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五章
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しおりを挟むマトの国、内乱は王宮内で最小の規模で行われ、アシム王子率いる私兵と、ウジ大臣率いる私兵の戦いで行われていた。
それは流行り病で軍隊はほぼ動かせないままで、そんな中でアシム王子がウジに宣戦した。
アシムは今実権が必要だった。カイナを探すため、カルの国へ攻め込むためには今必要だったのだ。だから、今は形振り構わず噛みついている。
「ウジ様、我々の戦力では王子派閥の私兵と戦うことは難しい状況です」
「何故だ!?どうして勝てない!我々の方が数では上であろう?」
王子の私兵は王家の剣、ウジの私兵は金で動く傭兵、その意志の重さ深さで強さの強弱ははっきりと出た。
「人は死ぬ、永遠に生きてる人などいない、そうだろウジ?」
「お、王子……自ら出てくるとは、意外ですね」
王子はその右手に血に染まった剣を持ち、ウジは背後に刃の細い短剣を持つ。
「おやじや、親父側の強い私兵を貴様が亡き者にするために泳がせた……結果、貴様はよく泳いでくれた、おかげでこうして難なく私が実験握ることができるわけだ」
「泳がせただと?ふっ面白い戯言だ――」
ウジはここまで全ての計画が自身の手のひらで行われている、そう思い込んでいたが、前王が病に伏したのはアシムによる工作であり、前大臣のホウが薬師を雇うよう仕向けたのも彼であることは事実だった。だが、ウジはそれを理解することはない、そう、その首を刎ねられるその瞬間も。
「暗躍する者、大概その背後を気にすることはない、見ていて滑稽だったぞ。……さぁ、カイナを迎えに行く準備ができたな、フフフッ待っていろカイナ!」
その近日、マトの国がカルの国へと宣戦布告し、攻め立てることになった。
カルの国の街テンにいるユイナは、マトとカルとの戦争に巻き込まれてしまう。
だが、戦争といってもほぼ一方的なもので、カルは首都を制圧され簡単に王は打ち取られてしまった。
その迅速な戦いの期間はたった二日間で、その短い間にカルという国は無くなり、カルだった場所は、元々の土地の名を使いジュカクと命名され、マト国ジュカク州として統治されることになった。
「カルの金貨が鋳つぶされ、マトの金貨に変わった以外、他に変化はなかったわね」
そう言うユイナもその流れの中心にいたが、大した変化はなかった感覚でいた。
「いや、かなりの変化だよ、薬学院は全体の職員が無職になって、再度学のある者を採用すると聞いたし、僕もこれで学院教諭になれそうだよ」
「たしか、お義父さんを嫌っていた現学院長に採用を不採用にされていたんだっけ?でも、ダブハさんならうちの店かお義母さんの店で働けば問題ないのに」
ダブハの母の店は今も好調で、ユイナの店もその支店としてかなり盛況である今は、ダブハが働く場などどうとでもなる。だが、ダブハは前から薬学の教諭になりたくて勉学に励んでいた。
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