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本編
永遠に君と (現在)
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白亜の城を怒号と、金属音が響く。
ドカドカと足音を轟かせ迫り来る軍勢は、各々、斧や桑を持っていた。
度重なる徴収に、食う物が無くなり、大切な家族を亡くし、民の怒りを王国は買った。
民を先導するのは、1人の青年だ。
彼もまた、大切な家族を亡くした1人だった。
我慢の限界に達した青年は、自分の命を顧みず、王国に喧嘩を売った。
多くの民が、青年に感化され後に続き、やがて王国を揺るがす反乱を引き起こした。
『どこだ!…探せ!見つけ次第、殺せ!』
怒号が飛び交う中、城の中を1人の青年が駆け抜けていた。
「はぁ……はぁ……はぁ、っは」
(頼む!頼む!頼む!)
バァーン
ドアを蹴り開け、中に踏み込めば、神聖な空気が通り抜けた。そこは聖堂で、聖女が祈りを捧げる場所であった。
祭壇の前には1人の少女が、横たわっていた。
横たわる少女の周りは、真っ赤な血で染まっていた。
(間に合わなかった……)
少女の傍らに駆け寄り、抱き寄せる。
「レティ……
レティ…………レティィー!!!!」
「う……るさいぞ、アル…ト」
「っ!!……レティ!」
薄らと瞳を開けて、青年を見やると
青年は、顔をクシャリと歪ませ涙を流す。
ボロボロと、少女の顔に涙が伝う。
「な……んだ、泣いて、おる、のか?アルトよ。そな、たが…泣くなど、初、めて見る……な」
「レティ…」
「何時…も、妾に、は、毒舌…ばかりじゃったのに…、
覚えて……おる、か?初めて、会…った、あの…日、の」
「覚えている!覚え、て……
忘れるものか…!」
「あの日……も、そな、たは、小言、と、毒舌…で、あった、な」
額から流れ出る汗が、少女の頬を滑っていく。無理して話す彼女が痛々しい。
それでも、少しでも長く、彼女と言葉を交わしていたい。
「貴方が、小言を言わせるような、行動を取るから、ですよ」
「そう……か、懐か…、しいのぉ」
ドカドカと足音を轟かせ迫り来る軍勢は、各々、斧や桑を持っていた。
度重なる徴収に、食う物が無くなり、大切な家族を亡くし、民の怒りを王国は買った。
民を先導するのは、1人の青年だ。
彼もまた、大切な家族を亡くした1人だった。
我慢の限界に達した青年は、自分の命を顧みず、王国に喧嘩を売った。
多くの民が、青年に感化され後に続き、やがて王国を揺るがす反乱を引き起こした。
『どこだ!…探せ!見つけ次第、殺せ!』
怒号が飛び交う中、城の中を1人の青年が駆け抜けていた。
「はぁ……はぁ……はぁ、っは」
(頼む!頼む!頼む!)
バァーン
ドアを蹴り開け、中に踏み込めば、神聖な空気が通り抜けた。そこは聖堂で、聖女が祈りを捧げる場所であった。
祭壇の前には1人の少女が、横たわっていた。
横たわる少女の周りは、真っ赤な血で染まっていた。
(間に合わなかった……)
少女の傍らに駆け寄り、抱き寄せる。
「レティ……
レティ…………レティィー!!!!」
「う……るさいぞ、アル…ト」
「っ!!……レティ!」
薄らと瞳を開けて、青年を見やると
青年は、顔をクシャリと歪ませ涙を流す。
ボロボロと、少女の顔に涙が伝う。
「な……んだ、泣いて、おる、のか?アルトよ。そな、たが…泣くなど、初、めて見る……な」
「レティ…」
「何時…も、妾に、は、毒舌…ばかりじゃったのに…、
覚えて……おる、か?初めて、会…った、あの…日、の」
「覚えている!覚え、て……
忘れるものか…!」
「あの日……も、そな、たは、小言、と、毒舌…で、あった、な」
額から流れ出る汗が、少女の頬を滑っていく。無理して話す彼女が痛々しい。
それでも、少しでも長く、彼女と言葉を交わしていたい。
「貴方が、小言を言わせるような、行動を取るから、ですよ」
「そう……か、懐か…、しいのぉ」
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