異世界転性いーあーるさぶすく!〜ぼくら月極用心棒〜

 古代中国に似た異世界。
 真冬の池に突き落とされ、『海琴(みこと)』という高校生として生きた前世の記憶を取り戻す。
 腐れ縁のあいつといっしょに召喚された『海琴』は、わけもわからず殺されたのだった。

 そんな残酷な世界に転生した僕──『雨(ユイ)』は、水を浴びると黒髪の人魚へと変化する特殊な体質のもち主に。
 この世界で、黒髪は神の使いだという。

 育ての親からは、こき使われ。
 同年代のこどもからは、いじめられ。
 村のどこにも居場所を見つけられずにいた僕の孤独な日々は、なんの前ぶれもなく終わりを告げる。
 血のにおいをまとった、黒ずくめの男の手によって。

「──人間風情が、舐めた真似を」

 僕は、一夜にして血の海となった村から逃げ出した。

「あんた、うちに来ないか?」

 行くあてのない僕を気にかけてくれたのは、いわゆる用心棒を稼業にしている鏢局(ひょうきょく)のみんなだった。

「おれは、ミコトといっしょにいきたい」

 ──そうだね。行こう。生きよう。
 ちゃんと息ができるように。
 だれかに利用されたり、怯えたりしないですむように。

 これは独りぼっちになった臆病者が、情けなくわめいて、足掻いて、たいせつな仲間を見つける、愛と冒険の物語。

※本作は『男の子同士のキスやハグ』など、一部ボーイズラブ表現がございます。
※過度な性的描写はありません。
※使用しているイラストはすべて自作のものです。
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