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制圧
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ロベリオと加賀見は室内で顔を見合わせていた。
「ロベリオさん、確か3人ですよね。
それと医療室には一人でしたね」
加賀見が念のため、人数の確認をした。
「そうだよ。ただ、急がないと
更に向こうにつく連中が増えるかもしれない」
周囲を観察しながら、ロベリオが答えた。
「尾賀さん、それに少なくとも3人が
彼女に与している可能性があると言うことですね。
運航システムの修正等で忙しいかと思いますが、
尾賀さんの居場所をモニターして貰いましょう」
加賀見がそう提案して、激しく損傷している遺体に
ベッドから取ったシーツをかけた。
「そうだね、一旦、管理センターに
戻った方が得策だね。あそこが制圧されると
少しめんどくさいことになりそうだから」
加賀見とロベリオは外で待つ織多さんに
合流すると、すぐに移動を開始した。
管理センターでは、カーリンが録画映像を
解析していた。
他の面々は、異形種の排出により
生じた船体の離脱による軌道修正に追われていた。
あの星での船の損傷が無ければ、
本来、そのまま移行システムが使用できたが、
スムーズな移行が行われず、システムの再構築が
急ピッチで行われていた。
カーリンが見つめるモニターには、
尾賀が医療室のベッドに組み伏せられる映像が
映っていた。
どうやら医療担当者は黙認をしているようだった。
ガツッ、突然、一人の男から、異様な音と
共に血が噴き出していた。
降り掛かる血を浴びながら、気持ち良さげな表情を
カメラに向ける尾賀、他の二人は、
この出来事に対処できずに硬直していた。
ベッドより転がり落とされた男を踏みつけ、
二人の男たちに柄の部分に血が付着している銃口を
向けていた。
それは、色欲に負けた男から奪った銃であった。
尾賀の言葉に男たちが頷くと、転がる男を部屋の外に
引きずり出していた。
「あなたはどうするのかしら。
私に協力するなら、他地域への背信行為に
ついては目を瞑るけど」
「なっ、証拠でもあるのか?適当なことを言うな」
尾賀の突然の指摘にうろたえる男であった。
「あるわよ。もちろん証拠を提示してもいいわよ。
でもそれは、あなたの破滅を意味するのではなくて?」
男は、この女のはったりだと思いたかったが、
一時、この船を騒がしていた元宮PCの噂を
聞いていたために彼の心を不安が支配していた。
「勝算はあるのか?」
「ええ、あるわよ。
あそこの馬鹿二人の気分が麻痺している間に事を
進めるわよ。
取り敢えずあの血が噴き出ている男を
もう一度、室内に移して、そこらへんに
腸をぶちまけておきなさい」
尾賀が歌うように指示を出すと、
真っ青な表情の男どもがそれに従った。
この映像を見たカーリンは、直ぐに行動に移した。
まず、銃を確認した。
次に彼女たちの位置情報を収集、
その後、移動できないようにドアを
操作するよう判断した。
その時、管理センターの入り口のドアが開く音がした。
「ここで発砲はしたくないのよね。
故障したら、目も当てられないわ。
大人しくしなさい。
カーリン以外の事務局員は作業を続けなさい」
尾賀が3人の男の後方から、勝ち誇ったように言った。
「ロベリオさん、確か3人ですよね。
それと医療室には一人でしたね」
加賀見が念のため、人数の確認をした。
「そうだよ。ただ、急がないと
更に向こうにつく連中が増えるかもしれない」
周囲を観察しながら、ロベリオが答えた。
「尾賀さん、それに少なくとも3人が
彼女に与している可能性があると言うことですね。
運航システムの修正等で忙しいかと思いますが、
尾賀さんの居場所をモニターして貰いましょう」
加賀見がそう提案して、激しく損傷している遺体に
ベッドから取ったシーツをかけた。
「そうだね、一旦、管理センターに
戻った方が得策だね。あそこが制圧されると
少しめんどくさいことになりそうだから」
加賀見とロベリオは外で待つ織多さんに
合流すると、すぐに移動を開始した。
管理センターでは、カーリンが録画映像を
解析していた。
他の面々は、異形種の排出により
生じた船体の離脱による軌道修正に追われていた。
あの星での船の損傷が無ければ、
本来、そのまま移行システムが使用できたが、
スムーズな移行が行われず、システムの再構築が
急ピッチで行われていた。
カーリンが見つめるモニターには、
尾賀が医療室のベッドに組み伏せられる映像が
映っていた。
どうやら医療担当者は黙認をしているようだった。
ガツッ、突然、一人の男から、異様な音と
共に血が噴き出していた。
降り掛かる血を浴びながら、気持ち良さげな表情を
カメラに向ける尾賀、他の二人は、
この出来事に対処できずに硬直していた。
ベッドより転がり落とされた男を踏みつけ、
二人の男たちに柄の部分に血が付着している銃口を
向けていた。
それは、色欲に負けた男から奪った銃であった。
尾賀の言葉に男たちが頷くと、転がる男を部屋の外に
引きずり出していた。
「あなたはどうするのかしら。
私に協力するなら、他地域への背信行為に
ついては目を瞑るけど」
「なっ、証拠でもあるのか?適当なことを言うな」
尾賀の突然の指摘にうろたえる男であった。
「あるわよ。もちろん証拠を提示してもいいわよ。
でもそれは、あなたの破滅を意味するのではなくて?」
男は、この女のはったりだと思いたかったが、
一時、この船を騒がしていた元宮PCの噂を
聞いていたために彼の心を不安が支配していた。
「勝算はあるのか?」
「ええ、あるわよ。
あそこの馬鹿二人の気分が麻痺している間に事を
進めるわよ。
取り敢えずあの血が噴き出ている男を
もう一度、室内に移して、そこらへんに
腸をぶちまけておきなさい」
尾賀が歌うように指示を出すと、
真っ青な表情の男どもがそれに従った。
この映像を見たカーリンは、直ぐに行動に移した。
まず、銃を確認した。
次に彼女たちの位置情報を収集、
その後、移動できないようにドアを
操作するよう判断した。
その時、管理センターの入り口のドアが開く音がした。
「ここで発砲はしたくないのよね。
故障したら、目も当てられないわ。
大人しくしなさい。
カーリン以外の事務局員は作業を続けなさい」
尾賀が3人の男の後方から、勝ち誇ったように言った。
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