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ジョセフィーヌの恋の行方
エンジェルの結婚(私は幸せ)
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私はエンジェル・ステンバードン。愛しのジョセフィーヌは弟と結婚してしまい、しばらくは悲しみのなかだった。でも、愛している子が幸せになるのは嬉しいことだ。
ジョセとセオドアの結婚式で同じく浮かない表情のダルメシアン侯爵令嬢は、小さなため息をついていた。
「やぁ、どうしたのさ? ため息なんて、こんなおめでたい席で?」
「まぁ、申し訳ありません。ただ、セオドア様に憧れておりましたので……とても憂鬱なのですわ。あんな素敵な方っておりませんもの」
「くっ……なんでかなぁ……弟ばかりが女にモテる。納得がいかないなぁ」
「ふふっ。それは心のダークさがダダ漏れだからですわ! 女は優しいふわっとした光をだす男性が好きなのです」
「なんだ? そのふわっとした光って?……ふむ……そもそも、そんなふわっなど私には無理だ」
「隣国のお姫様がいいのでは? とても腹黒いとか……やはり同じようなタイプがよろしいでしょう」
私はこのダルメシアン侯爵令嬢をじっと見つめた。勝ち気そうな瞳とすました表情の、いかにも高位貴族の令嬢だ。
「ねぇ、ダルメシアン。私は貴女に交際を申し込もうと思う。腹黒さは、隣国の王女に負けていないよね?」
「はぁ? お断りします! レディに失礼ですわ!」
見事に断られたが、友人ということで頻繁に会うようになった。
「エンジェル様、これはデートではありませんわ! 友人としてのピクニックです!」
「うん、わかっているよ」
そんな会話から始まる友人会は、内容そのものはデートと変らない。
花見をしたり観劇をしたり、手はたまに繋ぐけれど恋人じゃないからそれ以上はない。お互いがこうしていると楽だった。恋い焦がれるほどの強烈な情熱とは違うけれど、一緒にいてとても寛げる相手になった。
これって、なにかな? お互いが見つめ合って彼女がだした答えは、『長年、連れ添った夫婦みたいですわね?』だった。
傑作だよね? そうして、母上や周りに勧められるまま私達は結婚した。
でも、不思議なんだ! 結婚して一年するとその前より好きになって、2年、3年といるうちにもっと好きになった。
昔は澄ました顔の冷たい表情が目立っていたけれど、彼女は実はツンデレさんだったこともわかった。
甘えてくるときは、めちゃくちゃあどけない笑顔で別人みたいだった。おまけに侯爵令嬢のくせに、料理が得意で王妃になってもフライパンで王子達に手作りパンケーキを焼く。王女に読み聞かせる絵本の声も、鈴を振るようにかわいいし!
つまり今の私は、子ども達を産んで少し目尻に皺ができかけた妻を、こよなく愛する男になっていた。
それと同じく、彼女も同じことを言った。
「前よりは今、どんどん好きになるって素敵なことね! 私も同じ気持ちだわ。これって、すごくいい夫婦の形よね?」
周りの人間に聞いたら『普通は逆だよ』と言われた。そうかな? だったら、僕らは普通でなくて良かったよ。
私達の子供達(王子と王女)に妻が優しく話し掛けている様子を見ると幸せな気分になるんだよ。
ジョセとセオドアに聞いたらさ、
「ますます好きになるなんて当然だよ! それって普通でしょう?」
と、言った。
うん、つまりはステンバードン家の男はみんなこうってことかもね。
ちなみに、私には側妃はいない。当然だよね。今はとても幸せだよ。
おしまい
ジョセとセオドアの結婚式で同じく浮かない表情のダルメシアン侯爵令嬢は、小さなため息をついていた。
「やぁ、どうしたのさ? ため息なんて、こんなおめでたい席で?」
「まぁ、申し訳ありません。ただ、セオドア様に憧れておりましたので……とても憂鬱なのですわ。あんな素敵な方っておりませんもの」
「くっ……なんでかなぁ……弟ばかりが女にモテる。納得がいかないなぁ」
「ふふっ。それは心のダークさがダダ漏れだからですわ! 女は優しいふわっとした光をだす男性が好きなのです」
「なんだ? そのふわっとした光って?……ふむ……そもそも、そんなふわっなど私には無理だ」
「隣国のお姫様がいいのでは? とても腹黒いとか……やはり同じようなタイプがよろしいでしょう」
私はこのダルメシアン侯爵令嬢をじっと見つめた。勝ち気そうな瞳とすました表情の、いかにも高位貴族の令嬢だ。
「ねぇ、ダルメシアン。私は貴女に交際を申し込もうと思う。腹黒さは、隣国の王女に負けていないよね?」
「はぁ? お断りします! レディに失礼ですわ!」
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「うん、わかっているよ」
そんな会話から始まる友人会は、内容そのものはデートと変らない。
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これって、なにかな? お互いが見つめ合って彼女がだした答えは、『長年、連れ添った夫婦みたいですわね?』だった。
傑作だよね? そうして、母上や周りに勧められるまま私達は結婚した。
でも、不思議なんだ! 結婚して一年するとその前より好きになって、2年、3年といるうちにもっと好きになった。
昔は澄ました顔の冷たい表情が目立っていたけれど、彼女は実はツンデレさんだったこともわかった。
甘えてくるときは、めちゃくちゃあどけない笑顔で別人みたいだった。おまけに侯爵令嬢のくせに、料理が得意で王妃になってもフライパンで王子達に手作りパンケーキを焼く。王女に読み聞かせる絵本の声も、鈴を振るようにかわいいし!
つまり今の私は、子ども達を産んで少し目尻に皺ができかけた妻を、こよなく愛する男になっていた。
それと同じく、彼女も同じことを言った。
「前よりは今、どんどん好きになるって素敵なことね! 私も同じ気持ちだわ。これって、すごくいい夫婦の形よね?」
周りの人間に聞いたら『普通は逆だよ』と言われた。そうかな? だったら、僕らは普通でなくて良かったよ。
私達の子供達(王子と王女)に妻が優しく話し掛けている様子を見ると幸せな気分になるんだよ。
ジョセとセオドアに聞いたらさ、
「ますます好きになるなんて当然だよ! それって普通でしょう?」
と、言った。
うん、つまりはステンバードン家の男はみんなこうってことかもね。
ちなみに、私には側妃はいない。当然だよね。今はとても幸せだよ。
おしまい
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