転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

101.乾いた感情2

誠一は魔術院に向かった。
街中は、比較的落ち着いた雰囲気であったが、
どの家々も開いている扉、窓なく、
追い込まれた反逆者たちが討ち取られる悲鳴が
時節、聞こえてきた。

　魔術院の外観は普段と変わらぬ雰囲気であった。
誠一は護衛の3人へ屋敷に戻るように指示を出し、
その後、学院長室に向かった。

階段を上がっていくが、一階ほどに
荒れた様子は無かった。
ここを襲撃した者たちはどこに向かったのか、
若干、興味があったが、ファウスティノから
語らせれば良いと思い、そのまま階段を上がった。

前回と違い、駆け上がることなく、
ゆっくりと歩いて上がった。
歩きながら、色々な事を考えてしまい、
学院長室のドアの前にたどり着くまでに
考えが纏まらなかった。

前回と同様に深呼吸を一つすると、
ドアをノックした。

「アルフレート・フォン・エスターライヒです。
お話があって参りました」

「入り給え」

一言であったが、前回と同様に普段の口調と
全く異なる声が室内から聞こえてきた。
しかし、その一言が誠一を緊張させることは無かった。

「私は忙しい。手短に頼むよ」
重苦し雰囲気の中で以前と同様の言葉を
放つファウスティノであった。
誠一を見つめる眼光は鋭く、声は冷たい。

「学院長、あなたの知りうる神々について
お話しください。
それと蛇足になりますが、リシェーヌが
どうなったか教えてください」
以前の様に気圧されることなく誠一は、話した。

絶大なる力を隠そうともせずいる学院長の迫力に
誠一は、特に何も感じることは無かった。

「ふむ、その不遜な態度。
神と対話したのうかのう。
まあ、しかし、君の問いに答えられない。
質問が抽象的すぎてのう。
最後の問いには答えられそうじゃが」
以前と同様に笑いを湛えているが、
踏み込めば、潰す、殺す。
そんな雰囲気を隠す気もなく醸し出す
学院長であった。

無論、戦えば、結果は火を見るよりも
明らかであった。
しかし、誠一は、ＮＰＣごときを
恐れるのも阿保らしく、態度を改めなかった。

そして、誠一は彼にとって最も強力なカードの
存在に気づいていた。
鈴木誠一というプレーヤーの
キャラクター『バッシュ』であった。
『神々の反逆』の称号を持たぬキャラクターであるため、
彼に啓示を授けて、ある程度、動かすことは
可能であろうと判断していた。
問題はどのように啓示を送るかであった。
色々と試行錯誤する必要があった。
彼が属する一団の強力なＮＰＣを
利用すれば、ファウスティノを圧倒することが
可能であると思っていた。