上 下
28 / 179

調査開始

しおりを挟む
 調査に同行する2名の女性は、
1人が金髪の硬質の美人でカーリン・アッペルと言い、
もう一人がダークグリーンヘアーの愛嬌のある美人で
ロベリオ・メディナと言い、ヨーロッパ地区の出身のようだった。
二人ともこういった機会がなければ、
加賀見の社会人生活では接点が生じない人物であった。

日本語しか話せない加賀見は、二人を見た直後に
言葉の不安を感じたが、二人が、流暢に日本語を話し、ほっとした。
織多さんは、新たなる美人の登場に気後れしていたが、
技術的な話をしていくうちに打ち解けたようだった。

調査が始まって、3日ほどでいくつかの
ブロックから土壌を採取した。
そして、土壌のサンプリングを開始した。
初日から、二人の美人の距離が加賀見に
密着というほどには近くないが、微妙に近く、
絶妙な距離感で加賀見に触れるため、
加賀見は、どうも妙な気分になることが多く、
業務の集中を欠いていた。

「かーがーみさん、聞いていますか!」
と少し離れたところで各土壌のデータを
収集していた織多さんがいらつく声を出してきた。

「はい、聞こえています。
どうやら妙な結果になりましたね」
と加賀見が答えた。

「これは確かにおかしいです」
とカーリンが加賀見のすぐ後方から、
データを見ながら、答えた。
「どの土壌も見た目は、違えど、成分は同じですね」
と加賀見が背中にカーリンの胸のふくらみを
感じつつ答えると、
「かがみぃは、真面目に答えているけど、
何か良からぬことを考えていますね」
とロベリオが加賀見の脚の付け根辺りを
指さして、言った。

「加賀見さん、いい加減にしてくださーい。
まったく、初日から、いちゃいちゃ、いちゃいちゃと
少しは自制してくださいっ。調査がすすみません」
初日から溜まっていた鬱憤がついに爆発した織多さん。

「加賀見、いやらしい」とカーリン。
そして、「かがみぃ、いやらしい目でみないでください」
とロベリオ。

それを聞いた織多さんは、
「あなたがたもです!加賀見さんから、
もう少し離れてください」
と二人の美女にも怒りの矛先を向けた。

「はいはい」と言って、加賀見から
カーリンが離れて、織多さんに話しかけた。
「織多、それよりもあなたの見解を話してください」

急に真面目に話を振られて、虚を突かれ、
口をパクパクさせる織多さん。
「ええっと、まず、地球より若干の組成は
違いますが、大気中に水分は存在しています。
多分ですが、大変な作業になりますが、
大気から水を生成することは可能です。
ですが、集めた土からは水の成分は一切、
検出されていません。
砂や岩石に近い成分ではないかと」
との見解を示した。

「それですと、何故、砂のように
砂丘のようなものを形成せずに
土のようなものを形成しているのでしょうか?」
と加賀見が尋ねた。

「各粒子が磁性体のような性質ものを
核として持っているようです。
それが、+-のような関係にあり、
上手く連なって、大地を組み上げているようです。
多分ですが、+-のような単純なものでなく、
もっと多くの組み合わせがありそうです。
それらが上手く合わさって、どうも各ブロックを
形成しているかと考えられます」
と織多さんが述べた。

「流石は、国定第7大学の研究生ですねぇ。
それを肯定するデータも収集済みですね」
とカーリンがぱちぱちと拍手を送りつつ、答えた。

「あなたがたは、既にそのことを
知っていたのですか?」
と織多さんが鋭い視線を送った。

「我々は、あくまでも探索者のサポートですので。
ただ、自衛のためにこの世界の基礎調査は実施します」
とぬけぬけとロベリオが答えた。

「探索報告書は、あなたがたで作成してください。
他の探索者への情報提供になりますので。
事務局から、それはできませんので、よろしく」
とロベリオが更に続けた。

織多さんが何か言いたげであったが、
加賀見は、ひとまず、了解の旨を伝えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

トモコパラドクス

武者走走九郎or大橋むつお
SF
姉と言うのは年上ときまったものですが、友子の場合はちょっと……かなり違います。

VRゲームでも身体は動かしたくない。

姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。 古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。 身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。 しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。 当作品は小説家になろう様で連載しております。 章が完結次第、一日一話投稿致します。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

ちょいダン? ~仕事帰り、ちょいとダンジョンに寄っていかない?~

テツみン
SF
東京、大手町の地下に突如現れたダンジョン。通称、『ちょいダン』。そこは、仕事帰りに『ちょい』と冒険を楽しむ場所。 大手町周辺の企業で働く若手サラリーマンたちが『ダンジョン』という娯楽を手に入れ、新たなライフスタイルを生み出していく―― これは、そんな日々を綴った物語。

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

処理中です...