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*17* なかよし3人娘!
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「失礼しまーす……」
妙な空気へ、控えめなソプラノが入り込んできた。
「幸ちゃんいますか……?」
そろり、そろり、と足音を殺して医務室を見渡すのは、苺花だ。
パチリと目が合った瞬間。
「幸ちゃんっ!」
「っわぁ! 苺花!?」
起き上がったそばから、ガバッとハグされちゃった。
あ、亜麻色の髪から、ベリー系の甘い香りがする……
「なかなか戻ってこなくて、探してたんだよ!」
「よくここがわかったね……」
「売店のほうに行ってみたら、同じ学科の子が、具合悪そうな幸ちゃん見たって言ってたから!」
「ごめーん……連絡しようにも、回復してきたのさっきからでさ」
「ううんっ、元気になったんならよかった~!」
ぎゅーって! ぎゅーって! 苺花、可愛すぎか!
はぁ……女の子ってやわらかいんだなぁ。女子友グッジョブ!
とここで、唯一の男子・星宮くんが、蚊帳の外でキョトンとしてることに気づく。
「あのね星宮くん、あたし苺花とランチの約束してたんだ」
「ああ、そうだったんだ」
「……ほっ、星宮くん!?」
苺花ちゃん、もしかして今お気づきかい?
なんて聞く前から人見知り発動、「ごめんなさいぃいっ!」ってペコペコしてるし。
「いーちかー、ほどほどにしてあげて? 星宮くん困ってる」
「えっ? そ、そうなの、ごめんなさい!」
「あはは……どうぞお気になさらず」
すーはー、と深呼吸する苺花。
ベッドで起き上がってるあたしと、脇のイスに座る星宮くんを、改めておっきな瞳が行ったり来たり。
「えっと……星宮くんが、幸ちゃんに付き添ってくれてたのかな?」
「うん。僕も佐藤さんとお昼を食べようと思ってたところに、居合わせてね」
「そっかぁ……星宮くんがいてくれてよかったね、幸ちゃん!」
「そだね、ハートも鍛えられたしね」
「ハート?」
「こっちの話だよ!」
話を切り上げたところを見ると、よほど恥ずかしいと見た、星宮くんよ。
どこかの忠犬より落ち着いてるのに、意外と先走っちゃうタイプか。メモメモ。
「……じゃあ、僕は失礼しようかな?」
「え、用事かなにか?」
「黒岩さんと約束してたんでしょ? お邪魔だろうから」
ひょっとして気を遣ってる? 遣ってますね?
「お昼食べてないよね。一緒に食べよ」
「えっ?」
「学校医の先生、ここ使っていいって言ってくれたでしょ? あたしも食欲出てきたからさ、いいよね苺花?」
「うん、おしゃべりは、にぎやかなほうが楽しいしね~」
「……いいの?」
「お友達ですから!」
あたしのダメ押しに、星宮くんが浮かせかけた腰をイスに戻す。
「それじゃあ……違和感あるので、隅にお邪魔します」
「え、なじみまくりじゃん。ガンガン来なよ」
「僕これでも男なんですよ、佐藤さん!」
「あはは、梨乃ちゃんまっかっかー」
「な、名前はダメだよ!」
「む?」
「名前呼ばれたら……」
「たら?」
「と、とにかくダメだからねっ!」
ぷぅ! とほっぺを膨らませてるアナタ、説得力皆無です。
真っ赤なお顔でそっぽ向いちゃって、大きめの瞳はうるうる。
分けてほしいわその女子力。
「うんうん、ごめんよ、ほっしー」
「ほっしー!?」
「幸ちゃんすごく楽しそう」
「すごく楽しいよ苺花ちゃん」
「……好きに呼んでください……」
茹でダコになりながら、快く星宮くんの許可をいただきました。ので! 今日からきみはほっしーだ!
こうして、あたし、苺花、ほっしーの仲良し3人娘が誕生しましたとさ。
え、なんか違う?
妙な空気へ、控えめなソプラノが入り込んできた。
「幸ちゃんいますか……?」
そろり、そろり、と足音を殺して医務室を見渡すのは、苺花だ。
パチリと目が合った瞬間。
「幸ちゃんっ!」
「っわぁ! 苺花!?」
起き上がったそばから、ガバッとハグされちゃった。
あ、亜麻色の髪から、ベリー系の甘い香りがする……
「なかなか戻ってこなくて、探してたんだよ!」
「よくここがわかったね……」
「売店のほうに行ってみたら、同じ学科の子が、具合悪そうな幸ちゃん見たって言ってたから!」
「ごめーん……連絡しようにも、回復してきたのさっきからでさ」
「ううんっ、元気になったんならよかった~!」
ぎゅーって! ぎゅーって! 苺花、可愛すぎか!
はぁ……女の子ってやわらかいんだなぁ。女子友グッジョブ!
とここで、唯一の男子・星宮くんが、蚊帳の外でキョトンとしてることに気づく。
「あのね星宮くん、あたし苺花とランチの約束してたんだ」
「ああ、そうだったんだ」
「……ほっ、星宮くん!?」
苺花ちゃん、もしかして今お気づきかい?
なんて聞く前から人見知り発動、「ごめんなさいぃいっ!」ってペコペコしてるし。
「いーちかー、ほどほどにしてあげて? 星宮くん困ってる」
「えっ? そ、そうなの、ごめんなさい!」
「あはは……どうぞお気になさらず」
すーはー、と深呼吸する苺花。
ベッドで起き上がってるあたしと、脇のイスに座る星宮くんを、改めておっきな瞳が行ったり来たり。
「えっと……星宮くんが、幸ちゃんに付き添ってくれてたのかな?」
「うん。僕も佐藤さんとお昼を食べようと思ってたところに、居合わせてね」
「そっかぁ……星宮くんがいてくれてよかったね、幸ちゃん!」
「そだね、ハートも鍛えられたしね」
「ハート?」
「こっちの話だよ!」
話を切り上げたところを見ると、よほど恥ずかしいと見た、星宮くんよ。
どこかの忠犬より落ち着いてるのに、意外と先走っちゃうタイプか。メモメモ。
「……じゃあ、僕は失礼しようかな?」
「え、用事かなにか?」
「黒岩さんと約束してたんでしょ? お邪魔だろうから」
ひょっとして気を遣ってる? 遣ってますね?
「お昼食べてないよね。一緒に食べよ」
「えっ?」
「学校医の先生、ここ使っていいって言ってくれたでしょ? あたしも食欲出てきたからさ、いいよね苺花?」
「うん、おしゃべりは、にぎやかなほうが楽しいしね~」
「……いいの?」
「お友達ですから!」
あたしのダメ押しに、星宮くんが浮かせかけた腰をイスに戻す。
「それじゃあ……違和感あるので、隅にお邪魔します」
「え、なじみまくりじゃん。ガンガン来なよ」
「僕これでも男なんですよ、佐藤さん!」
「あはは、梨乃ちゃんまっかっかー」
「な、名前はダメだよ!」
「む?」
「名前呼ばれたら……」
「たら?」
「と、とにかくダメだからねっ!」
ぷぅ! とほっぺを膨らませてるアナタ、説得力皆無です。
真っ赤なお顔でそっぽ向いちゃって、大きめの瞳はうるうる。
分けてほしいわその女子力。
「うんうん、ごめんよ、ほっしー」
「ほっしー!?」
「幸ちゃんすごく楽しそう」
「すごく楽しいよ苺花ちゃん」
「……好きに呼んでください……」
茹でダコになりながら、快く星宮くんの許可をいただきました。ので! 今日からきみはほっしーだ!
こうして、あたし、苺花、ほっしーの仲良し3人娘が誕生しましたとさ。
え、なんか違う?
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