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ダイバー編

二十三話 タワーのボス

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 ベルギットとエリカの前でカイネルが寝てしまったその数日後、タワーを揺るがす衝撃的な事件が起こる。

 それは、王国軍が久しぶりにタワー攻略をするために、タワーの麓に集まった翌日と時を同じくした。

 この日、クロスハートのギルドマスター、ゼガード・リオ・ラインハートとサブマスターのラウロウ・レレイが委託で攻略指揮を請け負った。

 というのも、ダンダ・リオ・ラインハートがもうタワーに対して何の好奇心も無いからで、その理由がワールドというタワーの覇者の前に、その攻略がすでになされていると知ってしまったからにほかならない。

 だが、それを知らないゼガードとラウロウにしてみれば、まだまだタワーは未攻略の地なのだ。我先に攻略しようと、わざわざ王国軍から意欲のある元ダイバーたちを集めて、この日攻略の準備にかかっていた。

 そして、時を同じくして、タワーではカイネルが一人で89層にて以前からあった石像の異変に気が付いて、それを調査するためにホチアとセヴンを伴っていた。

「これ、やっぱりモンスターだってさ、コロロもシュシュも凄く怖がってるよ」
「そうか……ならボクの仮説が当たっているのかもしれないな」

 カイネルの含みのある言葉に、セヴンは声をかける。

「主、その仮説とは?」
「うん、これはアルティマナ、このタワーの本来の最終ボスだよ」

 それはタワーというダンジョンにおいて、本来のラストフロアに君臨するべき敵だった。

「何かしらの結果で本来いるべき場所ではなく、89層のこんな狭い部屋に上からはまってしまった……と思いたい」
「思いたい?それはどういう意味ですか?」

「……あんまり考えたくはないけど、アルティマナはおそらくこのタワーから出ようとしてここまで移動したんだと思う」

「モンスターがタワーから?」
「あくまで推測だけどね、でも稼働限界がこいつを石像に変えたんだよ、起動に必要なあの99層にある明るい光、あれが特殊な光なのかは分からないけどアルティマナの稼働源だったんだと思う」

 カイネルはそっともう動かないそれに触れると、「もう何者も彼を起こすことはないだろうけどね」と笑みを浮かべて言う。

「ではどうして今日はここへ?」
「今日は、コロロにボクの推測が当たっているかを確認するためだよ」

 そう言ってホチアの頭の上の毛むくじゃらのモンスターに視線を送るカイネルは、その返答を楽しみに待つ。

「ごめんなさいだって、コロロはフォレストのナビで、タワーにはタワーのナビがいるからって言ってるよカイネル」

 ホチアがそうコロロの言葉を伝えると、カイネルは、「ならそれをホチアにテイムしてもらうしかないね」と彼女の頭を撫でた。

「任せてよ!クーリエとしての腕の見せ所ってやつさ!」
「お願いするよホチア」

 そうしてカイネルはセヴンとホチアと、タワーのナビたるモンスターを探し始めた。

 その時は、89層に何者もすぐに現れることはないと考えていたカイネルだが、予想外だったのは、王国軍タワー攻略隊にドラゴンヘッド、いや、ドラゴンブレスのフィリアナ・マキナとそのテイムモンスターゴーストと名付けられたモンスターをともなっていたことだ。

 幾重にも裂けたスカートに、薄い青紫の髪から時々隠れた赤紫色の左目を覗かせる女が、はた目からは宙に浮いているように見えるのは、そのテイムモンスターが霊魔と呼ばれるタイプのモンスターだからだ。

「フィリアナどの、攻略の準備はよろしいですか?」

 そう彼女に声をかけたのは、クロスハートのサブマスターであるラウロウ・レレイで、彼はその軍師風の風貌にメガネをかけていることから、部下からは時折戦術家などとあだ名をつけられるが、れっきとしたダイバーで戦闘向きのスキルも持つ男だ。

「……問題ないわ、ゴーストがいればタワーなんて問題にもならない」

 彼女が足を組み替える様子を見ていたクロスハートのゼガード・リオ・ラインハートは、その美麗な姿に一瞬見惚れ、その場で声をかける。

「……フィリアナ、あなたは恋人ないし男は傍にいるのか?」

 そのゼガードの言葉に、ラウロウは内心溜息を吐く。確かに彼女は美しい身形で、男からすると声をかけずにはいられないだろうが、彼からしてみれば女よりタワー、性欲よりも名声が欲しいと考えていて、ゼガードのこの発言に呆れてしまったのだ。

「ゼガード、くだらん気持ちは捨てろ、今はギルドマスターとしての仕事があるだろ?」
「……そんな事は分かっているが、彼女がいつまでも一人とは限らない、それにもう誰かいたのなら、早めに俺に振り向かそうとするのは必然だろ」

 勝手にしろと言わんばかりに、ラウロウはその場から離れる。

「で、フィリアナ、あなたは今男はいるのか?」
「……いません、でもお慕いしている方がいます」

「それは誰だ?どんな男だ?俺よりも強いのか?」

 フィリアナはクスリと笑みを浮かべると、片手をタワーに向けて伸ばす。

「その名は今やこの国やユラダリア、バルファーデン、カフド、我がドラゴンヘッドにも名をとどろかせるお方、ワールド様、彼以外に私がお慕いしている方はいないですし、これからも現れないでしょう」
「よりによって、アイツか……」

 呟くゼガードは握り拳を作る。

「今回のタワー攻略への助勢するのも、報酬にワールド様との面会を得られるからです。ワタクシには、あの方以外は男と思える方はいません、今までもこれからもね」
「くそっ」

 小さく吐き捨てたゼガードは、内心、分が悪いと思いながら、それでも見上げるフィリアナを欲せずにはいられない様子だった。

「皆!準備は整った!これよりタワー攻略へ向かう!」
「「「おお!」」」

 そうして、何度目かの軍団規模タワー攻略が開始された。


 タワーのナビを探すカイネルとホチアとセヴン。

 もちろん簡単には見つかるはずもなく、一度タワーのクリアルームで情報を集めることをカイネルが提案した。

「……モンスターに関する記述がアルティマナに関するものだけってのは、不親切だと思うんだよね」

「でも、違和感があるね!ってコロロが言ってるよ」
「……違和感と言われても、私にはただタワーに関して書かれてるとしか思えないが」

 セヴンはリンクによって、古代語の読み書きを修得していて、タワーの古代語も難なく読めるが、その知識知能ともに平凡であるために、情報収集力は低い。

「……コロロ、それが何を意味してるかウチには分からないんだよ」
「コロロは何て?」

「アゴタムダレシオンナシレイガキムテニレニレト、コロロはそれがナビだって言ってるのさ!でも、意味不明でしょ?」

 確かに、それの意味するところはカイネルも分からない。ただ、いるという事は分かっている。それに関してもう少し情報があればいいが、タワーではそれ以上の情報は得られないままで、三人は一度スカイブロックへと帰った。

 スカイブロックへ帰ると、そこでは謎の警報に困惑するナンバーネームズたちがいた。

「カイネル様!」
「どうしたんだい?この警報は?」

「わ、わからないの、怖いの、きっと危ないの」

 エイトスとナインスの二人がカイネルに慌てて近づく。

 二人に事情を聞いたカイネルは、すぐにスカイブロックのコントロールルームへと向かう。

 そこは、スカイブロックを操作するシステムの中枢で、カイネルもナンバーネームズたちもまだ完全には把握できていない場所だ。

 そんなコントロールルームについたカイネルは、全体ステータスという項目をタッチパネルで操作すると、目の前にスカイブロックの状態が青文字と赤文字で表示される。

「……エマージェンシー、トランスファーエラー、これは前からあるね、アディショナルエラー、タイプ……アウェイクニング?」
「覚醒、目覚め、そう言った類ですわね、そう言えば、アーカイブにもそんな記載があったような」

 そう言うクススに、カイネルはすぐにアーカイブを開いた。

『閲覧権を承認しました、アーカイブを開きます』

 音声後に視界に広がる文字や絵の類に、カイネルは少しだけ沈黙して理解する時間を作る。

 魔法の紙同様空中に表示されるそれらで、ヘルプという文字を探し、それをヒントにして彼は今までも何とか理解していた。

「ここをこうするといいですわ、王子様、ここに確かその記載がありましたよ」

 満面の笑みのクススが丁寧に教えてくれるおかげで、カイネルはすぐにアーカイブを使いこなすようになったが、密着してくる手には少しだけ戸惑う。

「これなんか勉強になりますよ」

 そう言ってクススがアーカイブを操作すると、カイネルとホチアとナンバーネームズたちが集まるその場に、女の喘ぎ声と男の責めるセリフが響き出して、思わずカイネルはホチアの目を押さえる。そのホチアはテンスの目を押さえ、テンスはナインスの目を押さえた。

「私たちは、この資料で男と女の営みを勉強しました。もちろん全員とリンクしているので今更恥ずかしがる者もいないでしょう」

 と視線を姉妹に向けるクススは、睨むフォースと苦笑いのカイネルを見て、首を傾げた。

「クスス、ハレンチ、ダメ」

 フォースがそれを閉じると、「いつかは私たちも王子様とすることですよ?」と悪びれる様子もなくクススは言う。

「ははは、皆はボクとしたいのかい?」

 冗談交じりにそう言うカイネルにここぞとばかりに彼女らは食いつく。

「主と是非に!」
「殿に捧げる所存です!」
「ぼく、かいねる、する、して?」
「もちろん王子様としたいですわ!」
「私もしたいな~へへへ」
「そ、想像したら緊張してきた……出ちゃう、かも」
「「カイネルとしたい!」」

 それぞれにそう言うナンバーネームズたち。

「カイネル、ナインス……するの?エッチな事……するの?」
「……」

 さすがのカイネルも、ナインスの言葉には簡単に言葉も返せない。

「そ、そうさ!カイネルはいつかみんなとするさ!」

 ホチアはフォローのつもりでそう言ったが、カイネルは苦笑いしかできずに「い、いつかね」とその場を濁した。

 その後、アーカイブを見続けていたカイネルは、一つの項目で目を止める。

「覚醒、因子、コアブロック、アバターシリアル921、テスタメント、787……ん~」

 単語で検索して出てくる文字を読むと、カイネルは頭を悩ませる。

 肝心の覚醒や目覚めに関する項目は、唯一クススが言っていたものだけだった。

「は~、性の目覚め、ってこと以外には特に何も見つからないな~」

 体を床に寝かせたカイネルは呟く。

「目覚め、覚醒、アバター、アバターが目覚めた、アバターが目覚めた?コアブロックで、アバターが目覚めたことをスカイブロック側が感知したことを知らせていたとしたら……」

 それこそ、これまでの行為が徒労というわけで、カイネルは再び溜息を吐く。

 そうして目を閉じていると、不意に股の上に重みを感じて目を開ける。

「カイネル様、ご飯、食べる?食べない?」
「ナインスかい、ご飯か……そうだね食べようかな」

 ナインスはカイネルの腰の部分の上に跨っていて、何故かゆっくりと体を前後させ始める。

「あんあん、あんあん、これな~に?」
「……ん~だめだよナインス、キミにはまだ早いよ」

 カイネルはナインスを両手で抱き上げると、彼女は、「ヒコーキ」と言って手を広げた。

「ヒコーキ?何だいそれは?」
「空飛ぶフネ~」

 ナインスの言葉に、スカイブロックの事だろうとカイネルは思い込んだ。

 その日のご飯はテンスとホチアが作ったもので、随分マシになった食事だった。

 最初の頃はチカミチの料理を神からの贈り物の様に食べていた彼女たちは、料理というものとは無縁だった様子だ。

「セカンド姉様の料理にはまだまだですが、殿……いかがですか!」
「うん、普通に食べれるよずいぶんよくなった、そのうちボクの妹たちと変わらないくらいの腕前になるよテンス」

 カイネルに褒められたテンスは、「ハァハァ」と自身がカイネルに抱き付かれて喜ばれる様子を想像していた。

 そんなテンスにフィフスも、「へへへへへ」と脳内でカイネルに手料理を振る舞い、ご褒美に頭を撫でてもらう様子を思い描く。

「ホチアさん、私も料理教えて下さい!」
「フィフスも?でもウチもベルギットさんに教えて貰ってるからな~」

「フィフス姉様!一緒にベルギット様にご教授してもらいましょうぞ!」
「うん!頑張る!」

 ハァハァへへへと二人が自身の未来を見ている様子に、ホチアは少しだけ不安を口にする。

「二人とも、料理中には妄想とかしないように!」

 食事を終えたカイネルは、一人再びアーカイブを調べ始めた。

 カイネルが目覚め、覚醒に関して調べている時。

 タワーでは攻略一日目にして51層に到達して、そこで日が暮れダンジョン内にはダークサイドやその上位種のシャドーハンターがうろつき始めて、部隊は翌朝までキャンプを張ることになった。

 初日で51層まで登れたのも、やはりフィリアナ・マキナのテイムモンスターであるゴーストという戦力のおかげだ。

「しかし、テイムとは便利なものだな、ダイバー……そちらではウォーカーだったか、その一人の戦力を上回るどころか、数パーティーを上回る戦力だ」

 ゼガードの言葉に、ラウロウもメガネを持ち上げて同意する。

「戦力比など一対百でも見合わないほどだな」

 二人がそう言うも、フィリアナ自身はそうは考えていない。

「確かに凡人なら戦力としてゴーストのようなテイムモンスターは圧倒するでしょう。ですが凡人ではない、圧倒的センスを持つウォーカー、ダイバーなら所詮モンスターはモンスターですよ、我々の頭だったスターのテイムモンスタードラゴンのリアーノンも、謎のモンスターに負けたと言われていますが、実際にワールド様がその剣を扱えば、ドラゴンでさえも圧倒して勝利したでしょう」

 彼女の言葉には二人とも反応しなかった。

 男としてワールドの強さは認めたくないものがあるゼガードと、顔すら隠していることに不満を持つラウロウはそもそも認めようとすら思っていない。

「どうせなら、このタワーも攻略して欲しいところだな」

 ゼガードが冗談でそう言うと、茶を啜るラウロウは鼻で笑う。

 しかし、フィリアナの何気ない言葉にゼガードは口と目を見開き、ラウロウは鼻から口から茶を噴き出す。

「ワールド様はフォレストを制覇しています」
「な!」
「ぶへぁ!」

 フィリアナはその手に持つカップの酒をチビっと飲むと、少し顔を赤くして話を続ける。

「リアーノン、ドラゴンを倒したモンスターはフォレストの攻略者に与えられる報酬で、フォレストを攻略するほどのお方が、このタワーを攻略していないわけがないと思いますよ、個人的な意見ですけど」

 もちろんすぐには受け入れない、受け入れるはずがない。だが、二人とも思ってしまう。

 ワールドならばあり得ると。

 そして、夜が明けて、攻略を再開した一団は順調に階層を攻略していった。

 その日、アリアがノラの集いで掃除を終わらせ、チカミチの昼の販売の手伝いでタワーへ向かう途中に。

 あるいは、エリカが自宅から武器をノラの集いへと配達し終えてチカミチの名物を買うためにタワーへ向かっている時に。

 あるいは、チカミチのベルギットが露店の準備をしている時に。

 あるいは、レイフがセヴンとタワーの中層で素材採取している時に。

 あるいは、レイフの妻、シアがノラの集いで子どもようの靴下を編んでいる時に。

「ん?何だあれ?」
「おい、何か振ってくるぞ?」
「ダイバーかい?……え?嘘……だろ」

 ズガァァアアン!と轟音が鳴り響くと同時に、タワーの周囲にある一部建物が一瞬にして瓦礫に変わる。

 衝撃だけでタワー入口付近の門が半壊し、内部も露店が奥の階段にまで吹き飛ばされてしまっていた。

 あまりに一瞬の出来事に、ベルギットは言葉を無くす。

 客としていたダイバーも一般の人も、周囲で血を流して倒れている。

「……何が起きたんだい」

 そう呟く彼女は、まだ原因も理解できない。

 それはタワーの一階にいる者たちには見えることはなく、外にいた者は農地からでもはっきりと見ることができた。

「あれ、モンスターじゃないか?」

 レベルシステムによって、レベルも名前も見えなくても、その断片が視界に表示されることでモンスターである証拠だと判断できる。

 タワーからモンスターが降って来た。それも、建物よりも大きなモンスターが。

 誰も知らないそのモンスターの名前はアルティマナ、タワー最上階に君臨するボスだった。

「ギュキキキキキ」

 その異音が響く中で、アルティマナはその巨大な腕を振り瓦礫をさらに塵へと変えた。


 アルティマナが降ってくる数十分前。

 ゼガード率いるタワー攻略の部隊は、その石像になっているアルティマナの眼前にいた。

「89層にこんなものがあるとはな」
「大きい、一層いや、それをゆうに超える大きさだな」
「……危険な気配ですわ、ゴーストが怯えているなんて」

 フィリアナは、ゴーストが怯える所を初めて見るし、目の前の石像に瞬間的に警戒心を持つと、ゼガードとラウロウに助言する。

「すぐにこの場を離れた方がいいですわ、イヤな予感がしてならないです」

「……そうだな、ここは一先ず先を急ごう」
「承知した、全体進め!」

 進む部隊の後方で、いつものように安全確保と逃走経路の確保が行われる。

「緊急用にここの横穴をちゃんと整備しよう」
「そうだな、ダイブして緊急脱出する可能性もある」

 そうして微かにタワー外部の光が、石化したアルティマナの本体へと当たる。

「……ジッ」

 いつものその行動で、まさかアルティマナが起動するきっかけになるなど、部隊の誰も思いはしない。

「もう少しでタワー攻略だな、意外とあっけない」
「油断するなゼガード……何か嫌な予感がする」

 そうして、彼らは99層へと到達する。

 そこには何もいない、いなかったのはたしかだが、カタカタと床で石が跳ね回ると、タワーが揺れていること気が付く。

「タワーが振動している?」
「な、なにが起きている?」

 その振動が何か、それはアルティマナが地上へ落下した振動だった。

 そして、目の前に何もいなかった99層は、本来アルティマナがいる場所で、タワーの錬金系のモンスターに共通するルールによって出現しようとしていた。

 死ねば新たな同種のモンスターが現れる。だが、稀に死なずともフロアを移動したり、ある一定距離を取った場合、死と同じ判定になりリポップすることがある。

「ギュキキキ!」
「な!何だあれは!」

 まるで足元から召喚されるように、巨体なモンスター、アルティマナが99層の巨大な吹き抜けのフロアに現れる。

「全員戦闘態勢!」
「待って!ゴーストが逃げたがっているわ!気を付けて!この子が逃げたがる場合はまず間違いなく相手が強すぎる時だから!」

 フィリアナはそう言うと、ゆっくり後退るゴーストをなだめようとする。

「だが、逃げるのか?最上階まであと一フロアなんだぞ!」
「戦術的には一度撤退することもありだと進言する!ゼガード、ゴーストの強さを知ってるだろ?それが恐れる相手だぞ!」

「だが!」

 そうしている間にも、アルティマナは起動しその巨体を動かし出す。

「ギィキキキギ」

 一振り、その攻撃は広い階層の半分をゆっくり、だが、確実に右から左へと薙いだ。

 カイネルは久しぶりに夢を見ていた。それは頭を使い過ぎた所為でもあり、それほどに疲れていたということでもあった。

『俺の名はディアルムドキミは?』
『カイネル、カイネル・レイナルド』

 夢の中でも男は、二本の槍と二本の剣を帯びていた。

『覚醒すれば、相まみえることにもなるだろう!覚えていろ!カイネル・レイナルド!』

 夢の終わりにカイネルは呟く、「覚醒すれば……」と口にして覚醒、目覚め、その言葉に悩まされていることを思い出す。

 右手を上げようとすると、その重みに行動を止める。

 そこにはテンスとナインスがいて、彼は左手を動かそうとすると、そこにはイレヴンスとサーティーンスがいた。

 起こさないように、ゆっくりと足を動かそうとすると、足にも誰かがくっ付いていて、彼は首を起こしてそれを確かめる。

 左足の甲に顔を擦り付けるフィフスと、右足に顔を擦り付けるクスス。

 体の自由を美女美少女に奪われることは幸福なのだろうが、動けないと分かると、困惑するのは当たり前で、色々と考えていると急に顔を両手で挟む者が現れる。

「良い御身分ですね、カイネル」
「やぁホチア、おはよう」

 ホチアは不満そうにカイネルの右腕から順に掴んでいる手を外し出す。

「カイネルは常に手のかかる男だよ、本当に女の子集めすぎるんだ」

「……怒ってる?」
「怒ってないよ!ただ、疲れるでしょ?そう言うの」

 カイネルはその言葉には、苦笑いを浮かべるしかない。

 自由になったカイネルは、ホチアが料理を作る姿を見ながら、「じゃあ~ボクは家に帰って妹たちと食事してくるから」と声をかける。

「うん、あ!昼はどうするの?あっちで食べてくるの?」

「ん~いや、たぶんアーカイブを調べ直すから、こっちかな」
「ん~まっかせて!ウチとテンスでベルギットさん直伝の料理を作っておくのさ!」

 元気な笑顔でそう言うホチアと別れて、カイネルはアリアの手料理を食べるために家へと帰った。

「ただいま」

「お帰り兄さん、もう二人は出かけたけど、私は朝食まだだからこれから一緒に食べよ」
「うん、そうしようか」

 そうして一緒に二人きりで朝食を取ったカイネルは、アリアを見送ると、少し地図製作に没頭する。

 いつもは誰もいない時間にそうしていると、カイネルは静けさに集中力が相まって時間を忘れて地図を制作していった。

『ビィィィィィィィイイ!』
「わ!」

 突然鳴り響いたのは警報装置で、それは対神宝具のオハンの応用で制作されたものだ。その警報が鳴るのも初めてで、カイネルは一瞬それが何を意味するのかを忘れていた。

「びっくりした……でも、これが鳴ったってことは」

 それが間違いならいいと思いつつカイネルは、自宅から出た瞬間にはそれを目にしていた。

 巨大な影がタワー上階から落下して行く様を。

「あれは……一体なんだ?」

 何かは分からないが、それが落ちたらどうなるか分かっていた。

 この時間、あの辺りにはベルギットさんがいるはずだし、それにエリカやアリアも手伝いに行っているだろう。

 そう考えた途端には駆け出していた。が、落下に間に合うはずもなく。

 ズガァァァアン!

 そんな衝撃音の後、近づくカイネルのところにまで衝撃が響いてくる。

「ヴァハムート!」

 周囲を気にすることなくそう言って、その場でカイネルはヴァハムートを召喚した。

 もちろん周囲に人もいて、周りが驚いている中でカイネルは、ヴァハムートに声をかける。

「何用かな主よ」
「お前はタワー上層に行ってホチアに会ってきてくれ!」

「ん?アレの相手をするのではないのですか?」
「違う、あれはボクが相手する、お前はタワーでホチアの傍で彼女たちを守ってやってくれ」

「委細承知いたしました」

 そう言うと、ヴァハムートはあっという間にタワーの上階へと飛んでいく。

 そして、カイネル自身はそのままタワーの麓へと駆けていく。

「白面も刀もない……ヴァハムートもいないし、タワーの外で剣製もできない」

 最悪な状況にカイネルはそれを口にした。

「大丈夫、何とかなる」

 ただ、その表情は明らかな焦りを含んでいた。


 アルティマナが街へ落下する数分前。

「よもや、こんなにタワーの上階へ来ているとは、バルファーデンではありえないな」

 そう言うのはセヴンで、隣にいるレイフは呆れた表情を浮かべる。

「あのモンスター……テイムって言ったっけか?アレはズルだよな」
「何を言う、剣が武器という部類なら、テイムされたモンスターは所有者にとって武器の部類に相当するだろ」

「……89層まで錬金モンスター以外強い奴は狩られていて、素材採取どころじゃないぜ」

 素材採取のために中層から攻略を開始したレイフたちは、軍の部隊の攻略と時が重なり、あっという間に上層まで上がってきた。

「な、セヴンさんよ」
「なんだレイフ」

「こいつ動いてないか?」

 レイフに言われてセヴンが視界に入れたのは、カイネルが前に触れていた石化状態のアルティマナだった。

 それは震えているようでもあり、セヴンは思わず息を呑んだ。

 どうしてアルティマナが動いているのか、彼女は周囲の異様な明るさに右へと視線を向けると、そこには前は無かったはずの横穴が開いていて、陽光が石像の足元へ差し込んでいた。

「まさか、こいつは太陽の光で……」

 動き出したアルティマナは、目の前のレイフにもセヴンにも反応しないままその体を横穴へと向ける。

「ギュキキキキキキキィィィイイイ!」

 異音にレイフもセヴンも耳を塞ぐと、その間に階層の端にアルティマナが到達する。

「だめだ、行かせるか!」

 セヴンは手に持つ凡庸な剣で斬りかかると、易々と弾かれてその巨体は横穴を無理矢理に広げながら体を外へとはみ出させていく。

「主に連絡しなければ!」

 この時セヴンが押したスイッチで、カイネルや姉妹たちにその異変が知らされた。

 そうしている間にもアルティマナが、ゆっくりと外へ体を出していく。

「天外で外から押し込むしかない!」
「お、おい!セヴン!」

 レイフは慌てて上層へと向かう彼女の後を追って行く。

 道を知っている彼女は、真っ直ぐスカイブロックある方へと向かうため99層へと到着すると、そこには既に人影が数百人規模で屯していてその瞬間その揺れを感じ取る。

「この揺れは!」
「さっきの奴が落ちたんだ!やばいぞ!あんな質量のモンスターが落ちたら!俺は!先にダイブして様子を見てくるぜ!」

 そう言って去ろうとするレイフはそれを見てしまう。

「う、嘘だろ?アレって」
「……アルティマナが、もう一体だと……」

 その瞬間、出現したアルティマナの右腕がゆっくりと振られると、その巨体に軍の部隊の悲鳴が響く。

 その光景を見たレイフは、すぐに一層下にあった横穴から飛び降りようとするもセヴンが止める。

「バカ!」
「止めてくれるな!俺には守らなくちゃいけない奴らが!妻が……いるんだ!」

「ダメだ!ここは98層なんだぞ!ここから落ちたらお前の身が持たん!」
「あ……そうか、カイネルにも言われてたな……すまん!俺は先に降りてる!」

「分かった、気を付けろ、この辺にもそれなりに強いモンスターがまだいるんだぞ」
「任せろ、一目散で逃げ切ってみせるさ!」

 そう言ってレイフは、一人でタワーを降りて行く。その様子を確認したセヴンは、99層からスカイブロックへ向かえる緊急用の穴を上がって行った。


「生きてるか?」
「……な、何が?」

 ラウロウは目覚めると、額から血を流すゼガードの腕の中だった。

「どうなっているんだ……」
「部隊は半壊、すぐに逃げようとしたが、あのモンスター……おそらく89層にいた石像と同じ奴だが、下を目指して移動し始めた」

 ゆっくりと、ノソノソと、リポップしたアルティマナは下層を目指す。

「ど、うするつもりだ?」

「……分からない……おそらくは、アレが沸く前にあった振動、あれは石像だったあのモンスターが動き出して外へ落ちた、だから新しいモンスターがリポップして、そしてまた下を目指して落ちていくを繰り返すかもしれない。最悪……誰かが倒すまで、アレはタワーから落ち続けて、落ちたモンスターが消えてなければ」

「……下は今頃!」

 青ざめるラウロウに、ゼガードは何も言葉にできなかった。

 そんな二人に、「何をしてますの!」と怒鳴るのはフィリアナで、彼女はゴーストに負傷している者たちを運ばせながら、自らも一人の男を重そうに引き摺っていた。

「さっさと手伝いなさいな!」

 怯える兵士たちの中で、冷静に救出だけに専念する彼女にゼガードは頬を染めて頷き返した。

 だが、それを逃がすほど、ラストフロアのボスは優しくはない。

 目の前で負傷者ごとゴーストが吹き飛ばされると、フィリアナもゼガードも表情が青ざめてしまう。

 この時、彼らは知らないが、タワーのラストフロアボスであるアルティマナには、スキルにテイムモンスターのステータス弱体化があるのだ。

 あるいは、ナビと呼ばれる存在だけがそれを知っている。

「フィリアナ!」

 ラウロウを置き去りにしてフィリアナだけでも逃がそうと行動するゼガード。

 ダメージで動けないラウロウは、自身の死を何気なく受け入れていた。

 フィリアナはその細身で負傷者を担いだまま、「ワールド様!」とそこに現れる可能性のある者の名を呼ぶ。

 そして、アルティマナの右腕がゆっくりと振り上げられ、それがゆっくりと振り降ろされていく。

「ズゥゥゥゥウウンンン!」

 その音は床に響いた。

 目を瞑ったラウロウは、いつまでも痛みが来ないことにその瞳を開けた。

 そこには、2本の巨大な足に腰の背面から生えた2本の尾がゆっくりと動き、広げられた4本の腕がガッシリとアルティマナの右腕を押さえている。

 広げた翼は8枚あり、その背中の様子はあまりに人のようで、だが、明らかにモンスターの類にしか見えない。

「我が名はヴァハムート、主の命にてホチアという者を探している。さぞかし名のあるモンスターと見た……我が主、ワールドの名において、ここにいる生命体の中にいる女性をホチアと断定して介入する」

 実は、ヴァハムートはワールド以外の人間の区別がつかない。ホチアをと言われていても、彼には区別がつかないために、女であるフィリアナをホチアと断定して行動した。

「ワールド様の召喚獣……これが、フォレストの最奥で得られるEXスキル」

 関節的にワールドに助けられることになったフィリアナは、今までにない胸のときめきに、腰を抜かして座り込んだ。

 そして、ヴァハムートがそこへ到着した時、カイネルは武器も持たずにタワーの麓に落ちたアルティマナを眼前に捉えていた。

 アリアはどこだろう、ベルギットとエリカは?ノラの集いの仲間はどうしていただろうか。

 最悪を考えながらも、彼はいつものように口元で呟く。

「大丈夫、何とかなる!」

 必死の形相のまま、アルティマナの振り上げた右手と左手が振り降ろされる前に、その足に対して彼は組み付いた。

「ぐっ!」

 その様子を見ていた、負傷者を運ぶダイバーは叫んで声をかけた。

「無理だろ!お前も逃げろ!」

 その声に、周囲の人間もカイネルを見て無理だろと思う。

「ぐっ……あぁぁぁああ!」

 だが、その予想は徐々に裏切られる。

 アルティマナの巨体を支えている右足が、ゆっくりとだが確実に横にずれていく。

「ウソ、だろ?」

 もちろん、ただ力で押しているわけではない。カイネルのスキル、オーバーアクセル・ジ・ワールドによって素早さを30倍にして体への負荷も考えずに押している。

 不幸中の幸いで、カイネルの腰にはアイテムバックだけは常にあり、その中には霊酒もあり回復には事欠かない。

 だが、素早さのスキルだけで本来アルティマナのの巨体が動く訳もないのだ。

 今起きていること、カイネルも気が付かないそれは、スカイブロックに表示されたアラートと深く関係していることは、後々彼も察する事柄だった。

 押し続けたアルティマナの足は、ある時点を超えると急にザッとずらされ、そのバランスを崩したアルティマナはゆっくり片膝をついた。

 街を数十メートルアルティマナの足を押したカイネルは、すぐに霊酒を飲み落ちていた売り物だっただろう剣を手に取ると、ナノマシンを操作してカタナへ作り変えた。

 一刀を振り抜いたカイネルは、その結果に表情を変えることはない。

 アルティマナの足を斬りつけできた疵は、ダメージと呼ぶにはほぼ無傷でかすり疵でしかない。そして、手元のカタナは一振りで砕け散った。

 それは、フォレストのルートボスであるフルホワイトドラゴンとの対戦で予想できた状況だった。

「……レプリカじゃなければ!」

 そう呟くカイネルの上から、アルティマナの手が襲いかかる。

 もちろん、そのゆっくりな動きはカイネルには当たらない。

 しかし、アルティマナの攻撃は、避け続けるだけの状況ではなかった。

 周囲に瓦礫があり、その下に人がいるかもしれないと考えるカイネルは、すぐに考えをまとめてある戦術をとる。

 それはアルティマナの体に密着して戦うことだ。

 足元に散らばる武器防具を次々にカタナに作り変え、二刀を必死に振りながら、耐久値を削っていく。

 だが、アルティマナも密着された時のカウンターを具えていないわけがなかった。

「ギュキキキキキキキ!」

「な!」

 周囲に電撃を走らせたアルティマナに、カイネルは防ぐ術なくそれによって弾き飛ばされてしまう。

 地面に身体を叩きつけられて転がったカイネルは、意識を保とうとしたが、その瞬間にはアルティマナの振り降ろされる手が見えていて、ゆっくりとそれを見つめていた。

 死ぬ、そう思った時だ。

「兄さん!」

「カイネル!」

 確かにカイネルには聞こえた。

 アリアとエリカの声が。
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