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107.新学期2
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誠一の周囲は静かなままであった。
いつの間にかファブリッツィオもいなくなっていた。
その沈黙を破る二人の足音が誠一の側に近づいて来た。
「アル、おまえ、本当にリシェーヌのこと、
知らないのか?
ファブリッツィオじゃないけど、
話せることだけでも話せよ。
おまえ、反乱のあった頃から少し変だぞ」
「ほんと、ヴェルの言い草が的を得る日が
来るなんて!アル、何を焦ってるのよ」
リシェーヌがいなくなって、
ヴェルとシエンナが彼に遠慮していたことを聞いた。
二人は心配そうな眼差しで誠一を見つめていた。
世界の住人をNPCと見なして、隔意をもって
接するように努めようとしていた誠一であったが、
どいつもこいつも妙に人間臭く、
そして、向けられる感情はプログラムされたものだと
思おうとしたが、無理であった。
二人の視線を受け止めると、誠一は瞳に涙が
溜まっていた。上手く誤魔化そうとして、
右腕で拭った。
「くそっ、ファブリッツィオの奴が体格にものを
言わせて、押し込むから、結構、汗が出たみたいだ」
「ぷっ、アル!なんだよそれ。
全然、誤魔化しきれてないじゃん。
泣きたきゃ泣けよ。
俺だって、始まりの迷宮で死にそうになった時、
泣き叫んだぞ。気にすんな」
にやつくヴェルの腿に膝蹴りを
加えるシエンナだった。涙目のヴェル!
「ふううっ。この手の突っ込みはやはり、
リシェーヌね。
慣れないことはすべきじゃないや。
アル、本当に話せることだけでいいよ。
どうせ学院長絡みなら、話すのは無理でしょうから。
でもあなたとリシェーヌの力になりたいことは
嘘じゃない」
シエンナはそう言うと、背伸びをして、
誠一の頭を撫でた。
「二人ともありがとう。
いままで素っ気なくしてごめん。
気分が落ち着いたら話すよ。
次の講義に行こう。
遅刻で減点される訳にはいかない」
「うん、そうだね。
その前にアルは鼻をかんだ方が良さそうだね」
シエンナがハンカチを差し出し、
誠一に手渡した。
誠一は素直に受け取った。
ヴェルは両手を大きく上げて、
大きなため息をついた。
「やれやれ、何を思い悩んでいたか後で
教えて貰うとして、あの眠気を誘う講義を
聞きに行きますか」
ヴェルの物言いに誠一もシエンナもくすりと笑った。
一日の講義が終了して、誠一は、
ヴェルとシエンナの二人を伴って、
空いている講義室に向かった。
室内で二人と向き合う誠一は、
さて、どこまで話したものかなと思案していた。
誠一の言葉を待つ二人は、無言であった。
そして、その表情は真剣そのものであった。
いつの間にかファブリッツィオもいなくなっていた。
その沈黙を破る二人の足音が誠一の側に近づいて来た。
「アル、おまえ、本当にリシェーヌのこと、
知らないのか?
ファブリッツィオじゃないけど、
話せることだけでも話せよ。
おまえ、反乱のあった頃から少し変だぞ」
「ほんと、ヴェルの言い草が的を得る日が
来るなんて!アル、何を焦ってるのよ」
リシェーヌがいなくなって、
ヴェルとシエンナが彼に遠慮していたことを聞いた。
二人は心配そうな眼差しで誠一を見つめていた。
世界の住人をNPCと見なして、隔意をもって
接するように努めようとしていた誠一であったが、
どいつもこいつも妙に人間臭く、
そして、向けられる感情はプログラムされたものだと
思おうとしたが、無理であった。
二人の視線を受け止めると、誠一は瞳に涙が
溜まっていた。上手く誤魔化そうとして、
右腕で拭った。
「くそっ、ファブリッツィオの奴が体格にものを
言わせて、押し込むから、結構、汗が出たみたいだ」
「ぷっ、アル!なんだよそれ。
全然、誤魔化しきれてないじゃん。
泣きたきゃ泣けよ。
俺だって、始まりの迷宮で死にそうになった時、
泣き叫んだぞ。気にすんな」
にやつくヴェルの腿に膝蹴りを
加えるシエンナだった。涙目のヴェル!
「ふううっ。この手の突っ込みはやはり、
リシェーヌね。
慣れないことはすべきじゃないや。
アル、本当に話せることだけでいいよ。
どうせ学院長絡みなら、話すのは無理でしょうから。
でもあなたとリシェーヌの力になりたいことは
嘘じゃない」
シエンナはそう言うと、背伸びをして、
誠一の頭を撫でた。
「二人ともありがとう。
いままで素っ気なくしてごめん。
気分が落ち着いたら話すよ。
次の講義に行こう。
遅刻で減点される訳にはいかない」
「うん、そうだね。
その前にアルは鼻をかんだ方が良さそうだね」
シエンナがハンカチを差し出し、
誠一に手渡した。
誠一は素直に受け取った。
ヴェルは両手を大きく上げて、
大きなため息をついた。
「やれやれ、何を思い悩んでいたか後で
教えて貰うとして、あの眠気を誘う講義を
聞きに行きますか」
ヴェルの物言いに誠一もシエンナもくすりと笑った。
一日の講義が終了して、誠一は、
ヴェルとシエンナの二人を伴って、
空いている講義室に向かった。
室内で二人と向き合う誠一は、
さて、どこまで話したものかなと思案していた。
誠一の言葉を待つ二人は、無言であった。
そして、その表情は真剣そのものであった。
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