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第1話
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「お前の役目は、ソル王子を殺すこと。期限は7日7晩……それを過ぎれば、貴様が死ぬ事になる」
「はい」
……ふん、やるわけありませんの!
あの国には……大切な人が…いるのに……
例え、私が死んでも、『暁の君』がいるあの国に害を与えるなんて出来ませんわ……
部屋から出たアマルは、静かに涙を流した。この先に待つ、抗えない運命に……
✾✾✾
「よろしくお願いしますね、ソル様」
「…………」
砂漠の国カヴァル
この国に、聖王国センシェルより第5王女アマルが輿入れした。
表向きには、カヴァルとセンシェルの友好の為とされているが、砂漠の国の民はみな分かっていた。
この結婚は戦争の為の布石だと。
あの女は、何かをするために送られてきた女だと……。
「女、俺達はいま、この地を守護してくれている竜達の様子を確認している最中だ。共に旅に出てもらうぞ」
「分かりましたわ」
私は頷く。
一切の警戒心を解かずに私に接する彼は、カヴァルの王子ソル様です。
ちょっと、子供の頃に会った『暁の君』に似てますわね……あの方はきっと、この国に使える戦士になっているはず…死なせたくはありませんわね。
もう、顔もあまり覚えていませんけれど……でも、ソル様と同じ輝く金の髪だったのは覚えてますわ。太陽のように温かくて、元気を分けてくれる、そんな存在でした。
……ソル様の事です。
私がセンシェルの刺客だという事は、彼も気付いているでしょう。だからこそ、危険な砂漠の旅に同行しろと言うのですわ。
砂漠の国は、昼と夜との気候の温度の差が激しく旅は過酷を極めますの。砂漠の国の戦士でも、音を上げる者が出ると聞きますし。そんな過酷な旅に他国の女、ましてや王女たる私に務まるとは思ってないのでしょう。すぐに音を上げて、国に帰ると思っているはずですわ。例え、自分達に害を与えるためでも、無理して付いてくることはないだろうと。
そう思ってるはず……
でも、私は彼らに危害を加えるつもりはありません。
私が彼らに危害を加えない事で、センシェルは何か仕掛けてくるでしょう。ええ、必ず。
だから、私は彼らに付いて行くのですわ。
私は家族に内緒にしていましたが、特殊な能力がありますの。魔物や動物と会話が出来ますのよ。その力を使って私が生きている間は、必ず守ってみせますわ。
そのために同行しますの。
「はい」
……ふん、やるわけありませんの!
あの国には……大切な人が…いるのに……
例え、私が死んでも、『暁の君』がいるあの国に害を与えるなんて出来ませんわ……
部屋から出たアマルは、静かに涙を流した。この先に待つ、抗えない運命に……
✾✾✾
「よろしくお願いしますね、ソル様」
「…………」
砂漠の国カヴァル
この国に、聖王国センシェルより第5王女アマルが輿入れした。
表向きには、カヴァルとセンシェルの友好の為とされているが、砂漠の国の民はみな分かっていた。
この結婚は戦争の為の布石だと。
あの女は、何かをするために送られてきた女だと……。
「女、俺達はいま、この地を守護してくれている竜達の様子を確認している最中だ。共に旅に出てもらうぞ」
「分かりましたわ」
私は頷く。
一切の警戒心を解かずに私に接する彼は、カヴァルの王子ソル様です。
ちょっと、子供の頃に会った『暁の君』に似てますわね……あの方はきっと、この国に使える戦士になっているはず…死なせたくはありませんわね。
もう、顔もあまり覚えていませんけれど……でも、ソル様と同じ輝く金の髪だったのは覚えてますわ。太陽のように温かくて、元気を分けてくれる、そんな存在でした。
……ソル様の事です。
私がセンシェルの刺客だという事は、彼も気付いているでしょう。だからこそ、危険な砂漠の旅に同行しろと言うのですわ。
砂漠の国は、昼と夜との気候の温度の差が激しく旅は過酷を極めますの。砂漠の国の戦士でも、音を上げる者が出ると聞きますし。そんな過酷な旅に他国の女、ましてや王女たる私に務まるとは思ってないのでしょう。すぐに音を上げて、国に帰ると思っているはずですわ。例え、自分達に害を与えるためでも、無理して付いてくることはないだろうと。
そう思ってるはず……
でも、私は彼らに危害を加えるつもりはありません。
私が彼らに危害を加えない事で、センシェルは何か仕掛けてくるでしょう。ええ、必ず。
だから、私は彼らに付いて行くのですわ。
私は家族に内緒にしていましたが、特殊な能力がありますの。魔物や動物と会話が出来ますのよ。その力を使って私が生きている間は、必ず守ってみせますわ。
そのために同行しますの。
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