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3 男の園

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ハーレムは、まさに男の園だった。

王宮の隣の後宮には、女王の為に集められた男達が50人ほどいた。多くは、貴族の次男以下で、家督が継げない男達だった。美貌を競い合うように、思い思いに鮮やかな衣装を着こなし、楽器を奏でたり踊る様子は、まさにハーレムだ。

鍛えた身体をみせるように、上半身が裸に近い者が多い。女王が私に手を差し出した。私はその手を取りながら、その男達が剣を持ちながら華麗に舞うのを見ていた。

「今日は、この男がハーレムに加わった歓迎会だ。皆の者に、あらかじめ、言っておく。この者に、ただではおかない! 意味がわかるな?」

そこに居並ぶ男達が、神妙な顔で頷いていた。

(女王様にもう気に入られたのかよ? どういう手を使ったんだ?)

(新参者のくせに、生意気な! なにかあったら・・・・・・ということは、殺すのはまずいな・・・・・・しかし、不慮の事故に見せかければ・・・・・・)

(女王様は怖いが、ここで気に入られなければ・・・・・・子供さえ産ませれば、私の地位は安泰・・・・・・女王様に媚薬を盛りたいな・・・・・・)

さまざまな、男達の心の声が聞こえてくる。誰一人として、この女王を好きだと思う心の声をきかせてくれる男はいなかった。

上に立つ者は、皆孤独だな・・・・・・私は自嘲した。私だとて、同じであった。この能力がなかった頃は兄を信じ、宰相を疑いもしなかった。心の声なんて、こんなものさ。みんな、自分のことばかり・・・・・・

(この者は、さっきから、なにも食べないわ。この国の料理が口にあわないのかしら? ここの味付けが辛すぎる?
もっと、コックに味付けを甘くさせよう。このスープだけでも飲めばいいのに)

私は、女王の横顔を見つめた。女王は、赤くなりながらも、冷たい口調でこう言ったのだった。

「スープぐらい飲め! 私の国の料理が食べられないと言うのか!」

私は、ツンデレな女王様がかわいく思えてきた。優しい口調で腹黒いことを思っている者が多いなかで、冷たい口調ではあっても、心の中は温かい。

私は、スープを口に含みゆっくりと飲み込んだ。女王が、少しだけ微笑んだ。綺麗でかわいい微笑みだ。
女王の口元に、そっとスプーンを差し出して私は、子供に言うように優しく言った。

「女王様もどうぞ? 一緒に飲みましょう」

女王様は、さらに頬を上気させながら、黙ってそのスープを口にした。

(あーーんなんて、初めてしちゃった。・・・・・・ちょっと・・・・・・嬉しい)

かわいい心の声に、私の頬は緩んだのだった。

この女王とのイチャイチャがハーレムの貴族の男達5人を怒らせたのは、もちろん心の声が聞こえる私にはわかっていた。

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