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1章 変態紳士二度目の異世界転移

赤髪の少女と青髪の少女

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  俺はその日のうちに、わずかばかりのお金と食料、砥石が入った袋を持たされると乗り合い馬車に詰め込まれた。

 まるでドナドナになった気分である。

 俺はこのまま奴隷として売られにいくんじゃないかと錯覚するほどだ。

「だんな、どうしたんです暗い顔をして」

 御者の男が暗い顔をしている俺に声をかける、まるで長旅でそんな暗い顔をされたらたまらないと言うような声色だ。

「これから行くサバラの町がどういうところかわからなくて不安でね」

 俺が御者にそう言うと御者はハハハと笑い何もない辺鄙へんぴな田舎町だと言う。

「でも、冒険者ギルドがあるんだから魔物はでるんだろ?」

「確かに、魔物もいますが周辺にいる魔物はレッサーゴブリンくらいでさぁ、まあたまにロックグリズリーが出ますけどね」

 ロックグリズリー、表皮が岩でできている熊、弱い物理攻撃はすべて弾いてしまう初心者殺しの魔物だ。

 なら、冒険者はロックグリズリーを倒すのかと聞くと御者は違うと言う、冒険者のメインは魔窟探検だと。

「魔窟もあるのか」

「魔窟と言っても小型のものでC級冒険者で対応できる程度でさぁ」

 御者はそう言うと馬にムチを入れスピードをあげる。

 揺れる馬車で立っているのが難しくなった俺は椅子に座るとギルド長に渡された袋を開け中身を確認した。

 先ほど言ったものに加えて一枚の手紙が入っていた。宛先は”サバラ町冒険者ギルド管理者ゴメス殿”か、たぶん紹介状なのだろう。荷物を渡したときに言って欲しいものである。

 食料はパンとリンゴが一つずつ、それと何かの皮で作られた水筒が一袋か。

 俺はパンをかじると声をだして驚いた。ちゃんと酵母を使って焼き上げられているようで柔らかいのだ。まるで地球のパンだな。

「ところでサバラ町までどのくらいなんだい?」

 御者の男にそう聞くと二日だと言う。

 え、二日でパンとリンゴ一個? 殺す気か! いや、もしかしてこの世界の住人は少食なのかも知れないと思い御者に聞くと俺の持っている量では少ないと言う。普通に三食食べるそうなのだ。

 くっそ! やってくれるぜ生産系ギルド。とは言え、ただでくれたのだ文句は言えまい。

 たぶんこれもおまけ的なもので普通はくれないのかもしれないしな。

「私の食料はあげられませんからね、だんな」

 別にもらおうなんて思っていない。そんなに意地汚く見えたかな。

 確かにパンとリンゴ1個づつじゃ腹が減るけど、俺のアイテムストレージには前の世界の食料が入っているのだ1ヶ月くらい余裕ですよ。

 むしろお前こそ俺の食料見て欲しがるなよって話です。



 この二日間、魔物や盗賊などは現れず平和なものだった。そろそろサバラの町だ。

 やはりと言うか予想どおりと言うか、御者は俺の食事を見てよだれを垂らしてほしがった。

 不機嫌になられても困るので少し分けてあげたが、そのうまさに涙を流していた。

 当然だ俺の料理スキル1000で作ったものなんだから。おいしさMAXですよ? しかも食べると幸福感まで得られる優れものなのだ。

 あれ、これ麻薬じゃね?

 などと考えていると馬車が急に停車する。

「なんかあったのオヤジさん?」

 御者の男は前方を指差す人が、その指さす方向には人が二人倒れている。

 俺は馬車を降りて二人に駆け寄った。

 御者はやめた方が良いと言ったが、生きてるかもしれないのだ放っておけるわけがない。

 二人に駆け寄ると一人は赤髪の少女で、もう一人は青髪の少女だった。

 身体中傷だらけで頭から血も流している。呼吸は微かだがある。俺はストレージから回服薬(強)を取り出すと二人に頭からかけた。

 体が蛍のように青白く光ると傷と流れ出した血が消え去る。

「おい大丈夫か?」

 完全に回復しているはずなのに彼女たちは動けない、状態異常か?

 しかしステータスが見れるわけでもなく医者でもない俺にはこれ以上できることは無かった。

 俺が手をこまねいていると、青髪の少女が目を覚まし一言いった。

「たべものをください……です」

 少女達は行き倒れでした。
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