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魔界開拓編
195.城下町復興日誌①
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ベルゼの大宣言が終わり、僕とユノは大勢の観衆の前に立たされている。
ベルゼはというと、反魔王勢力が動きをとったと連絡が入り、急いで現場に向かってしまった。
ネビロスも自分の仕事をするため、魔王城へと戻っている。
そういう感じで僕らは、二人から丸投げされ……もとい、託されたわけだ。
目の前には、城下町に住む悪魔たちが集まっている。
ベルゼとネビロスがいなくなり、視線がいっそう厳しくなったように感じるのは、気のせいではないはずだ。
僕は一回咳払いをしてから、意を決して話し始める。
「城下町の皆さん、初めまして! 僕はウィリアム、隣がユノです。ベルゼからの依頼で、この街の復興をお手伝いすることになりました」
僕が自己紹介をすると、辺りはざわつき始める。
「聞いたか今の! 魔王様を呼び捨てにしたぞ!」
「ああ、一体何者なんだ?」
「人間だとおっしゃられたが、妙な気配を感じるぞ」
ポツポツと聞こえてくる疑念の声。
やっぱり、いきなりすぎて皆もついていけていないようだ。
「やれやれじゃのう」
ユノが呆れて呟いた。
とはいえ、このままグダグダとしていても始まらない。
最初に取り組むことは、もう決まっている。
僕はそれをみんなに向けて宣言する。
「まずは最低限の衣食住を整えます! 特に食料! これが一番大切です」
僕が叫ぶように言うと、ざわつきがピタリと治まった。
一瞬で僕の話を聞く市井になっている。
どうやら今の生活に不満があるのは、間違いなさそうだ。
そしてみんな、変えようとも思っているに違いない。
僕はさらに続ける。
「畑と牧場! 最初にこの二つを造りましょう! 幸いなことに土地は豊富にあります」
加えて人手も多い。
僕らのときは全部不足している状態からのスタートだった。
だから、あのときに比べれば全然楽だと予想している。
もちろん、みんなの協力あっての話だけど……
僕はみんなの反応を眺めた。
疑いを持ちつつも、僕の言っていることをちゃんと聞いている。
今を変えたいという意思があるのなら、それだけで十分だ。
あとは自主性に任せよう。
そう考えて、僕は彼らに向けて言う。
「僕らは準備に入ります! 協力してくださる方は、三十分後南の拓けた場所に集まってください!」
返事はなく、反応は中途半端だった。
だけど、今はこれで十分だ。
数人でもいいから、集まってくれれば大丈夫。
成果をちゃんと示せば、他の人たちも協力してくれるはずだ。
まぁ最悪の場合、ベルゼに活を入れてもらえば何とかなるだろう。
なんて他力本願なことを考えている。
その後、僕らは魔王城にある倉庫へ向かった。
倉庫は城の内部ではなく、敷地内にある別の建物だそうだ。
教えてもらった場所に行くと、僕の屋敷よりも大きな平屋が一軒建っていた。
「これが……倉庫なの?」
予想以上の大きさに驚かされた。
事前に鍵は預かっている。
僕は鍵を開け、重く大きな扉をめいっぱいにスライドさせた。
「うわっ、中も広いね」
「そして暗いのう」
倉庫の中は奥に広く、明りが灯っていないと見渡せない。
広くて明りをつける場所もわからないので、一先ず変換魔法でライトを作り代用した。
ライトで足元と周囲を照らしながら、中へと入っていく。
棚にはたくさんの素材が並んでいて、僕とユノは驚かされた。
「こんなにたくさん!」
「逆にこれだけあって、なぜ街があの状態なのか……そっちのほうが不思議じゃな」
「う、うん……」
高純度の魔力石、入手困難な魔物の素材。
他にも十分すぎる資材が、倉庫の中には揃っていた。
申し訳ないけど、僕もユノと同じことを思ったよ。
これだけあったら、とっくに街は発展させられただろうに……。
「勿体ないのう~」
「今から有効活用すれば問題ないさ」
僕らは倉庫の中を一通り見て周った。
頻繁に使いそうなものにチェックをいれる。
まずは畑作りに必要な素材を、ユノの研究所へ移動させた。
三十分が経過する。
指定した場所には、元々広大な土地を利用した菜園があったらしい。
今となっては見る影もなく、大地は枯れ果て無残な光景が広がっていた。
そこに二、三十人くらいが集まっている。
それを身ながら近寄り、僕はユノに言う。
「思ったより来てくれたね」
「そうじゃな。数人かと思っておったが」
みんなそれなりに危機感を感じているのかな。
そうは言っても、まだ全員には程遠い。
これから成果を見せ付けて、みんなを協力させたい気持ちにするんだ。
そのために――
「まず土地を再生させようか」
大地はすでに死んでいる。
この土に水を撒き、種を植えても芽は出ない。
本来なら、土ごと全部交換しなくちゃ駄目だけど、あいにく僕らは普通じゃない。
「変換魔法――」
僕は膝をつき、両手を地面につけて呪文を口にする。
「魔力→命!」
自らの魔力を命へ変換し、枯れた大地へ注ぎ込む。
すると、大地は瞬く間に回復し、雑草が所々生えていく。
その光景を見つめながら、集まった街の人たちは立ち尽くしていた。
驚き、疑い、喜んでいる。
「よし!」
成果一つ目!
ベルゼはというと、反魔王勢力が動きをとったと連絡が入り、急いで現場に向かってしまった。
ネビロスも自分の仕事をするため、魔王城へと戻っている。
そういう感じで僕らは、二人から丸投げされ……もとい、託されたわけだ。
目の前には、城下町に住む悪魔たちが集まっている。
ベルゼとネビロスがいなくなり、視線がいっそう厳しくなったように感じるのは、気のせいではないはずだ。
僕は一回咳払いをしてから、意を決して話し始める。
「城下町の皆さん、初めまして! 僕はウィリアム、隣がユノです。ベルゼからの依頼で、この街の復興をお手伝いすることになりました」
僕が自己紹介をすると、辺りはざわつき始める。
「聞いたか今の! 魔王様を呼び捨てにしたぞ!」
「ああ、一体何者なんだ?」
「人間だとおっしゃられたが、妙な気配を感じるぞ」
ポツポツと聞こえてくる疑念の声。
やっぱり、いきなりすぎて皆もついていけていないようだ。
「やれやれじゃのう」
ユノが呆れて呟いた。
とはいえ、このままグダグダとしていても始まらない。
最初に取り組むことは、もう決まっている。
僕はそれをみんなに向けて宣言する。
「まずは最低限の衣食住を整えます! 特に食料! これが一番大切です」
僕が叫ぶように言うと、ざわつきがピタリと治まった。
一瞬で僕の話を聞く市井になっている。
どうやら今の生活に不満があるのは、間違いなさそうだ。
そしてみんな、変えようとも思っているに違いない。
僕はさらに続ける。
「畑と牧場! 最初にこの二つを造りましょう! 幸いなことに土地は豊富にあります」
加えて人手も多い。
僕らのときは全部不足している状態からのスタートだった。
だから、あのときに比べれば全然楽だと予想している。
もちろん、みんなの協力あっての話だけど……
僕はみんなの反応を眺めた。
疑いを持ちつつも、僕の言っていることをちゃんと聞いている。
今を変えたいという意思があるのなら、それだけで十分だ。
あとは自主性に任せよう。
そう考えて、僕は彼らに向けて言う。
「僕らは準備に入ります! 協力してくださる方は、三十分後南の拓けた場所に集まってください!」
返事はなく、反応は中途半端だった。
だけど、今はこれで十分だ。
数人でもいいから、集まってくれれば大丈夫。
成果をちゃんと示せば、他の人たちも協力してくれるはずだ。
まぁ最悪の場合、ベルゼに活を入れてもらえば何とかなるだろう。
なんて他力本願なことを考えている。
その後、僕らは魔王城にある倉庫へ向かった。
倉庫は城の内部ではなく、敷地内にある別の建物だそうだ。
教えてもらった場所に行くと、僕の屋敷よりも大きな平屋が一軒建っていた。
「これが……倉庫なの?」
予想以上の大きさに驚かされた。
事前に鍵は預かっている。
僕は鍵を開け、重く大きな扉をめいっぱいにスライドさせた。
「うわっ、中も広いね」
「そして暗いのう」
倉庫の中は奥に広く、明りが灯っていないと見渡せない。
広くて明りをつける場所もわからないので、一先ず変換魔法でライトを作り代用した。
ライトで足元と周囲を照らしながら、中へと入っていく。
棚にはたくさんの素材が並んでいて、僕とユノは驚かされた。
「こんなにたくさん!」
「逆にこれだけあって、なぜ街があの状態なのか……そっちのほうが不思議じゃな」
「う、うん……」
高純度の魔力石、入手困難な魔物の素材。
他にも十分すぎる資材が、倉庫の中には揃っていた。
申し訳ないけど、僕もユノと同じことを思ったよ。
これだけあったら、とっくに街は発展させられただろうに……。
「勿体ないのう~」
「今から有効活用すれば問題ないさ」
僕らは倉庫の中を一通り見て周った。
頻繁に使いそうなものにチェックをいれる。
まずは畑作りに必要な素材を、ユノの研究所へ移動させた。
三十分が経過する。
指定した場所には、元々広大な土地を利用した菜園があったらしい。
今となっては見る影もなく、大地は枯れ果て無残な光景が広がっていた。
そこに二、三十人くらいが集まっている。
それを身ながら近寄り、僕はユノに言う。
「思ったより来てくれたね」
「そうじゃな。数人かと思っておったが」
みんなそれなりに危機感を感じているのかな。
そうは言っても、まだ全員には程遠い。
これから成果を見せ付けて、みんなを協力させたい気持ちにするんだ。
そのために――
「まず土地を再生させようか」
大地はすでに死んでいる。
この土に水を撒き、種を植えても芽は出ない。
本来なら、土ごと全部交換しなくちゃ駄目だけど、あいにく僕らは普通じゃない。
「変換魔法――」
僕は膝をつき、両手を地面につけて呪文を口にする。
「魔力→命!」
自らの魔力を命へ変換し、枯れた大地へ注ぎ込む。
すると、大地は瞬く間に回復し、雑草が所々生えていく。
その光景を見つめながら、集まった街の人たちは立ち尽くしていた。
驚き、疑い、喜んでいる。
「よし!」
成果一つ目!
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