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4章 守りたい者たちは誰なのか
守るべきは愛する人。
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城内が戦争の準備で騒然としている。
だが兵士達は以外と楽観的だ。この国は巫女の結界で守られており正門さえ死守すれば良いと考えているからだ。
太陽の華騎士団の団員は他の兵士達と違って戦争の準備に余念がない。
サラはケンロウであるケンタと戦う気なのだ。
「みんなはどうするんだ」
サラがクニャラとレオナに問う。
「ケンタさんとは戦えない」
「……」
クニャラは溶けた指輪を見ながら考える。自分達の絆は記憶が無くなっただけで無くなってしまうものなのかと。
クニャラとレオナは騎士団長の任を解かれ魔導師団員と魔法騎士団員は王城に配置された。
クニャラは王城配置と言うことになったのが、それを無視しレオナと一緒に太陽の華騎士団と行動を共にしている。ケンタと戦おうとするサラを止めるためだ。
「何度止めに来ても無駄よ、わたしはあのケンロウと言う男と戦う。この国を潰すと言われて黙ってはいられない」
サラはそう言うとケンタに作ってもらった剣をトントンと叩く。
「なに考えてるのゴメス。相手はケンタさんなんだよ?」
「ケンロウがケンタだと言う確証はないだろ」
サラはあのケンロウと言う新国の王がケンタだと確信できなかった。
だからこそ、あれをケンタだと確信する二人にサラは引け目を感じる。
それは一緒に居た時間の差なのか想いの差なのか分からない。だが、だからこそ盲目になっている二人をたしなめるのは自分の仕事だと理解している。
「王はどうなっても良いけど国民は守るよ」
「私はケンタさんとは戦えない、クニャラだってそうでしょ」
「クニャラは……」
そう言うとクニャラは押し黙る。自分でもどうして良いのか分からないのだ。
ケンロウを間違いなくケンタだと確信はしているが。ケンタは二人を知らないと言い絆の指輪を突き返した。
記憶がなくても絆があれば思い出してくれると思っていた。
ケンタは指輪を突き返して私たちと敵対した。
それでも、それでも
「クニャラはケンタと戦いたくないです」
「二人の気持ちは分かる。だけど、あのケンロウはこの国を潰そうとしている。私たちとケンタの思い出の家もだ」
「「……」」
「私たちはあの家をケンタの帰ってくる家を守るために頑張っていたはずだ。だから戦ってあの家を守らなきゃダメだ」
「家を守るためにケンタさんと戦わなきゃダメだって言うの? そんなのおかしいよ」
「何度も言うが、あのケンロウがケンタとは限らないだろう」
「ケンタさんだよ! なんでゴメスは分からないの!?」
「そうなのです、あれはケンタです」
その二人の言葉でサラの心はギュッと縮こまり空虚になる。
「だけどあっちはクニャラとレオナを覚えていない。これっぽっちも。だからやるしかないんだよ、あの家を守るために」
そう言ってサラは自分で吐いた言葉に後悔する。二人を傷付ける気はないのだがケンロウがケンタだと、なぜわからないのかと言われ悔しかったのだ。
「……家じゃないです、守るべきはケンタです」
そう言うクニャラにサラはなにも言い返すことができなかった。
だが兵士達は以外と楽観的だ。この国は巫女の結界で守られており正門さえ死守すれば良いと考えているからだ。
太陽の華騎士団の団員は他の兵士達と違って戦争の準備に余念がない。
サラはケンロウであるケンタと戦う気なのだ。
「みんなはどうするんだ」
サラがクニャラとレオナに問う。
「ケンタさんとは戦えない」
「……」
クニャラは溶けた指輪を見ながら考える。自分達の絆は記憶が無くなっただけで無くなってしまうものなのかと。
クニャラとレオナは騎士団長の任を解かれ魔導師団員と魔法騎士団員は王城に配置された。
クニャラは王城配置と言うことになったのが、それを無視しレオナと一緒に太陽の華騎士団と行動を共にしている。ケンタと戦おうとするサラを止めるためだ。
「何度止めに来ても無駄よ、わたしはあのケンロウと言う男と戦う。この国を潰すと言われて黙ってはいられない」
サラはそう言うとケンタに作ってもらった剣をトントンと叩く。
「なに考えてるのゴメス。相手はケンタさんなんだよ?」
「ケンロウがケンタだと言う確証はないだろ」
サラはあのケンロウと言う新国の王がケンタだと確信できなかった。
だからこそ、あれをケンタだと確信する二人にサラは引け目を感じる。
それは一緒に居た時間の差なのか想いの差なのか分からない。だが、だからこそ盲目になっている二人をたしなめるのは自分の仕事だと理解している。
「王はどうなっても良いけど国民は守るよ」
「私はケンタさんとは戦えない、クニャラだってそうでしょ」
「クニャラは……」
そう言うとクニャラは押し黙る。自分でもどうして良いのか分からないのだ。
ケンロウを間違いなくケンタだと確信はしているが。ケンタは二人を知らないと言い絆の指輪を突き返した。
記憶がなくても絆があれば思い出してくれると思っていた。
ケンタは指輪を突き返して私たちと敵対した。
それでも、それでも
「クニャラはケンタと戦いたくないです」
「二人の気持ちは分かる。だけど、あのケンロウはこの国を潰そうとしている。私たちとケンタの思い出の家もだ」
「「……」」
「私たちはあの家をケンタの帰ってくる家を守るために頑張っていたはずだ。だから戦ってあの家を守らなきゃダメだ」
「家を守るためにケンタさんと戦わなきゃダメだって言うの? そんなのおかしいよ」
「何度も言うが、あのケンロウがケンタとは限らないだろう」
「ケンタさんだよ! なんでゴメスは分からないの!?」
「そうなのです、あれはケンタです」
その二人の言葉でサラの心はギュッと縮こまり空虚になる。
「だけどあっちはクニャラとレオナを覚えていない。これっぽっちも。だからやるしかないんだよ、あの家を守るために」
そう言ってサラは自分で吐いた言葉に後悔する。二人を傷付ける気はないのだがケンロウがケンタだと、なぜわからないのかと言われ悔しかったのだ。
「……家じゃないです、守るべきはケンタです」
そう言うクニャラにサラはなにも言い返すことができなかった。
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