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四章
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しおりを挟む「本当に助かったわ、で、紹介してくれないの?ロウ」
獣の姿のままのロウは娘に夢中で尻尾もご機嫌だった。そのため、ユイナは自分で自己紹介しようとカイナの隣に腰かける。
「ロウさんの古い知り合いの孫の孫の孫の孫の孫の……とにかく、孫のユイナと言います」
あまりに孫の数が多かったため、カイナは苦笑いで返す。
「ユイナさん、本当にありがとうございました、何から何まで――」
「いやいやぜんぜん、結局カイナさんの助言なしじゃ、あたしなんて役に立たなかったですしね、いや本当に」
ユイナはそう言うと一呼吸置いて頭を下げる。
頭を下げる意味が分からないカイナは、戸惑って彼女に理由を尋ねた。
「どうしたの?話してみて」
「お願いがあります、私をここで働かせてもらえないでしょうか」
「ここで働く?」
「あたしは帰ったら嫌いな相手と結婚させられ、その子どもを孕ませられます」
「……だからここで働きたいの?」
はい!と言うユイナに、カイナはすぐには頷かなかった。
それはこのジュカクがそれを差し引いても、人狼に厳しい地であることをカイナはよく知っていたからだ。
「ここで働くのは辛いことが多いと思うわ、日の国がどうかは知らないんだけど、この国の兵士は人狼にはとても冷たいのよ、今はあなたのことだけかもしれないけど、いずれは子どものこととか色々状況が変わってくるのよ?」
カイナは心配そうに話すと、その立場に自分も当てはまることに気付いて少しだけ不安になる。ただ、それに気付いたロウがそっと傍へと寄って来て、人の姿で隣に寄り添う。
「カイナ、どうした?」
「ううん、大丈夫――」
カイナの言葉を聞いて俯いたユイナ、だが、すぐに顔を上げるとハキハキと言う。
「私!こう見えてもタフですから!あと!人に化けるのは得意なんで!」
確かにユイナが狼の姿に代わったところをロウも見たことがない、おそらくは、彼女もロウのように人間に近しい側として生まれて、それゆえに人の姿で長く過ごせるのだろう。
ユイナがハッキリと意思を示すと、カイナはそれ以上反対することはしなかった。
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