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後悔

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「一癖も二癖もある人間の集まりですから、ここは。
どんなに信用していても警戒を解いてはいけませんよ。
織多さんがどのような経緯で私に隔意を
もったのかはわかりませんけどね」
と加賀見が普段と変わらない態度で言った。

「ええっえええっと、、、それはですね。
色々です。そのぉ加賀見さんがロベリオさんとか
尾賀さんとかと色々と陰でこそこそしてたみたいな。
加賀見さん、忘れていませんよね?
そういうのはしませんと言ったことを」
言い終えた織多さんは、じーっと
加賀見の瞳を見つめた。

おそらく療養中に副船長の指示で
自分のエロ行為以外にも色々と
録画されていた映像を見せられたのだろう。
加賀見は何も言えず、頭を下げるだけだった。

「はぁぁーもう、何も弁明の余地なしってことですか?」

「いえ、最後の一線は超えていませんので」
加賀見は真摯な表情で頭を下げてそれだけ言った。

「いえいえ、ちょっと待ってください。
いや、うーんうーん。
それはいやまあそうなんですけど、
でもでも変ですよ絶対に。
部屋で尾賀さんに縛られて、無理やり、
ロベリオさんの足で、あれっ?
次は、野外で服を着たまま、
尾賀さんの脅迫で、、、あれっ?」
織多さんはなぜか加賀見の真摯な姿を見て、
混乱してしまったようだった。

「不可抗力なことにあらがったのですが、
力及ばずだったのです、すみません」
と真剣な面持ちで答えた。

「いや、騙されませんよ。
加賀見さんはああいったプレイが
好みなんですよね。
最後までするよりも
そういうの好みなんですよね。
Mってやつですね。Mですよね」
と何とか自分を言い聞かせようとする織多さんだった。

「いや、誤解ですよ。
ここで証明してみせましょうか?」
と言ってニヤリとして、加賀見は
織多さんに近づいた。

「わかりました。
この件は、母船に戻るまで保留としておきます。
加賀見さん、そんなことすると、
また、サバイバルスーツを汚しますよ。
流石に今回は困るでしょう」
と織多さんが言った。

ぎょっとする加賀見。
あの件は確か内密になっていたはず。
元宮が車両内の監視モニターも
上手く処理していたはず。

「織多さん、つかぬこと尋ねますが、
それをなぜ知っているんですか?」

「事務局というか、多分、船内の方々は
みんな知っていると思います。
サバイバルスーツを着たままで
そのぉ、逝った人って」

加賀見は、ここに来て最大の疲労を感じていた。
元宮、許すまじ、そんな思いに支配されていた。
そして、契約上の関係だけであったのに
短い付き合いの彼を信頼し過ぎたことを後悔した。


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