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休息

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相当な疲労が溜まっているのか二人は無言で歩いていた。



「織多さん、ここで休みましょう。遮蔽物も何もありませんが、

液体さえなければ、異形種は現れませんから、問題ありません」

と加賀見は言うなり、腰をおろした。そして、そのまま、大の字で寝転がった。



「ちょ、加賀見さん、あまりにも無防備過ぎますよ。

異形種は大丈夫としても事務局が何をしでかすか分かりませんよ。

少しは緊張してくださいっ」

と言いつつも加賀見の隣で同じく大の字で同じように寝転がった。



「事務局は気にしなくても恐らくいいでしょう。

ある地点ごとに何かを設置しているだけで、

それ以上は何もしてきませんよ。

でないと賭けが成立しませんからね」と加賀見が眠そうな声で答えた。



「まあ、加賀見さんが言うなら、そうでしょうねー。

じゃあ、少し寝てから、また、歩きますか?」

と今後の予定を織多さんが尋ねた。



「そうですね、5~6時間ほど睡眠をとってから、

母船に向かいましょう」

と加賀見は言うと、軽くあくびをして、眠りに落ちた。



「おやすみなさー加賀見さん」

と織多さんは言って、同じく眠りに落ちた。





その頃、探索車両で先を進む尾賀と元宮は、

渡航船ミラーワールド109号まで残り8km程度の付近まで到着していた。



「尾賀さん、ほぼ燃料が尽きますよ。残りは徒歩ですかね」

と元宮が尋ねた。加賀見と織多さんを見捨ててきた割には、

自責の念に囚われているようにも後悔をしているよう見えなかった。

彼らとの付き合いが短い為か、騙される方が悪いそんな程度にしか

思っていなのだろうか。



「そうね。車両が完全に停止する前に

サバイバルスーツを着用しなさい。

それから、少し休憩を取ってから、母船に向かうわ」

と尾賀はさばさばとした調子で答えた。

尾賀のなかでは、加賀見と織多さんは既に脱落者扱いであり、

過去の人であった。



「元宮、ここで車両を停止して、最低限の機能を有効にしなさい。

そうすれば、安全を確保できるはず。どの程度、維持できる?」

と尾賀が尋ねた。



「まあ、4時間ってとこでしょうね」と元宮が言った。



「なら、2時間の休憩後、徒歩で向かうわ。

その後、1時間半後に機能停止ね。そしたら、ドアを開放しなさい。

ここへ異形種を呼び込むのよ。分かるわよね?」

と尾賀が暗い表情で、言い終えた後、笑った。



「それは構いませんが、後続の方々が大変なことになりますよ」

と元宮が再考を求めた。



「ふん、そうなればいいのよ。戻って来られてもおそらく

面倒事が増えるだけよ。仕事は少ないに

越したことはないでしょう」

と尾賀が暗い表情で、言い終えた後、再び、笑った。



6時間ほどの睡眠を取って、目覚めた加賀見は、

ゆっくりと起き上がり、身体の節々を伸ばし、辺りを見回した。



突然、首筋にひんやりとした刃を当てられた錯覚に囚われた。

本来なら、サバイバルスーツの防護により、

それが加賀見の錯覚であるに違いないと瞬時に悟ったが、

身体が硬直して、それを否定していた。



「織多さん、一体どういうつもりですか?」

加賀見は、平静を保っているように話し掛けた。



「さあ?それは加賀見先輩次第でしょうねー。

一体どういうつもりですか?」

と織多さんは努めて冷静に質問をし返した。

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