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5 サーシャも悪魔憑き?
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「ぐはっ! ちょっとおやめなさい。ソフィア、私は正気です」
「え? そんなはずはありません。お母様は確かに厳しくて誤解されることもありますが、私達は母娘でしょう? 私に厳しくしてくださったのは、きっと私の為になるからですわ。お蔭で私のマナーは完璧です」
「痛い、痛いっ。もぉ、いい加減になさい!」
お母様は涙を流しているけれど、これはお母様のふりをした悪魔よ。
「くっくっ、あっははは! わたしの妻はなんて楽しいんだ。そうだな、このまま悪魔払いの牧師にきてもらうとしよう」
「そんなぁーー。夜通し身体を叩かれて、くさい薬草をあぶった煙に包まれて、きっと死んでしまうわ」
「お母様! 大丈夫です。神様のご加護があれば乗り切れます。善人は必ず神様が救ってくださるのですから」
「善人じゃなかったらどうなるの?」
サーシャが震える声でつぶやいた。
私はその声に振り返り、彼女の胸元にきらめいている美しいブローチに、初めて気がついた。
「そのブローチは、初めて見たわ。いつ買ったのかしら?」
「こ、これは以前から持っていたのものですわ。お姉様には関係ありません」
「どれどれ・・・・・・それはわたしが贈ったものにとても似ている」
アラバスター侯爵閣下が首を傾げながらも、そのブローチを確認しようと手を伸ばした。
「ブローチなんて似たような物はどこにでもあります」
必死に抵抗するサーシャ。
「アラバスター侯爵閣下。妹は恥ずかしいのですわ。この子はシャイなのです」
「シャイ? さっきまでうるさく話しかけてきていたのに? あり得ないだろう? ちょっとそれを貸してみろ」
私がサーシャの胸元からブローチを取り、アラバスター侯爵閣下に渡す。彼はそのブローチの裏を見てニヤリと笑った。
「ソフィア。大変だ。あなたの妹にも悪魔が憑いているよ」
「え? そんなはずはありません。お母様は確かに厳しくて誤解されることもありますが、私達は母娘でしょう? 私に厳しくしてくださったのは、きっと私の為になるからですわ。お蔭で私のマナーは完璧です」
「痛い、痛いっ。もぉ、いい加減になさい!」
お母様は涙を流しているけれど、これはお母様のふりをした悪魔よ。
「くっくっ、あっははは! わたしの妻はなんて楽しいんだ。そうだな、このまま悪魔払いの牧師にきてもらうとしよう」
「そんなぁーー。夜通し身体を叩かれて、くさい薬草をあぶった煙に包まれて、きっと死んでしまうわ」
「お母様! 大丈夫です。神様のご加護があれば乗り切れます。善人は必ず神様が救ってくださるのですから」
「善人じゃなかったらどうなるの?」
サーシャが震える声でつぶやいた。
私はその声に振り返り、彼女の胸元にきらめいている美しいブローチに、初めて気がついた。
「そのブローチは、初めて見たわ。いつ買ったのかしら?」
「こ、これは以前から持っていたのものですわ。お姉様には関係ありません」
「どれどれ・・・・・・それはわたしが贈ったものにとても似ている」
アラバスター侯爵閣下が首を傾げながらも、そのブローチを確認しようと手を伸ばした。
「ブローチなんて似たような物はどこにでもあります」
必死に抵抗するサーシャ。
「アラバスター侯爵閣下。妹は恥ずかしいのですわ。この子はシャイなのです」
「シャイ? さっきまでうるさく話しかけてきていたのに? あり得ないだろう? ちょっとそれを貸してみろ」
私がサーシャの胸元からブローチを取り、アラバスター侯爵閣下に渡す。彼はそのブローチの裏を見てニヤリと笑った。
「ソフィア。大変だ。あなたの妹にも悪魔が憑いているよ」
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