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生まれてきて良かった!(エリーゼ視点)
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☆エリーゼ視点です
「まだ、嘘をつくか!外で反省するがいい。夜になるまで帰ってくるな」
そう言われて、もう1時間ぐらい歩いていると思う。
お母様の実家の公爵家の場所は知っていた。
ひときわ目立つ大きな門に、塀の隙間から見える広大で花がいっぱい咲き誇っている庭は憧れだった。
おじい様にもおばあ様にも一度もお会いしたことがなかった。
一度でいいから会いたい、そう思って勇気を出して門番に伝えた。
「お願い、おじい様にあわせて」
しばらくすると、背の高い優しそうな執事さんが来てくださって
「先代様はこちらにはいないのですよ。ロベルト様がお会いになります。ところで、イチゴのケーキはお好きですか?シュークリームとプリンは?」
と聞かれた。
「どれも好きです。ロベルト様って?」
執事さんは、ロベルト様が現公爵であること、親戚筋からの養子であるためお母様の実の弟ではないが私のおじさまにあたる立場の方だということを教えてくれた。
見たこともない薔薇に似ている花がたくさん咲いている。
その前にテーブルと椅子が用意され、小さめのケーキとプリン、シュークリームが金の縁取りにあるお皿に盛られていた。
漆黒の髪はサラサラで目は黒曜石のように綺麗な少し日焼けした背の高い男性が歩いてくる。
切れ長の涼しげな目元に、形の良い唇、鼻筋が通った鼻梁、豹ようにしなやかな体つき!!
ロベルト様は、童話の中の魔王様みたいだ、と思った。
私のお気に入りの童話では目の覚めるような美貌の魔王様がでてくる。黒いまばゆいオーラは絶対的支配者のようで自信に満ちている。
かっこよすぎる主人公にそっくり、だった。
でも、私に向けた笑顔は優しい。
そっと私の手をとって、席に座られてくれた。
ケーキを食べながら、花や薬草の話を気さくにしてくれる。
この花はボタンというらしい。こんな美しい花の根に熱を下げたり、痛さを和らげる成分があるなんてすごいと思った。
どうして、ここに来たのか?とか、私のことをいろいろ尋ねられたらどうしよう、と思っていたけれどなにも聞かれなかった。
私は自分が男爵家でひどい扱いを受けていることが恥ずかしくて言いたくなかったから、とても嬉しかった。
泊まっていくように言われて、一緒に夕食を食べさせていただいた。
はじめて、夕食がおいしい、と感じた。
男爵家の夕食はいつもその場にいることがつらくて、味を感じたことはなかった。
寝る前には抱っこしていただいて、頭にお休みのキスをされた。
童話のなかの魔王様の顔が近すぎて、どうしていいかわからなかった。
ブレスレットを買ってくださるとき、私は大胆にも公爵様の瞳の色の黒曜石を選んでしまった。
恥ずかしいことをしてしまったかな?
公爵様はアメジストと黒曜石を混ぜたものを作らせ、お揃いだとウインクした。
うわぁーーー
もう、私は公爵様のゾクッとする色気で目を合わすことも恥ずかしい。
どうしよう?
大人の男性からすれば私なんて子供なのに、胸の鼓動がとまらない。
私はこの大人な完璧までに美しい公爵に恋をした。
◆
公爵様は私をいつも目の敵にしていた継母ラナにこう言った。
「エリーゼは、たった今から先代のフェルナンド公爵の養女となった。男爵夫人ごときが我が血族を愚弄するのか!不敬罪で牢に押し込まれたいか?」
この方は私を守ってくれるんだ!私は安心して公爵様に甘えていいんだ!
生まれてきて良かった!
「まだ、嘘をつくか!外で反省するがいい。夜になるまで帰ってくるな」
そう言われて、もう1時間ぐらい歩いていると思う。
お母様の実家の公爵家の場所は知っていた。
ひときわ目立つ大きな門に、塀の隙間から見える広大で花がいっぱい咲き誇っている庭は憧れだった。
おじい様にもおばあ様にも一度もお会いしたことがなかった。
一度でいいから会いたい、そう思って勇気を出して門番に伝えた。
「お願い、おじい様にあわせて」
しばらくすると、背の高い優しそうな執事さんが来てくださって
「先代様はこちらにはいないのですよ。ロベルト様がお会いになります。ところで、イチゴのケーキはお好きですか?シュークリームとプリンは?」
と聞かれた。
「どれも好きです。ロベルト様って?」
執事さんは、ロベルト様が現公爵であること、親戚筋からの養子であるためお母様の実の弟ではないが私のおじさまにあたる立場の方だということを教えてくれた。
見たこともない薔薇に似ている花がたくさん咲いている。
その前にテーブルと椅子が用意され、小さめのケーキとプリン、シュークリームが金の縁取りにあるお皿に盛られていた。
漆黒の髪はサラサラで目は黒曜石のように綺麗な少し日焼けした背の高い男性が歩いてくる。
切れ長の涼しげな目元に、形の良い唇、鼻筋が通った鼻梁、豹ようにしなやかな体つき!!
ロベルト様は、童話の中の魔王様みたいだ、と思った。
私のお気に入りの童話では目の覚めるような美貌の魔王様がでてくる。黒いまばゆいオーラは絶対的支配者のようで自信に満ちている。
かっこよすぎる主人公にそっくり、だった。
でも、私に向けた笑顔は優しい。
そっと私の手をとって、席に座られてくれた。
ケーキを食べながら、花や薬草の話を気さくにしてくれる。
この花はボタンというらしい。こんな美しい花の根に熱を下げたり、痛さを和らげる成分があるなんてすごいと思った。
どうして、ここに来たのか?とか、私のことをいろいろ尋ねられたらどうしよう、と思っていたけれどなにも聞かれなかった。
私は自分が男爵家でひどい扱いを受けていることが恥ずかしくて言いたくなかったから、とても嬉しかった。
泊まっていくように言われて、一緒に夕食を食べさせていただいた。
はじめて、夕食がおいしい、と感じた。
男爵家の夕食はいつもその場にいることがつらくて、味を感じたことはなかった。
寝る前には抱っこしていただいて、頭にお休みのキスをされた。
童話のなかの魔王様の顔が近すぎて、どうしていいかわからなかった。
ブレスレットを買ってくださるとき、私は大胆にも公爵様の瞳の色の黒曜石を選んでしまった。
恥ずかしいことをしてしまったかな?
公爵様はアメジストと黒曜石を混ぜたものを作らせ、お揃いだとウインクした。
うわぁーーー
もう、私は公爵様のゾクッとする色気で目を合わすことも恥ずかしい。
どうしよう?
大人の男性からすれば私なんて子供なのに、胸の鼓動がとまらない。
私はこの大人な完璧までに美しい公爵に恋をした。
◆
公爵様は私をいつも目の敵にしていた継母ラナにこう言った。
「エリーゼは、たった今から先代のフェルナンド公爵の養女となった。男爵夫人ごときが我が血族を愚弄するのか!不敬罪で牢に押し込まれたいか?」
この方は私を守ってくれるんだ!私は安心して公爵様に甘えていいんだ!
生まれてきて良かった!
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