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惨劇の状況

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「では、先ほどの件の動画をお見せします」
と元宮が話し、立体モニターを起動した。
余計な情報を尾賀も元宮も伝えず、動画が始まった。
 
加賀見と織多さんの初めての探索で聞いた
あの何かを擦るような音が聞こえ始めると、
どこからともなく大量の異形種が現れた。
スターテクノロジーズの探索チームは、
既に囲まれており、一点に火力を集中して、
退路を作ろうとしていた。
 銃器によって、倒しても倒しても
その数が減ることがなく、溢れ出てくる異形種。
交戦が始まって、40分ほどが経過したが、
母船に向かって移動はしているものの
包囲網を突破することはできずにいた。
そして、事務局の救援の気配も無かった。

加賀見は、先ほどから何度も
現れる異形種の各々の違いが分からなくなっていた。

「加賀見さん、これは、、、、先ほどからどうも
同じ異形種が何度も何度も出現していますよ」
と織多さんが話かけてきた。

「ご明察です、どうも映像を見ていて、
おかしな気分に囚われて、
ここで収集できた異形種のデータを
比較したところ、30匹程度の異形種が
倒されては、また現れるということを
繰り返しているようです」
と元宮が説明した。

「これは、事務局が救援を
サポタージュしていませんか?」
と加賀見。

「ええ、この時点で既に救援の要請は
出していますが、事務局の動きは鈍かったですね」
と尾賀が説明した。

「えっ」
と加賀見が声を上げた。

突然、異形種が探索チームの中央に現れ、
探索メンバーの一人を引きずり倒した。
そのまま、倒した探索員に馬乗りになり、
口から分泌物を吹きかけた。

映像から響き渡る絶叫。
時間にして10秒にも満たないであろうが、
異様な光景にスターテクノロジーズの
他のメンバーはその状況に固まってしまっていた。

サバイバルスーツから、青い液体が流れ出していた。
そこには、ヒトがいたという痕跡は何もなかった。
そして、士気は崩壊し、各々が独自に行動を開始した。

幾人かの絶叫とともに銃器・火器が集中砲火され、
そこへ探索メンバーが走り出した。
そして、異形種に捕まり、同じように青い液体になっていた。
包囲は段々と狭まっていき、やがて、全員が
青い液体なり、地面に吸収された。
一連の情報の再生を完了して、立体モニターは停止した。

加賀見と織多さんは、無言であった。
その異常な死に様、事務局員のサポタージュ、
異形種の異常性、彼らは何をどう話出すべきか、
混乱して纏まらなかった。

そのとき、ドアのインターフォンが来客の来訪を伝えた。
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