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第二部
88.
しおりを挟む「スキルいくぜ!!」
ビージェイのスキルが起点。
「ドレインスラッシュ!!」
ビージェイが、構えからではなくコールしてスキルを放つ。
そして、俺がその時持っていた武器のスキルも同じもので。
俺の視界にはCHAINの文字が浮かぶ。
「チェーン!」
コールすれば発動させられるため、そう叫んだ。
俺の体はシステム的アシストの後押しによって、ビージェイの側面からキングストロングナイトにスキルを発動した。軌道には DRAIN SLASHの文字、そして、 CHAIN!の文字が大きく宙に表記されてトータル2000オーバーの大ダメージ。
俺はすぐに左手で装備を変更して、一度動き始めると俺の左手は忙しくなる。
「次いくよ~」
マリシャが投剣ではなく鋸剣を装備していて、エネミーに突進して行く。
「シェイブストライク~!」
スキルによる突きを放つマリシャ。
この時、俺が装備を変更し終えて視界には再びあの文字が浮かぶ。
本来装備変更後でスキルはリチャージ中だが、スキルチェーンには片方がスキルを発動するだけで、もう1人はリチャージを待たずに発動できるのが仕様である。
「チェーン!!」
マリシャの真横で俺の手に持つ鋸剣が突き刺さる。
一瞬目が合ったマリシャのウインクの意味は分からなかったが、俺はすぐに左手で装備を変更する。
「行きます!!」
ナナの掛け声は、組み手や稽古の時にする掛け声を思わせる。
俺は短剣を手に SHAVE STRIKEの文字を通り抜け移動する。
「ガトリングラッシュ!」
高速連撃であるそのスキルは、人の動きを超えていた。
「チェーン!!」
攻撃を断続するナナと、付かず離れずの連携攻撃。ナナは笑みを浮けべて俺に何かを言い、それはおそらく、〝最後決めて〟だろうと俺は勝手に判断した。
今までの流れですでにカイトは理解していた。歪剣に装備を変更した俺は、カイトとキングストロングナイトを挟んで向かい合う。
「カイト!!」
「ヤト!!」
互いに名前を呼び合い準備は整った。お膳立てのおかげでキングストロングナイトのHPバーも瀕死寸前。初見回避不可のスキルも、類似性の高い範囲スキルで出が遅いのはすぐに分かった。そして、走り出したカイトが叫ぶ。
「スネークバイト!」
歪剣が生き物のように突き刺さり、今度は俺が叫ぶ。
「チェーン!!」
対極にいる俺が一瞬でキングストロングナイトに突っ込むと、斬撃の通過した部分が鮮やかなライトエフェクトを放ち、そのHPバーを削り切る。
エフェクトを放ち消失するエネミー。
スキルの反動で交差するカイトと俺。
ビージェイにマリシャ、ナナにカイトを俺の武器変更で繋げる。
「スキルチェーン〝コネクト〟だね」
カイトの満面の笑みに俺は、「どうだ?気持ちよかっただろ――」と声をかけた。
「すーーーご~く!良かった!!」
カイトの言葉に、俺は手を上げてハイタッチを要求する。
すると、パチンと音を立てて俺の手にハイタッチしたのは、興奮したビージェイだった。
「うまくいったな!!おい!!」
続けてマリシャ、そしてナナがハイタッチする。
「いい連携だったわね~」
「完璧だよ皆!」
そして漸くカイトの番になると、カイトは頬を膨らませてハイタッチではなくタックルをした。俺は完全に油断して直撃し地面に倒れこむ。
「っつ~カイト?いきなり何を――」
俺は胸に抱きつくカイトが泣いていることに気付いた。
ありがとうみんな。
そう呟いてカイトはしばらく泣き続けた。
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