電波恋愛

真白みなと

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1:オタク少女と掲示板

01:あれ、ブクマしとくか

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 昔からネットは割りと好きだった。

 両親がギャンブル依存なせいでよく料金が払えなくて、それこそ中高生の頃は携帯もPCのネット環境もよく止められてた。
 でも、そんな中でもSNSやら掲示板やら自作の個人サイトやら、楽しむ場を転々としながらネットの波に揺られていた。

 そんな10代。
 今にして思うと、もっとやっておくべきブルーな春があったんじゃないかとか、そんな後悔をしてしまうけども。

 後悔をしたところで貴重な時間は戻っては来ないわけだし、こんなつまらないネタを長く引っ張るのもアホだよなと思い、私は思考を目の前の現実に戻すことにした。


 目の前の、現実。
 仕事場のトイレなう。


 つらい。吐き気がおさまらない。
 つわりとかそんな幸せそうなアレとは程遠い。
 私の吐き気は酒から来るものだ。

 営業終了してから潰れたキャバ嬢の図、というかそのものである。

 そう、私の職業はキャバ嬢。ゲスい仕事だと我ながらそう思う。

 身体なんぞ売るのはほんの一部とテレビの中だけで、偏見の目で見られてる割りに枕営業とは無縁の生活をしているが。

 やはりきついものはきつい。
 酒が飲めないと仕事にならないのだ。

 だから週末はこうしてほぼ毎週潰れるまで飲むことが多い。

 若いからこそ出来る商売だとわかっている。年齢を売りにするというよりは、どちらかと言えば体力を売りにするという意味で、長くやる仕事でないことは承知している。



 ふと、吐き終えて息を整えているところで、手に握りしめたままだったスマホに目をやる。

 これも一応商売道具。客と連絡をとり、同伴やら来店に持ち込むための大切なツール。

 だから私のLINEのプロフィールは源氏名になっていて、プライベートの入り込む余地はないように感じられる。
 正直そういう打算的なネットの使い方は嫌いだ。いくら仕事とはいえ。


 どこか、素顔で居られる場所が欲しいと思う。
ずっと前からそれを探している。
 いまだに見つかっていないのだけれど。

 そういえば。
 この間仕事中にネットサーフィンをしていたとき、人が割りと集まっている勢いのある掲示板を見つけたっけ。


 あれ、ブクマしとくかな。
 明日は日曜日。寝て起きたらその掲示板に行ってみようかと思う。
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