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森の獣 3章 諸国動乱の刻。暗躍する者たち編
再会(才籐)
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「ふむ、お互いに余力を残して
撤収ということですね」
と独り言を呟く皇子であったが、
上空をひらりひらりと舞っていた妖精もどきが
その言葉に呼応した。
「いやいや、バルザース帝国軍の負けですよぉ。
軍の柱石たる皇子を失うのですからねー。
ここで死んでよ」
皇子が声の先のものをにらみ付けると、妖精もどきは、
「いやいやいや、戦わないようぅ。
さっきのつづきだよぉ。
第二ラウンドといきますかぁ。
確実に潰すなら、五体ばらばらにしないとね」
言い終えると、ニタニタと笑った。
「死者を冒涜する化け物め」
皇子は吐き捨てると、先ほどの野獣の死体に目を向けた。
物言わずフラフラと立ち上がり、先ほどと
変わらぬ速さで皇子に近づく。
野獣の皮膚が、肉がその速さに耐え切れず、
風に削がれて、飛散していた。
骨の見える拳が振るわれるが、皇子に当たらず、
皇子は、1閃、2、3、4、5、6と数えるのが
馬鹿らしくなるほど片刃を振るい、野獣をばらばらにした。
「次は貴様だ、死ね」
と皇子は妖精もどきに宣告した。
「くすくすーだから、きみはダメなんだよねー。
その自信は過信だよ。じゃあねー」
と妖精もどきが言うと、ばらばらにした野獣の死体が大爆発した。
周辺から爆風が去ると、巻き込まれた
バルザース帝国軍の死体が累々と転がっていた。
その中心で皇子が片膝をついて左腕を押さえていた。
「ええっ!まだ、生きてるの、しつこいな。
まあ、いいや、あと一息だし。
僕の魔術でも十分かな。いい加減に死んでよ」
と言うなり、魔術を唱え始めた妖精もどきが上空から、
徐々に下がってきた。
「おいおい、なんでおまえがここにいるんだよ。
とりあえず、皇子はやらせない」
と後詰の軍に交じっていた才籐が魔石を
もどきに向かって、投げつけていた。
「おい、皇子。これを使え。
安物とはいえ、ビルギット社製の魔晶石だ。
少しは楽になるだろよ。ってか早く回復しろ。
俺じゃあれは手に負えない」
と才籐が皇子に幾つかの魔晶石を手渡し、
剣を構え、もどきへ突撃した。
「おまえのような屑召喚者一人で何をする気だよ。
馬鹿なの?馬鹿でしょ」
と言って、才籐の前に炎の壁を展開した。
「はっ?時間稼ぎだよ」
と言って、ビルギット社製の魔石を
炎の壁に投じると、人ひとり分の隙間ができた。
「そらよっ!」
と言って、もどきに幾度も斬りつける才籐。
「ぎゃぁぁー痛いよう、痛いよう」
と喚き散らし、そして、
「なんてねー、おまえ、借り物の力で調子乗り過ぎ」
ともどきが嘲笑すると、才籐の左腿に
ぷすりと針のようなものを刺した。
撤収ということですね」
と独り言を呟く皇子であったが、
上空をひらりひらりと舞っていた妖精もどきが
その言葉に呼応した。
「いやいや、バルザース帝国軍の負けですよぉ。
軍の柱石たる皇子を失うのですからねー。
ここで死んでよ」
皇子が声の先のものをにらみ付けると、妖精もどきは、
「いやいやいや、戦わないようぅ。
さっきのつづきだよぉ。
第二ラウンドといきますかぁ。
確実に潰すなら、五体ばらばらにしないとね」
言い終えると、ニタニタと笑った。
「死者を冒涜する化け物め」
皇子は吐き捨てると、先ほどの野獣の死体に目を向けた。
物言わずフラフラと立ち上がり、先ほどと
変わらぬ速さで皇子に近づく。
野獣の皮膚が、肉がその速さに耐え切れず、
風に削がれて、飛散していた。
骨の見える拳が振るわれるが、皇子に当たらず、
皇子は、1閃、2、3、4、5、6と数えるのが
馬鹿らしくなるほど片刃を振るい、野獣をばらばらにした。
「次は貴様だ、死ね」
と皇子は妖精もどきに宣告した。
「くすくすーだから、きみはダメなんだよねー。
その自信は過信だよ。じゃあねー」
と妖精もどきが言うと、ばらばらにした野獣の死体が大爆発した。
周辺から爆風が去ると、巻き込まれた
バルザース帝国軍の死体が累々と転がっていた。
その中心で皇子が片膝をついて左腕を押さえていた。
「ええっ!まだ、生きてるの、しつこいな。
まあ、いいや、あと一息だし。
僕の魔術でも十分かな。いい加減に死んでよ」
と言うなり、魔術を唱え始めた妖精もどきが上空から、
徐々に下がってきた。
「おいおい、なんでおまえがここにいるんだよ。
とりあえず、皇子はやらせない」
と後詰の軍に交じっていた才籐が魔石を
もどきに向かって、投げつけていた。
「おい、皇子。これを使え。
安物とはいえ、ビルギット社製の魔晶石だ。
少しは楽になるだろよ。ってか早く回復しろ。
俺じゃあれは手に負えない」
と才籐が皇子に幾つかの魔晶石を手渡し、
剣を構え、もどきへ突撃した。
「おまえのような屑召喚者一人で何をする気だよ。
馬鹿なの?馬鹿でしょ」
と言って、才籐の前に炎の壁を展開した。
「はっ?時間稼ぎだよ」
と言って、ビルギット社製の魔石を
炎の壁に投じると、人ひとり分の隙間ができた。
「そらよっ!」
と言って、もどきに幾度も斬りつける才籐。
「ぎゃぁぁー痛いよう、痛いよう」
と喚き散らし、そして、
「なんてねー、おまえ、借り物の力で調子乗り過ぎ」
ともどきが嘲笑すると、才籐の左腿に
ぷすりと針のようなものを刺した。
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