病のように名もなき迷宮に
命名しているとは思えないけど」
「さあな、恐らく王都近郊にあるんじゃないか?
俺は王都の地下にあるんじゃないかと睨んでいる。
衛兵から得た情報だとリシェーヌが先の反乱で
死んだらしい。
恐らくそこへ遺体が安置されていて、
アルフレートが復活を
させてたがっているんじゃないかな」
「あららっ愛しのアルフレート様の浮気ね。
千晴、嫉妬してるんじゃない?」
「そんなこと知るか。
確か『神々への反逆者』のスキルを持っているから、
キャラクターとの会話が成立してるんだろ。
それで何となく愛着が湧いて、協力したくなったとか」
「しかし千晴もどんな鬼畜な指示を
続けたのかしらね。
ゲームキャラとは言え、
あの歳でその称号を得るとか、普通ないし。
そもそもあの称号自体、稀でしょ」
「確かに佐藤さんがどんなことを
書き込んだかは興味あるよな。
意外とSっ気が強いのかも。
島崎はそれを見抜いていて、
いじめられたかったのかもな」
「あー確かに島崎ならあり得そう。
あいつ、結構な体躯の割にあの顔が見るからに
M体質そうだしね」
二人の会話はいつの間にか
ゲームの攻略情報から会社の愚痴に変わっていた。
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