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3.結末

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バッシュと3人が争っている最中に女王が突然、
話し出しした。
「私を殺しても管理者とは接触することはできません。
無駄なことをせずにこの世界の理に従いなさい」

バッシュは戦いながらもこの女王の言葉に反応した。

「ふん、くだらな。今もどこからか、この箱庭を覗いて、
楽しんでいる糞野郎がいることは分かっている。
この世界を壊せば、嫌がうえにでも俺に接触してくるだろうよ。
それと、NPC風情が俺に命令するんじゃやねぇ!」

誠一は食い入るようにこの争いを見ていた。
どこで得たのかわからないが、バッシュは、この世界のことを
理解しているようだった。
何が目的かは分からないが、とにかくゲームの製作者サイドに
コンタクトを取ろうとしているようであった。

バッシュは暗殺スキルを行使した。
まず一人に狙いを定めたようだった。
影が揺らぐと、僧侶の後方に現れた。
無言で短剣を僧侶の腹部に刺したように見えた。
しかし、短剣は空を切り、逆に僧侶の肘が
バッシュの胸部を捉えた。

「くそっ、法衣に騙されたわ、モンクも極めていたか」

「稲妻の柱よ」
魔術師が魔術を唱えると、距離を
取り愚痴る彼の周りを稲妻が覆った。

そして、僧侶もまた、祈り始めた。
「邪なるモノをこの地に縛り給え」

完全に動きを封じられたバッシュであった。

次の瞬間、騎士が大剣を振り上げ、ためを作った。
「女王様、わりーけど、城を半壊させるぜ、はあぁっー」

「よい、この城には既に我らしか生きておらぬ。奴を殺せ」

「全てを破壊する我が剣ヨ、呻れ、バスタータイフーン」

凄まじい衝撃波がバッシュに向かって放たれた。

「くそがぁ!そんなんで死ぬかよ、身代わり地蔵発現しろ」

衝撃波は、バッシュの肉体をばらばらにし、
一片すら確認できぬほどに砕き、彼の後方の城を半壊させた。

「ふう、やったか?」
騎士は呟き、周囲を警戒した。

すぅー足音もなく、女王の傍に現れたバッシュ。
先ほどのスキルが拷問の末に契約に至った人間を
身代わりとするものであり、助かっていた。
そして、彼等に生じたわずかな隙で、暗殺は完遂される。
バッシュにとって、その瞬間であったはずだった。

「身体強化、精神強化、スキル強化、
防御強化、攻撃強化、速度強化、、、etc.」
魔術師により、この世界に存在する数多の補助魔術が
騎士に唱えられていた。
そして、僧侶は、複数の祝福の唄を重ねて、唄っていた。

「最大最速にて、瞬足一閃虚空切り」
騎士の手には、侍が好んで扱う刀が握られていた。

バッシュより離れた場所から、上段に振り上げ、
騎士が刀を振り下ろした。
次の瞬間にバッシュの側で騎士は、
彼の利き腕である右腕を斬り飛ばしていた。

「ぐあああぅー、きっ貴様、真っ当な騎士でないな。
剣奴出身か!」

「ふん、それを知ってどうする?この屑が!」

騎士は吐き捨てると、
「ここに顕現せよ。そして、踊れ踊れ我が剣ヨ」
と言った。

20本ほどのさまざまな剣、刀が自由気ままに
空間で楽しそうに踊っていた。

そして、バッシュに四方八方から襲いかかった。

「俺は死なぬ、必ず目的は果たす」

バッシュは着ている服や道具、武器を全て放り出した。
「影より影を渡り歩くモノ。
それが真の暗殺の神髄、ここは退かせて貰う」

己の影に溶ける様にその場から、消えた。

「ふう、なんとかなりましたが、
彼を野放しはできませんね。
追手を差し向けましょう」
女王は、そう呟き、上を見上げた。
それはあたかも誠一を見つめるような仕草であった。

「あのようなモノを育てた者も
それ相応の責任を取るのも筋でしょうね。
その生涯を償いに捧げよ」
端正な顔立ちの女王の顔が歪んだ。

そして、PCの画面が突然、歪みはじめ、
ゲームの画面が消失した。
画面は様々な紋様を表示しながら、変化していた。
誠一は、汗でびっしょりとなっていた。
PCを閉じるか、目を画面から離さなければと
思うが、身体が動かない。
突然、画面が激しく点滅した。余りの激しい光に
誠一は眼が眩み、その場に倒れ込んでしまった。
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