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4章 守りたい者たちは誰なのか

かわいい子供達に虐げられるのはお父ちゃんの運命(さだめ)。

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 泣きじゃくる三人にされるがままになっていると、いつのまにかフルメイルは脱がされ丸裸にされていた。
 もちろん服は来ているが。
 三人は俺の身体を探るように触り、顔をすり付ける。涙が服を通して俺の肌に伝わってくる。

 みんなが泣き止むのを待っているとシーファやシャーロンの二人が現れ、俺達の前にちょこんと座りなり行きを見守っていた。
 シーファやシャーロンもなにか言いたげだが三人に遠慮して近寄れずにいる。

「ただいま、待たせてごめん」
「「「「「おかえりなさい!」」」」」
 みんなにただいまの挨拶をするとシーファやシャーロンも俺に飛び付きまるで雨が降ったかのように俺の服はビショビショになってしまった。

 なんですぐに正体を教えてくれなかったのとか、なんで二年半も音信不通だったのかとか。質問攻めに会うが。取り合えずみんなを落ち着かせた。

「色々積もる話もあるけど、まずは巫女ちゃんを助けたいから、話は後でゆっくりしよう」

「巫女?」
「そう言えば会ったこと無いです」
 レオナとクニャラが俺に抱きつきながら辺りを見回す。

「巫女ちゃんはクニャラにそっくりな子だよ」

「……そっくりです?」

 小さくなる光のドームを指差し「あの光の中心にいる子だよ。俺も見てビックリしたよ、うり二つだから」と言うと、太陽ノ華フラワーの面々は顔を見合わせ押し黙る。
 ドーム状の光が終息すると俺たちは巫女の元へと向かった。

「くにゃらくにゃらららら」
 気が狂ったように頭を振りクニャラの名前を叫んでいる。
 回復薬(中)では治りそうもなかったので。素材から回復薬(大)を作り出し巫女に飲ませた。
 しかし、頭を振っているせいか、うまく飲ませることができない。
 サラは俺から回復薬(大)を奪うと自分の口に含み口移しで巫女に飲ませた。
 その手があったかと俺は心の中でジタンダを踏む。

「なにするのだ、このくそ巨人族のバカ女、いつからレズになったのだよ!」
 そう言うと巫女はサラの頭をポカリと殴る。

 ん?

「ちょ、助けてあげたのに酷い言われようね」

「助けたとか訳の分からないことを言わないで欲しいのだよ。大体なんでゴメスがここにいるのかな!?」
 そう言って巫女は周囲を見渡すと首を傾ける。

「お城は?」

「【朗報】ブレイオドル王国は滅亡しました」

「ふぁっ! 【悲報】なのだよ! 私の安穏とした生活は? 誰が私を養ってくれるのだよ!」
 混乱している巫女にシーファがヤレヤレと言う表情をして目の前に立つ。
 語尾がクニャラと違い不規則で数種類あるようだ。ある意味上位互換であり劣化版だ。
 語尾は一つでいいそれが神が決めた法則なのだから。

「久しぶりねジャムラ」

「嘘なのだ。本当にシーファなのかな? あれ、それになぜシャーロンがいるのだ? 確かゴブリンの人身御供になっているはずなのだが。あれ? あれ?」
 巫女は記憶と状況のズレに頭が追いつかず混乱している。

「この人に助けてもらったの」
 そう言うとシーファは俺を巫女に紹介した。だが、そこにクニャラが割って入ってきた。

「その人の名前はジャムラと言うです?」
 今度はクニャラがジャムラを見て首をかしげる。

「クニャラなのか?」
「シャルラねえです?」
 クニャラがその名前を言うと巫女はハッとして口笛を吹いて知らんぷりをする。

 古典か!

「やっと見つけたです!」
 クニャラが巫女に飛びかかりヘッドロックを決める。

「クニャラ、ギブギブ。お姉ちゃんギブなのだよ」
「ダメなのです、ここで会ったが百年目なのです!」
 巫女を離さないクニャラを説得して、まずは太陽ノ華フラワーのメンバーの話を聞くことになった。

 巫女は逃げられないようにロープで縛られクニャラに監視されている。当然正座だ。

 正座していると見えそうなのでパンティーを作り巫女に手渡す?

「女の子にパンティー手渡しは変態なのだよ?」

「変態ですが?」

 俺たちはお互いに首をかしげる。

 だが巫女はまあ良いかと言うような顔をしてパンティーをその場で履き出す。
 同然のごとく履くシーンはシンミアと同じく見ることはできない。どうやら神と神の使いには光の加護があるようだ。

 光が憎い、光なんて滅べばいいんだ。

 ”待つのだ友よ、光滅びし世界でも闇に侵され人体の神秘見ること叶わず”

 なるほど墨入れ検閲か。守りたい表現の自由。

「はぁ~」
 スヴィニヤーが大きなため息をつき首を振る。

「どうしたスヴィニヤー疲れたのか?」
 あれだけのでか物を持ちし者だ、肩凝りや頭痛などの悩みもあるのだろう。日頃の労をねぎらって肩でも揉んでやるか。当然手が滑って胸の谷間にホールインワンしても仕方ないね?

「劣化しましたねケンタ様」
「え、なにげに酷いよねそれ」
「プハハ、オレはこっちのケンの方が好きだぞ。元々こんな感じだったしな」
 そう言うとシンミアはスヴィニヤーの胸から飛び出し俺の肩によじ登る。

「ですけど、こんなに不真面目では世界は救えませんよ」

「だけどよぉ、オレたちが真面目にやっても勝てなかったんだ。ならケンみたいに不真面目な方が勝てるんじゃないか」

「そんなわけ無いでしょ」

「スヴィニヤー心配かけてごめん、でも俺はこの世界を守りたい気持ちは今でも変わらないし王としての役目も忘れてないから」
 そう言って俺は大変なことに気がついてしまった。
 今は一国の王だ。ならハーレムを作っても文句は言われない。

  いや待て、これは孔明の罠だ。

 俺は日本人だ、結局ハーレムを作っても大奥のようになって尻に敷かれてしまうんじゃないか?

 尻に敷かれる人生もそれはそれでいいだろう。だが王の力で集めたハーレムに愛などない。あいもないのにしりになどひかれたくない。

 Hey Siri、君もそう思うだろ? 尻なだけに。

 よし却下、ハーレムは却下。大奥却下。

「分かりました、どちらにせよケンタ様に頼るしかないのですから」
 俺が思案しているとスヴィニヤーが嫌な顔をしながら折れる。

「ところで二人とも、俺の心読めてない?」

「今さらかよ」
「今さらですね」

「どこまで読めるの?」

「しゃべってる声が聞こえなくなることなんてあるか? 距離が近ければ考えてること全部伝わるぞ」
「と言うことです。つまり心の声は駄々漏れです」

「まじで?」
「「マジで」す」

 つまり、おっぱいの谷間に挟まりたいのも、おっぱいの谷間に手を入れたいのも聞かれてたわけ?
 なにそれどんなプレイ?

 いや、これ聞こえてるの黙って聞く方も大概だけど、聞かせる方もナチュラルセクハラなんだけど?
 電話口でハァハァ言いながらどんなパンティ履いてるのか聞いちゃう変態さんと同レベルなんだが?
 いや、知り合いなだけにレベルは更に上だ。訴えられたら敗訴しちゃうレベルだ。

 ああ、見える裁判所から降りてきた人が習字で書いた敗訴の紙を掲げる姿が。

「まあ、ケンの思う通りにやれよ。一度あいつに負けた俺たちがとやかく言っても邪魔になるだけなんだから。それでいいだろ豚野郎スヴィニヤー

「……分かりましたシンミアがそう言うなら」
 スヴィニヤーは納得いってないと言うような顔をしながらもシンミアには逆らえないようで渋々納得した。

「ところでそいつどうするんだ? 離れる気無さそうだけど」
 シンミアが俺の右手に絡み付いたままのレオナを指差す。
 レオナは痛いくらいに俺の腕を握っている。俺の股間も痛くなる。
 これは不味い。

「シンミア、ちょっと鎧の腰から下履かせてくれない?」

「あ゛? オレがそんなの気にするわけ無いだろ。おったて――」
 馬鹿なことを言おうとするシンミアの口を塞ぎスヴィニヤーに履かせてくれるようにお願いをした。
 当然頭の中で。

 スヴィニヤーは文句を言わずに腰から下のプレートを装着してくれ。これでテントは隠れたと思ったのが甘かった。
 俺の長大ちょうだいソードに布が挟まりプレートにいい感じで引っ張られ泣くほど痛い。
 短小ソードならこんなことにはならなかったのにと長大ちょうだいソードの遺伝子DNAを持つ先祖を恨んだ。

「いやケンこんなもんだろ」とシンミアは小指を立てる。
 シンミアには一緒に風呂に入ったときに見られてるけどそれは平常時だからね。男は中心に如意棒を持ってるんだからね?
 短小の人に俺の如意棒ちょうだい・・・・・って言われたくらいなんだからね?

 なんっつって。

 スヴィニヤーがなぜか崩れ落ちる。なぜか諦めきった顔だ。そう言えば解放してから休みなしで働いてもらってたから、ここらで休みが必要かもしれない。
 うち完全にブラック企業だからな。

 俺は右手に掴まったまま離れないレオナを抱き上げると巫女を折檻しているクニャラの元へ向かった。
 肩車して子供を抱っこしていると本当に父親になった気分でほっこりしていると、なぜかシンミアに殴られた。

 お父ちゃん、トホホだよ。


 第四章★完
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