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姉編
5 アリシア・キアラ王妃視点(アーメッド王国の王妃)
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その日は王宮のバルコニーから、ケンドル・コーナー辺境伯とエメラルド王国の方角を見つめていた。娘のカリスタとクリスティンは、今頃どうしているのだろうか・・・・・・
「ほぉーー。やはり、王女達が気になるか?」
暗闇から声がして・・・・・・ぬっとドラゴンの顔が現れた。こ、これは・・・・・・その背中の巨大なコウモリの翼は・・・・・・ワイバーンか。まだ、生息していたとは。おそらくは、辺境伯の使いだろう・・・・・・まさか、カリスタ王女の身に何かあったのだろうか?
ワイバーンはシュタッと、大理石の床の上に降り立った。見れば、あっという間にケンドル・コーナー辺境伯に変身した。
ワイバーンがケンドル? ケンドルがワイバーン? まぁ、どちらでも結論は同じだけれど・・・・・・思いがけないことに気が動転していた。
「ケンドル・コーナー辺境伯。貴方は人間ではないのですか?」
「見ての通り、半分人間。もう半分はワイバーンだ。私の曾祖母がワイバーンでね。その隔世遺伝らしい。要件は私の結婚式に王を伴ってくるように。以上。ではな!」
そのまま去って行こうとするケンドル様に慌てて私は尋ねた。
「カリスタは元気でしょうか? 」
「ん? もちろんだとも。私はカリスタ王女を愛しているからね。元気でいないわけがないだろう? 愛する女の望みは全て叶えるつもりだ! ついでに言えば、お花畑も元気だ。あぁ、明日はイグナ王とアイサアス王の息子のアランも出席する。アイサアスは王位を退かせた。あいつは太りすぎだからな」
愉快な笑い声をあげていくワイバーンを見つめながら私は笑い泣きをしていた。こんな楽しい結末が待っていようとは思わなかったのだ。この世界の人間の闘いは終わるだろう。ワイバーンに勝てる人間など、もうこの世にはいないのだから・・・・・・
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
「エマーソン。私達の娘の夫が神だったようです。明日の結婚式に間に合うようにすぐに出立しましょう」
私はアーメッド王国のエマーソン王に言うと、いそいそとドレスをトランクに詰めていく。
竜神様は、お花畑も元気とおっしゃった。クリスティン王女のことで間違いない。生きているのなら・・・・・・やはり嬉しい。
「なぁ、アリシア。ケンドルが竜だったのか? 竜がケンドルに化けていたのか?」
あぁ、もうそんなややこしいことは、どうでもよろしいわ。王女達が元気で生きていて幸せなことが重要なのよ!
「あら、なにをしていますの?」
夫のエマーソン王が庭園の池に脚を踏み入れて、必死にカエルを捕っていた。
「カリスタの夫が竜なのだろう? 竜だったら蛇の親戚かな、と思ってね。カエルが好物なのじゃないかな?」
「・・・・・・」
クリスティンの残念な頭は、この夫からの遺伝らしい・・・・・・ドラゴンも竜もほぼ同じ種族だし、ワイバーンもその1種と言われている。食べる物は、たしか雑食で人間と変わらないはず・・・・・・カエルなんて貢ぎ物に持って行ったら・・・・・・私は頭の上にカエルを乗せた夫を、優しく諭した。
「カエルはあとで、うちのペットのコブラちゃんにあげましょう。さぁ、支度をなさってくださいね?」
「ほぉーー。やはり、王女達が気になるか?」
暗闇から声がして・・・・・・ぬっとドラゴンの顔が現れた。こ、これは・・・・・・その背中の巨大なコウモリの翼は・・・・・・ワイバーンか。まだ、生息していたとは。おそらくは、辺境伯の使いだろう・・・・・・まさか、カリスタ王女の身に何かあったのだろうか?
ワイバーンはシュタッと、大理石の床の上に降り立った。見れば、あっという間にケンドル・コーナー辺境伯に変身した。
ワイバーンがケンドル? ケンドルがワイバーン? まぁ、どちらでも結論は同じだけれど・・・・・・思いがけないことに気が動転していた。
「ケンドル・コーナー辺境伯。貴方は人間ではないのですか?」
「見ての通り、半分人間。もう半分はワイバーンだ。私の曾祖母がワイバーンでね。その隔世遺伝らしい。要件は私の結婚式に王を伴ってくるように。以上。ではな!」
そのまま去って行こうとするケンドル様に慌てて私は尋ねた。
「カリスタは元気でしょうか? 」
「ん? もちろんだとも。私はカリスタ王女を愛しているからね。元気でいないわけがないだろう? 愛する女の望みは全て叶えるつもりだ! ついでに言えば、お花畑も元気だ。あぁ、明日はイグナ王とアイサアス王の息子のアランも出席する。アイサアスは王位を退かせた。あいつは太りすぎだからな」
愉快な笑い声をあげていくワイバーンを見つめながら私は笑い泣きをしていた。こんな楽しい結末が待っていようとは思わなかったのだ。この世界の人間の闘いは終わるだろう。ワイバーンに勝てる人間など、もうこの世にはいないのだから・・・・・・
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
「エマーソン。私達の娘の夫が神だったようです。明日の結婚式に間に合うようにすぐに出立しましょう」
私はアーメッド王国のエマーソン王に言うと、いそいそとドレスをトランクに詰めていく。
竜神様は、お花畑も元気とおっしゃった。クリスティン王女のことで間違いない。生きているのなら・・・・・・やはり嬉しい。
「なぁ、アリシア。ケンドルが竜だったのか? 竜がケンドルに化けていたのか?」
あぁ、もうそんなややこしいことは、どうでもよろしいわ。王女達が元気で生きていて幸せなことが重要なのよ!
「あら、なにをしていますの?」
夫のエマーソン王が庭園の池に脚を踏み入れて、必死にカエルを捕っていた。
「カリスタの夫が竜なのだろう? 竜だったら蛇の親戚かな、と思ってね。カエルが好物なのじゃないかな?」
「・・・・・・」
クリスティンの残念な頭は、この夫からの遺伝らしい・・・・・・ドラゴンも竜もほぼ同じ種族だし、ワイバーンもその1種と言われている。食べる物は、たしか雑食で人間と変わらないはず・・・・・・カエルなんて貢ぎ物に持って行ったら・・・・・・私は頭の上にカエルを乗せた夫を、優しく諭した。
「カエルはあとで、うちのペットのコブラちゃんにあげましょう。さぁ、支度をなさってくださいね?」
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