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ジョセフィーヌの恋の行方
キネツさんの処分と王妃様の不思議発言(ジョセフィーヌ視点)
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「たまたま? そんな都合のいい話があるだろうか? 先ほどの見物人の中には、ヒヨコ広場の近くのパン屋にいちゃもんをつけていた、と言っていた者がいたよな?」
王太子様が、訝しげな視線を向けました。
「あぁ、小鳥公園の近くのパン屋の店主って話もあったな?」
サミュエル様も詰め寄っています。
「あぁ、それは他人のそら似でしょうなぁ。うん、そうに決まっています」
狐目男は、必死になって別人だと訴えていますよ。けれど、目が泳いでいるのは、誰でもわかりました。
この方は、嘘をつくのは上手ではないようです。
意外でしたが、王妃様は、あっさりと、その狐目の主張を認めましたよ。
「ふーーん。そうか。そうだな。お前は、それとは別人だと私も思う。ところでお前に、あの店の損害を半分、賠償して欲しいのだが、ここに名前と住所を書きなさい。追って、損害額を知らせる」
王妃様は、にこやかに微笑むと紙とペンを侍従に持ってこさせて渡させたのです。
「え? あ、えぇっと・・・・・・」
「どうした? さっさと書かんか! 王妃の命令は王命と同じぞ」
王様が怒声を浴びせると、狐目男は跪いて白状しだしましたよ。
「あ、あのぅ・・・・・・本当は、私は小鳥公園の近くのパン屋のキネツと言います」
「なんと、では、さっきの言葉は嘘か!」
「・・・・・・も、申し訳ありません・・・・・・」
「営業妨害ですね。 おおかた、人気店のパン屋が潰れれば自分のパンが売れるとでも思ったのでしょう」
私は、このキネツに憎悪を感じましたよ。だって、パン屋がパンを踏みつけるなんて! しかも、エラが焼いたパンなのに・・・・・・
「王である私の前で嘘を吐いた。これは、重い罪になる。お前の賠償金は2倍にしよう。加えて、お前が忌み嫌う娼館で掃除夫として1年働け。娼婦達には、お前達が言っていた言葉をそっくり伝えておくとしよう」
王様が、とてもいいことを思いついたとばかりに、判決を下しました。
「え? それは、重すぎる罪ではありませんか?」
キネツは、反論しようとしましたが、王太子様の舌打ちに恐れをなしてやめたようです。
この世界では王様の前で嘘を吐いたら、舌を引っこ抜かれても不思議ではありませんから、これは優しい処分だと思いますけどね。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
一段落して、皆でお茶を飲んでいると、王妃様がサミュエル様をじっと見つめています。どうしたというのでしょう?
「ねぇ、サミュエルは、彼とは最近、別れたの?」
王妃様は、にこにこしておっしゃいました。
王太子様が、訝しげな視線を向けました。
「あぁ、小鳥公園の近くのパン屋の店主って話もあったな?」
サミュエル様も詰め寄っています。
「あぁ、それは他人のそら似でしょうなぁ。うん、そうに決まっています」
狐目男は、必死になって別人だと訴えていますよ。けれど、目が泳いでいるのは、誰でもわかりました。
この方は、嘘をつくのは上手ではないようです。
意外でしたが、王妃様は、あっさりと、その狐目の主張を認めましたよ。
「ふーーん。そうか。そうだな。お前は、それとは別人だと私も思う。ところでお前に、あの店の損害を半分、賠償して欲しいのだが、ここに名前と住所を書きなさい。追って、損害額を知らせる」
王妃様は、にこやかに微笑むと紙とペンを侍従に持ってこさせて渡させたのです。
「え? あ、えぇっと・・・・・・」
「どうした? さっさと書かんか! 王妃の命令は王命と同じぞ」
王様が怒声を浴びせると、狐目男は跪いて白状しだしましたよ。
「あ、あのぅ・・・・・・本当は、私は小鳥公園の近くのパン屋のキネツと言います」
「なんと、では、さっきの言葉は嘘か!」
「・・・・・・も、申し訳ありません・・・・・・」
「営業妨害ですね。 おおかた、人気店のパン屋が潰れれば自分のパンが売れるとでも思ったのでしょう」
私は、このキネツに憎悪を感じましたよ。だって、パン屋がパンを踏みつけるなんて! しかも、エラが焼いたパンなのに・・・・・・
「王である私の前で嘘を吐いた。これは、重い罪になる。お前の賠償金は2倍にしよう。加えて、お前が忌み嫌う娼館で掃除夫として1年働け。娼婦達には、お前達が言っていた言葉をそっくり伝えておくとしよう」
王様が、とてもいいことを思いついたとばかりに、判決を下しました。
「え? それは、重すぎる罪ではありませんか?」
キネツは、反論しようとしましたが、王太子様の舌打ちに恐れをなしてやめたようです。
この世界では王様の前で嘘を吐いたら、舌を引っこ抜かれても不思議ではありませんから、これは優しい処分だと思いますけどね。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
一段落して、皆でお茶を飲んでいると、王妃様がサミュエル様をじっと見つめています。どうしたというのでしょう?
「ねぇ、サミュエルは、彼とは最近、別れたの?」
王妃様は、にこにこしておっしゃいました。
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