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第51話
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◆高梨百合恵 視点◆
「まだ明るいですけど、時間はけっこう遅くなっていますから気をつけて帰ってくださいね」
部活?が終わり部室の戸締まりをしたところで神坂君たちに声を掛けて部室から離れていき、第2音楽室の戸締りの確認をしてからわたしは職員室へ戻った。
もう夏休み直前というのもあり、やらなければならないこともないのですぐに帰り支度をして職員室を出ようとしたところで声を掛けられた。
「高梨先生、ご主人とのこと大丈夫ですか?」
塚田先生が心配をしてくれたからなのか声を掛けてくれたが、正直なところ余計なお世話にしか思えない。
「お気遣いありがとうございます。大丈夫ですので、気になさらないでください」
「そうですか。でも、なんでも協力しますので困ったことがあったら相談してください」
「あ、ありがとうございます。その時はお願いします」
当然、困ったとしても塚田先生に相談するつもりはない。いつものようにネットリとした視線を向けてくる事に困っているわけだけど、さすがにそれは言えない。
近くにいた先生方に挨拶をしつつ、職員室を退出した。
◆神坂夏菜 視点◆
「私は生徒会室に寄っていくから、お前たちは先に帰っていてくれ」
「お姉、待つから一緒に帰ろう。ね、美波ちゃんも良いよね?」
「ええ、もちろん夏菜お姉ちゃんを待ちますよ。もうすぐ暗くなるし、わざわざひとりで帰ることもないですよ」
「そうか、悪いな。じゃあ、すぐに戻ってくるから玄関のいつもの辺りで待っていてくれ」
「うん、わかった」「はい、わかりました」
妹たちを待たせるのも忍びないので、戸締まりされていることを確認したらすぐに玄関へ向かい合流した。玄関を出たところで校門の方へ向かっている高梨先生と、それを尾行しているかの様な塚田先生が見えたので、妹たちに声を掛けた。
「ふたりとも、あれは塚田先生が高梨先生を尾行している様に見えないか?」
「あたしにも尾行している様に見える」
「そうですね。動きが不自然に見えますね」
「高梨先生に何かあったら嫌だし、追い掛けてみないか?」
「うん、あたしも心配だし追いかけよ。いいよね?美波ちゃん」
「もちろん良いですよ」
高梨先生を尾行している塚田先生を尾行していると、高梨先生は近所のスーパーで食材の買い物をしたと思ったら学校の方へ戻っていき学校から徒歩2分くらいの場所の高そうなマンションへ入っていき、それを見届けた塚田先生はスマホを取り出し少し操作したら移動を再開し、学校まで戻り再び校舎へ入っていった。
「さすがにこれ以上は追い掛けても無駄だよな?
今日はここまでにして家へ帰ろうか」
「そうだね~」「そうですね」
高梨先生には明日伝えることにしようと決め、3人で帰宅した。
◆塚田智 視点◆
昨日、高梨先生が旦那と喧嘩して別居しているらしいことを知った。同僚であり、独身の僕がうまいこと間に入れれば高梨先生の好感を得ることができ、離婚にでも至った際に僕が高梨先生と再婚できるかもしれないと考え声を掛けてみたが感触はあまり良くない。考えてみれば当たり前だ。あくまで同僚というだけで、普段から交流があるわけではないのだから。そこで再び旦那が絡んできたところを取り押さえることでアピールをできないかと思い、高梨先生の帰宅を陰ながら護衛することにした。
護衛を開始しすぐに学校から近いスーパーへ入っていき買い物をし、それを持って学校から近いマンションへ入っていった。スマホの地図アプリでマンションの住所を確認すると、最近見た覚えがあるもので、それは僕のクラスの生徒である神坂冬樹君の今の住所として提出されていたものだった。
偶然別の部屋に高梨先生が頼れる知り合いが住んでいる可能性が考えられるが、同じ学校の教師と生徒なのだから神坂君と高梨先生が関係している可能性を疑いたくもなる。
学校へ戻り神坂君の住所を確認したら、記憶にあった通り高梨先生が入っていったマンションのものだった。しかし、神坂君の芸術教科選択は美術で高梨先生とは接点がないように思うのだが・・・
◆二之宮凪沙 視点◆
「もしもし、鈴木くん。学校を退学することになったそうで大変ですね。
そんな時に申し訳ないのだけどひとつお願いを聞いてもらえないかしら?」
『二之宮さんの誘いに乗ったのは俺たちだけどさ・・・もう関わらないでもらいたい・・・って、ダメだよね・・・それで、お願いって何?』
「そんな難しいことじゃないわよ。鈴木くん達が私と楽しんでいた時に撮っていた動画を学校の裏サイトに上げて欲しいだけよ」
『そんな事したら、二之宮さんもタダじゃ済まない・・・今更そういうのを気にしないか・・・』
「ええ、私にとって必要なことなの。今すぐお願いね。時間ができた時にはまた一緒に遊びましょう。それじゃあ、またね」
鈴木くんに私の動画を公開してもらう・・・そうすることで好奇の目を向けられるようになり、冬樹から守ってもらえる・・・想像するだけでワクワクするわ。
「まだ明るいですけど、時間はけっこう遅くなっていますから気をつけて帰ってくださいね」
部活?が終わり部室の戸締まりをしたところで神坂君たちに声を掛けて部室から離れていき、第2音楽室の戸締りの確認をしてからわたしは職員室へ戻った。
もう夏休み直前というのもあり、やらなければならないこともないのですぐに帰り支度をして職員室を出ようとしたところで声を掛けられた。
「高梨先生、ご主人とのこと大丈夫ですか?」
塚田先生が心配をしてくれたからなのか声を掛けてくれたが、正直なところ余計なお世話にしか思えない。
「お気遣いありがとうございます。大丈夫ですので、気になさらないでください」
「そうですか。でも、なんでも協力しますので困ったことがあったら相談してください」
「あ、ありがとうございます。その時はお願いします」
当然、困ったとしても塚田先生に相談するつもりはない。いつものようにネットリとした視線を向けてくる事に困っているわけだけど、さすがにそれは言えない。
近くにいた先生方に挨拶をしつつ、職員室を退出した。
◆神坂夏菜 視点◆
「私は生徒会室に寄っていくから、お前たちは先に帰っていてくれ」
「お姉、待つから一緒に帰ろう。ね、美波ちゃんも良いよね?」
「ええ、もちろん夏菜お姉ちゃんを待ちますよ。もうすぐ暗くなるし、わざわざひとりで帰ることもないですよ」
「そうか、悪いな。じゃあ、すぐに戻ってくるから玄関のいつもの辺りで待っていてくれ」
「うん、わかった」「はい、わかりました」
妹たちを待たせるのも忍びないので、戸締まりされていることを確認したらすぐに玄関へ向かい合流した。玄関を出たところで校門の方へ向かっている高梨先生と、それを尾行しているかの様な塚田先生が見えたので、妹たちに声を掛けた。
「ふたりとも、あれは塚田先生が高梨先生を尾行している様に見えないか?」
「あたしにも尾行している様に見える」
「そうですね。動きが不自然に見えますね」
「高梨先生に何かあったら嫌だし、追い掛けてみないか?」
「うん、あたしも心配だし追いかけよ。いいよね?美波ちゃん」
「もちろん良いですよ」
高梨先生を尾行している塚田先生を尾行していると、高梨先生は近所のスーパーで食材の買い物をしたと思ったら学校の方へ戻っていき学校から徒歩2分くらいの場所の高そうなマンションへ入っていき、それを見届けた塚田先生はスマホを取り出し少し操作したら移動を再開し、学校まで戻り再び校舎へ入っていった。
「さすがにこれ以上は追い掛けても無駄だよな?
今日はここまでにして家へ帰ろうか」
「そうだね~」「そうですね」
高梨先生には明日伝えることにしようと決め、3人で帰宅した。
◆塚田智 視点◆
昨日、高梨先生が旦那と喧嘩して別居しているらしいことを知った。同僚であり、独身の僕がうまいこと間に入れれば高梨先生の好感を得ることができ、離婚にでも至った際に僕が高梨先生と再婚できるかもしれないと考え声を掛けてみたが感触はあまり良くない。考えてみれば当たり前だ。あくまで同僚というだけで、普段から交流があるわけではないのだから。そこで再び旦那が絡んできたところを取り押さえることでアピールをできないかと思い、高梨先生の帰宅を陰ながら護衛することにした。
護衛を開始しすぐに学校から近いスーパーへ入っていき買い物をし、それを持って学校から近いマンションへ入っていった。スマホの地図アプリでマンションの住所を確認すると、最近見た覚えがあるもので、それは僕のクラスの生徒である神坂冬樹君の今の住所として提出されていたものだった。
偶然別の部屋に高梨先生が頼れる知り合いが住んでいる可能性が考えられるが、同じ学校の教師と生徒なのだから神坂君と高梨先生が関係している可能性を疑いたくもなる。
学校へ戻り神坂君の住所を確認したら、記憶にあった通り高梨先生が入っていったマンションのものだった。しかし、神坂君の芸術教科選択は美術で高梨先生とは接点がないように思うのだが・・・
◆二之宮凪沙 視点◆
「もしもし、鈴木くん。学校を退学することになったそうで大変ですね。
そんな時に申し訳ないのだけどひとつお願いを聞いてもらえないかしら?」
『二之宮さんの誘いに乗ったのは俺たちだけどさ・・・もう関わらないでもらいたい・・・って、ダメだよね・・・それで、お願いって何?』
「そんな難しいことじゃないわよ。鈴木くん達が私と楽しんでいた時に撮っていた動画を学校の裏サイトに上げて欲しいだけよ」
『そんな事したら、二之宮さんもタダじゃ済まない・・・今更そういうのを気にしないか・・・』
「ええ、私にとって必要なことなの。今すぐお願いね。時間ができた時にはまた一緒に遊びましょう。それじゃあ、またね」
鈴木くんに私の動画を公開してもらう・・・そうすることで好奇の目を向けられるようになり、冬樹から守ってもらえる・・・想像するだけでワクワクするわ。
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