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5 ジョージ、親友アーサーにたじろぐ(ジョージ・ハーパー視点)

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―バートランド国にてー

ジョージ・ハーパー視点(オリーブの兄)




 「ジョージ。文化祭の予算のことだが去年の倍だな! 今年は大々的に開催したいと学園長が張り切っていたけれど、すごい規模になりそうだ」
 ノヴォトニー学園の生徒会室で、副会長のアーサ-が資料をパラパラとめくる。

「あぁ、アーサー。今年からは家族も見に来られるようになる。予算も2倍ついて準備に大忙しだ」

「そうだな。家族を呼べるってことはジョージの妹も来るだろう?」

「さぁ、どうかな。オリーブはひと月ほど前に婚約したばかりでね。両親もいろいろと忙しいかもしれない。実は文化祭の前に一度、アンバサ国に帰国しようと思っていたんだ。たった一人の妹の婚約を祝ってあげたい。期末試験も終えたし、今が帰国のタイミングかなと思う。」

「え? ジョージの妹がひと月も前に婚約? いったい誰と? なぜ僕に言ってくれなかったんだい?」

「ん? シュナイダー伯爵家の息子さ。いやいや、なんでアーサ-に言わなきゃならないんだ?」

「あぁ、ごめんよ。少し動揺した」

「は? なんでお前が動揺するんだ? 今日のアーサーは変だぞ。なんかおかしな物でも食ったか? 変といえば、オリーブから婚約したと嬉しがる手紙はもらったが、それ以降1通も来ない。オリーブは筆まめなのにおかしいんだよなぁ。とにかく帰国して・・・・・・」

「僕もアンバサ国に行くよ。ちょっと確認したいことができた。ジョージ、お前と一緒に帰国させてほしい」

「え? あぁ、うん。構わないけどさ。なんで、そんなに焦ってるんだ?」

 いつも冷静なアーサーがやたらとイライラと落ち着かない。アメジストの瞳が不機嫌な色を放ち、長い足をゆらゆらと揺らし続け、大きなため息までつきだした。


 どうしたんだよ?
 なんか、すっげ怖いんだけどぉーー!!
 頼むから、その足をガタガタと揺するのはやめろ。


「ひゃぁーー。ダメですって!! 生徒会長のジョンと副会長のアーサーがいないと困りますって。せめて時期をずらして」
 
 書記のヘンリーが涙目になってアーサーに頼み込む。


「いや、これだけは譲れないよ。どうしても行かなきゃならない」

 アーサーは資料でテーブルを叩くと、ぐっと拳を握り締めた。


 だからぁーー、なんで怒ってるんだ? こいつ?

 このアーサ-は入学当時からの親友だ。あ、違った。こいつは、学期途中で学園に入ってきたんだったっけ。とにかく、温厚で賢くて頼りになる男なのだけれど・・・・・・今日のアーサ-は怖いぞ・・・・・・


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