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商売の国、トレシア
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大勢の騎士団が整列する中、城の正門、最も格式高い馬車寄せの広場にはお父様を始め、家族、そして主だった貴族たちが揃っていた。
「トレシアは我が国にとって特に重要な国の一つであり、お前の今後の振る舞いが我が国の未来を左右するということを忘れず、王太子殿に従順であるように。お前の今後の幸運を祈っている。」
威厳たっぷりの姿でいかにも格式張った挨拶をするのは私の父であり、大公バウゼン。ギリギリ幸運を祈るという言葉が入っていたのが幸いだけど、特に昨日の晩餐会も終始形式的なものだったし、ブルーノ兄様に呼び出された以外は家族と個人的に話すこともなかった。
まあ、最も高位の家では子育てに親が直接関わることは少ないと言うし、こんな感じの家族関係の家も多いだろう。むしろ私は冷遇されていたとはいえ、別に暴力を受けたわけでもなく、大切にはされていた。そう考えれば感謝はするべきなのだろうと、
「これまで育てていただきありがとうございました。これからの我がベルン公国がますます栄えますよう、私も微力ながら努力してまいります」
そう言ったその気持ちは心からのものだった。
お別れがすむと、すぐに出発となる。隣国だからか、明日にはトレシアにつくということで先触れを出してしまっているのであまりゆっくりしている暇はない、とは護衛をしてくれる騎士団副団長の言葉。
ベルンではこういった慶事があると、光が空から降り注いだり、花が舞い上がったり、どこからともなく音楽が流れたりといった魔法を大公家を始めとした大きな魔力を持つ者たちが一斉に街中にかけ、お祝いムードを作るのだが、今回はそういったことはないらしい。
ただ、走り出した馬車から街を眺めると、時折本来咲かない季節のはずの花が咲いていたり、ちょっとした光が打ち上がったり、紙吹雪が舞ったり、と街の皆さんがお祝いに魔法を使ってくれているのが見えて和ませてくれた。リリーはそんなお祝いしてくれる皆の気持ちに笑顔で手を降って答えたのだった。
国境近くの村にある砦に一泊させてもらい翌朝早くに立つと、この時期であればトレシアの王都に陽が沈む前につくことができる。ベルンからトレシアに入ると街道が立派になるのがカーテンの隙間からでも分かり、揺れが土の道の不規則なものから石畳の規則正しいものに変わる。これらの街道は商業の要地として知られるトレシア王家が率先して整備したものだという。
この道一つ見てもこの国の凄さがわかるわ、と思っていると、馬車が止まり、馬車の手前の壁がコンコンと叩かれる。
「そろそろ、最後の休憩地のようですわ、姫様。」
「そうね、ここからは盛装で行くのよね、よろしくお願いするわね」
そうクレアと話し、ドアが開くのを待つ。今回トレシアに向かう馬車は5台。それ自体いくら小国といえども姫の嫁入りとしては少ないのだが、実際にトレシアに残ってくれるのはクレア一人で、それ以外の随行してくれている者達は、騎士も侍女も全てトレシアの城に一泊した後直ぐに帰ることになっている。とはいえ、本当はクレアも城に残り、一人嫁がされるところだったのを、なんとか父親に頼み込んでクレアを連れて行くことだけは認めてもらったのだ。
最もそのせいでクレアは私と二人だけで隣国とはいえ、異国で暮らすことになるので、そこは申し訳ないな、とも思っていたのだが、以前その話をすると、
「姫様の筆頭侍女となったときからこうなる、と思っておりましたので問題ありません。むしろ私は一生姫様に使えると決めておりますので置いていかれる方が辛いですわ。それにトレシアの方が騎士も従僕も優秀だと聞きますからねえ、仕事も恋も、充実させて見せますわ。」
と、意気込んでくれたので少し気が楽になった。正式な歓迎は到着の翌日だそうなので、今日については旅装でも構わないはずなのだが、「何事も最初が肝心、少しの無礼もないように」というお父様の方針で、王都の手前の街道に宿を取り、盛装に着替えることになっていた。盛装は動き辛い上に締め付けられるし、頭も重いので正直苦手だし、一区間とはいえこれで馬車で移動するのは正直勘弁してほしいのだが、お父様に逆らうわけにも行かないので仕方がない。
時間は少なかったが、優秀なクレアのおかげでなんとか着替えを済ませると、衣装の大変さはおくびにも出さないように気をつけて馬車に乗る。ここからはカーテンを開けて走るので、気を抜けない。
だんだんと、建物があちこちに見え始め、馬車が速度を落としてしばらくすると、立派な門を通過し、取り立てて立派で広大な建物の前で馬車が止まる。トレシア王国の中心、サン・ローレ宮殿だ。もともと魔法を用いて戦うことが多く、城であると同時に、砦としても意味も強いベルン公国のブレシアル城に対して、この周辺の均衡がある程度保たれるようになってから作られたここは平地にあり、洗練された印象だ。とはいえ、全体的に質実とした印象なのは、商売で繁栄を得たトレシアの堅実さを表していると言えるだろう。
先触れが走ったのか、既に迎えに揃っている王国騎士団の服装も、無駄な装飾がなく、国の規模に対して言えば質素な印象だ。無論見る人が見れば、最上級の生地と技術で作られたことは一目瞭然だが。
馬車が静かに止まり、護衛の騎士の手を借りて馬車を降りると、そこには出迎えに出てくれたのだろう。栗毛を短く切りそろえ、王族としてはやや地味とも言える印象を与える姿の王太子ロビンがいた。彼まで数歩のところで立ち止まったリリーはほんの一瞬周囲に意識を向ける。この国の王太子妃となる人物はどんな人なのか、多くの人に注目されるこの瞬間が今後の2国の未来を決める。最高の、ただしあくまでも上品な笑みを作ると、指の先にまで意識をして最上の礼を取る。ドレスの裾の動きまで意識して、礼一つでその場の空気を自分の味方にできる。そう知っていたリリーがゆっくりと顔をあげると、周囲が息を呑むのを感じる。
一方リリーが顔をあげるのを待ったロビンは、それまでかしこまっていた表情を少し和らげると、
「この度は我がトレシア王国へようこそ。噂に違わぬ美しい姫君をお迎えできてとても嬉しく思います。隣とはいえ馬車での移動は疲れたでしょう。本日は簡単な晩餐を一緒にとは思っていおりますが、まずは姫の部屋にご案内しますので、ゆっくりとくつろいでください。それから、本日の晩餐は私との簡単な顔合わせのようなもので父上、母上も出席しませんから、盛装の必要はありません。私も仕事の服のまま向かいますからそのつもりでどうぞ」
比較的事務的な物言いではあるが、こちらのことを気遣ってくれるし、何よりもその声音は穏やかで優しい。これでいて周辺国から「あの調子を真に受けると痛い目を見る」と恐れられるやり手の王子なのだが、少なくとも表面上でも気にかけてくれれば嬉しいものだ。
「お気遣いありがとうございます。このような盛大な歓迎、そして優しいお言葉を頂き感激しております。」
と、やや表情を緩めて返す。
そんな二人の格式張りつつも初々しいやり取りに周囲の空気もようやく和らぎ、そしてリリーはこの宮殿の侍女長だという女性に案内され私室に案内され、ようやく詰めていた息を吐き出すことが出来た。
集まっていた騎士団が王太子の護衛を除いて持ち場に戻り、荷下ろしも始まったのを見届けて、王太子も自身の執務室へ戻ってきた。そこで自身の側近に向けた発した言葉は訝しげなものだった。
「姫は想像以上に向こうで大変だったようだね。あんな少ない嫁入り道具に侍女が一人だなんて聞いたことがない。それにわざわざあんな盛装で来る必要もないだろう」
その声音はやや苛立っており、本気で姫のことを心配し、憤慨していることが見て取れる。
「ロビン殿下はリリー様のこととなると直ぐに感情が表に出ますね。くれぐれもお気をつけください。それにしても、確かにあそこまでわかりやすく冷遇するとは、衣装については一応王都の手前で着替えたようですがね。」
そう話すのはロビンが幼い頃から護衛として使える腹心の部下アンドリューだ。彼の前では本音が見えないともっぱらの評判のロビンはどこかへ行ってしまう。そんな主に苦笑しつつ、今日ここトレシアについた隣国の姫君のことを思い浮かべた。
「嫁入り道具が少ないのは準備期間の少なさゆえ、わざわざ盛装なのは、ベルンとしての精一杯の誠意を見せるため、というところなのですが、リリー様を困らせたい、という気持ちがありありと見えます。そんなことをしても逆効果なのですがねぇ。歓迎の場を明日にしたのは当然として、今日の晩餐も姫の負担になるだろうから、と陛下や妃殿下にまでご遠慮いただくほど、彼女のことを気になさっているわけですし」
その声音にからかいを感じたロビンは罰の悪そうな顔をする。実際リリーはこの結婚を政略だと考えているようだが、正直なところベルンに対してトレシアはそこまで期待していないし、あくまでもこれはまだ立太子していない時の外遊中にリリー姫に一目惚れして以来をの想いを貫き通したロビンの気持ちに沿ったものだった。
「まぁ、ベルンへの対応はおいおい考えるさ。リリー姫はもうこちら側に来たのだから、そうそうは手を出さないだろう。用心に越したことはないけどな。ところでそろそろ時間かな?」
そろそろとは彼女との晩餐のことだろう。楽しみなのは分かるが、約束の時間まで後1時間はある。
「まだまだですよ。ロビン様、そう、それこそそこの書類をもう一山は片付けられそうな程には」
苦笑を隠さないアンドリューはそう言いながら初恋を叶えられそうな主を再度仕事に集中させたのだった。
「トレシアは我が国にとって特に重要な国の一つであり、お前の今後の振る舞いが我が国の未来を左右するということを忘れず、王太子殿に従順であるように。お前の今後の幸運を祈っている。」
威厳たっぷりの姿でいかにも格式張った挨拶をするのは私の父であり、大公バウゼン。ギリギリ幸運を祈るという言葉が入っていたのが幸いだけど、特に昨日の晩餐会も終始形式的なものだったし、ブルーノ兄様に呼び出された以外は家族と個人的に話すこともなかった。
まあ、最も高位の家では子育てに親が直接関わることは少ないと言うし、こんな感じの家族関係の家も多いだろう。むしろ私は冷遇されていたとはいえ、別に暴力を受けたわけでもなく、大切にはされていた。そう考えれば感謝はするべきなのだろうと、
「これまで育てていただきありがとうございました。これからの我がベルン公国がますます栄えますよう、私も微力ながら努力してまいります」
そう言ったその気持ちは心からのものだった。
お別れがすむと、すぐに出発となる。隣国だからか、明日にはトレシアにつくということで先触れを出してしまっているのであまりゆっくりしている暇はない、とは護衛をしてくれる騎士団副団長の言葉。
ベルンではこういった慶事があると、光が空から降り注いだり、花が舞い上がったり、どこからともなく音楽が流れたりといった魔法を大公家を始めとした大きな魔力を持つ者たちが一斉に街中にかけ、お祝いムードを作るのだが、今回はそういったことはないらしい。
ただ、走り出した馬車から街を眺めると、時折本来咲かない季節のはずの花が咲いていたり、ちょっとした光が打ち上がったり、紙吹雪が舞ったり、と街の皆さんがお祝いに魔法を使ってくれているのが見えて和ませてくれた。リリーはそんなお祝いしてくれる皆の気持ちに笑顔で手を降って答えたのだった。
国境近くの村にある砦に一泊させてもらい翌朝早くに立つと、この時期であればトレシアの王都に陽が沈む前につくことができる。ベルンからトレシアに入ると街道が立派になるのがカーテンの隙間からでも分かり、揺れが土の道の不規則なものから石畳の規則正しいものに変わる。これらの街道は商業の要地として知られるトレシア王家が率先して整備したものだという。
この道一つ見てもこの国の凄さがわかるわ、と思っていると、馬車が止まり、馬車の手前の壁がコンコンと叩かれる。
「そろそろ、最後の休憩地のようですわ、姫様。」
「そうね、ここからは盛装で行くのよね、よろしくお願いするわね」
そうクレアと話し、ドアが開くのを待つ。今回トレシアに向かう馬車は5台。それ自体いくら小国といえども姫の嫁入りとしては少ないのだが、実際にトレシアに残ってくれるのはクレア一人で、それ以外の随行してくれている者達は、騎士も侍女も全てトレシアの城に一泊した後直ぐに帰ることになっている。とはいえ、本当はクレアも城に残り、一人嫁がされるところだったのを、なんとか父親に頼み込んでクレアを連れて行くことだけは認めてもらったのだ。
最もそのせいでクレアは私と二人だけで隣国とはいえ、異国で暮らすことになるので、そこは申し訳ないな、とも思っていたのだが、以前その話をすると、
「姫様の筆頭侍女となったときからこうなる、と思っておりましたので問題ありません。むしろ私は一生姫様に使えると決めておりますので置いていかれる方が辛いですわ。それにトレシアの方が騎士も従僕も優秀だと聞きますからねえ、仕事も恋も、充実させて見せますわ。」
と、意気込んでくれたので少し気が楽になった。正式な歓迎は到着の翌日だそうなので、今日については旅装でも構わないはずなのだが、「何事も最初が肝心、少しの無礼もないように」というお父様の方針で、王都の手前の街道に宿を取り、盛装に着替えることになっていた。盛装は動き辛い上に締め付けられるし、頭も重いので正直苦手だし、一区間とはいえこれで馬車で移動するのは正直勘弁してほしいのだが、お父様に逆らうわけにも行かないので仕方がない。
時間は少なかったが、優秀なクレアのおかげでなんとか着替えを済ませると、衣装の大変さはおくびにも出さないように気をつけて馬車に乗る。ここからはカーテンを開けて走るので、気を抜けない。
だんだんと、建物があちこちに見え始め、馬車が速度を落としてしばらくすると、立派な門を通過し、取り立てて立派で広大な建物の前で馬車が止まる。トレシア王国の中心、サン・ローレ宮殿だ。もともと魔法を用いて戦うことが多く、城であると同時に、砦としても意味も強いベルン公国のブレシアル城に対して、この周辺の均衡がある程度保たれるようになってから作られたここは平地にあり、洗練された印象だ。とはいえ、全体的に質実とした印象なのは、商売で繁栄を得たトレシアの堅実さを表していると言えるだろう。
先触れが走ったのか、既に迎えに揃っている王国騎士団の服装も、無駄な装飾がなく、国の規模に対して言えば質素な印象だ。無論見る人が見れば、最上級の生地と技術で作られたことは一目瞭然だが。
馬車が静かに止まり、護衛の騎士の手を借りて馬車を降りると、そこには出迎えに出てくれたのだろう。栗毛を短く切りそろえ、王族としてはやや地味とも言える印象を与える姿の王太子ロビンがいた。彼まで数歩のところで立ち止まったリリーはほんの一瞬周囲に意識を向ける。この国の王太子妃となる人物はどんな人なのか、多くの人に注目されるこの瞬間が今後の2国の未来を決める。最高の、ただしあくまでも上品な笑みを作ると、指の先にまで意識をして最上の礼を取る。ドレスの裾の動きまで意識して、礼一つでその場の空気を自分の味方にできる。そう知っていたリリーがゆっくりと顔をあげると、周囲が息を呑むのを感じる。
一方リリーが顔をあげるのを待ったロビンは、それまでかしこまっていた表情を少し和らげると、
「この度は我がトレシア王国へようこそ。噂に違わぬ美しい姫君をお迎えできてとても嬉しく思います。隣とはいえ馬車での移動は疲れたでしょう。本日は簡単な晩餐を一緒にとは思っていおりますが、まずは姫の部屋にご案内しますので、ゆっくりとくつろいでください。それから、本日の晩餐は私との簡単な顔合わせのようなもので父上、母上も出席しませんから、盛装の必要はありません。私も仕事の服のまま向かいますからそのつもりでどうぞ」
比較的事務的な物言いではあるが、こちらのことを気遣ってくれるし、何よりもその声音は穏やかで優しい。これでいて周辺国から「あの調子を真に受けると痛い目を見る」と恐れられるやり手の王子なのだが、少なくとも表面上でも気にかけてくれれば嬉しいものだ。
「お気遣いありがとうございます。このような盛大な歓迎、そして優しいお言葉を頂き感激しております。」
と、やや表情を緩めて返す。
そんな二人の格式張りつつも初々しいやり取りに周囲の空気もようやく和らぎ、そしてリリーはこの宮殿の侍女長だという女性に案内され私室に案内され、ようやく詰めていた息を吐き出すことが出来た。
集まっていた騎士団が王太子の護衛を除いて持ち場に戻り、荷下ろしも始まったのを見届けて、王太子も自身の執務室へ戻ってきた。そこで自身の側近に向けた発した言葉は訝しげなものだった。
「姫は想像以上に向こうで大変だったようだね。あんな少ない嫁入り道具に侍女が一人だなんて聞いたことがない。それにわざわざあんな盛装で来る必要もないだろう」
その声音はやや苛立っており、本気で姫のことを心配し、憤慨していることが見て取れる。
「ロビン殿下はリリー様のこととなると直ぐに感情が表に出ますね。くれぐれもお気をつけください。それにしても、確かにあそこまでわかりやすく冷遇するとは、衣装については一応王都の手前で着替えたようですがね。」
そう話すのはロビンが幼い頃から護衛として使える腹心の部下アンドリューだ。彼の前では本音が見えないともっぱらの評判のロビンはどこかへ行ってしまう。そんな主に苦笑しつつ、今日ここトレシアについた隣国の姫君のことを思い浮かべた。
「嫁入り道具が少ないのは準備期間の少なさゆえ、わざわざ盛装なのは、ベルンとしての精一杯の誠意を見せるため、というところなのですが、リリー様を困らせたい、という気持ちがありありと見えます。そんなことをしても逆効果なのですがねぇ。歓迎の場を明日にしたのは当然として、今日の晩餐も姫の負担になるだろうから、と陛下や妃殿下にまでご遠慮いただくほど、彼女のことを気になさっているわけですし」
その声音にからかいを感じたロビンは罰の悪そうな顔をする。実際リリーはこの結婚を政略だと考えているようだが、正直なところベルンに対してトレシアはそこまで期待していないし、あくまでもこれはまだ立太子していない時の外遊中にリリー姫に一目惚れして以来をの想いを貫き通したロビンの気持ちに沿ったものだった。
「まぁ、ベルンへの対応はおいおい考えるさ。リリー姫はもうこちら側に来たのだから、そうそうは手を出さないだろう。用心に越したことはないけどな。ところでそろそろ時間かな?」
そろそろとは彼女との晩餐のことだろう。楽しみなのは分かるが、約束の時間まで後1時間はある。
「まだまだですよ。ロビン様、そう、それこそそこの書類をもう一山は片付けられそうな程には」
苦笑を隠さないアンドリューはそう言いながら初恋を叶えられそうな主を再度仕事に集中させたのだった。
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