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後編ーー現実は甘くなかった
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カイスビー公爵家とメロナ侯爵家の一族が一斉に集められたお祝いのパーティ。
「これほどの人を集めたということは・・・・・・もしかしてカイスビー公爵は引退して婿の私を跡継ぎに据えるということだろうか? カトレア、なにか聞いていないかい?」
ジョンは落ち着かない様子でそわそわとカイスビー公爵家の大広間を行ったり来たり。
「さぁ? 存じませんわ。ですが、ほらあそこにネリアンが来ていますわよ。まぁ、ジョン様の瞳の色と同じドレス! 素敵ですわね」
「え? あぁ・・・・・・単なる偶然だろう。そんなことより、兄上が先ほどから私を睨み付け挨拶もしてくれない。なにか怒られるようなことをしたのだろうか・・・・・・あぁ、わかった。きっと私がカイスビー公爵になると兄上よりも身分が上になるからおもしろくないのだろうな。うん、きっと、そうだ。カトレア! 私はカイスビー公爵になったらますますこのカトレア商会を大きく発展させようと思う!」
「はぁ、それは良い心がけですわね」
私はそんな日は二度と来ないことを知っていながらもジョンにはそう答えたのだった。
それから数分後、お父様が一段高い壇上で私の妊娠とジョンへの追放宣言をしたのである。それを聞いたジョンは魂がぬけたような表情でネリアンとカイスビー公爵家を去っていった。
それ以降、私は二度とこの二人を見ることはなかった。
その後私は元気な男の子を出産。この子はアーサーと名付けられてピエールをお父様と呼んでいる。そう、私はピエールと再婚してアーサーを一緒に育てている。
アーサーは賢くも美しく育っている。ジョンの子供なのに表情が豊かでよく笑う可愛い子だ。ピエールと性格が同じで優しくて表裏が全くない。もちろんジョンの兄のメロナ侯爵にもとても可愛がられていた。
要するにジョンがいなくてもアーサーがいれば家同士の結び付きは強固。政略結婚のお勤めは家同士の血を引く子供を誕生させること。私はその大仕事をこなし、今は本当に愛してくれる専属執事が夫である。
「私、幸せすぎて怖いわ・・・・・・アーサーは良い子だし貴方はとっても優しいし・・・・・・そういえばジョンはどうしてるのかしらね?」
「あぁ、ジョンはネリアンと真実の愛を築いてるから大丈夫だよ」
夫のピエールはそう言いながら笑った。
(そうよね? だってジョンはネリアンに甘えたがっていたんだもの! 皆が幸せになって良かったわ!!)
私の幸せはずっと続く、これはきっと間違いないことだった。
ꕤ୭*ジョン視点
一族の全てが集まったカイスビー公爵家の大広間。集められた貴族達は、カイスビー公爵家とメロナ侯爵家の傘下の貴族達と親戚縁者。
「お集まりの皆さん! 今日は実に嬉しい知らせがあります」
私はわくわくとそのカイスビー公爵の次の言葉に期待したのだった。
「我が娘カトレアが妊娠しました! これでカイスビー公爵家とメロナ侯爵家の結び付きは強固なものになりました。この産まれてくる子供が次期公爵となるでしょう。そしてもうひとつ知らせがあります! ジョンはネリアンと再婚することになりました!」
「え!! どういうことですか?」
私はカイスビー公爵に動揺しながらも尋ねる。額から冷や汗が流れ落ちるし、背中には刺すような兄上の視線が注がれていた。
「わかっているはずだ。娘を裏切ってそのままで済むと思うなよ。お前はカイスビー公爵家から追放だ! ジョンはネリアン・ファガナ準男爵令嬢の婿になることに決まった。さぁ、ネリアンが待っているぞ! この屋敷からさっさと出て行くがいい!」
私がどんなに言い訳したくても、カイスビー公爵には取り付く島もなかったのである。
「馬鹿者が! お前はもう私の弟ではない! 産まれてくるお前の子供にはメロナ侯爵家の血がはいっているゆえ、大事に可愛がるつもりだから安心しろ。だが、お前とは縁切りだ」
兄上のメロナ侯爵は私を罵倒し、忌々しげに顔を歪ませたのだった。
ネリアンの屋敷に着くとそこは平民の家と大差ない質素な作りで、かなり薄汚れて明らかに掃除が行き届いてはいない。おまけにネリアンには年老いて寝込みがちの母親と足の悪い父親がいた。さらには年の離れた弟3人・・・・・・
「・・・・・・なんで今まで黙っていたのさ?」
「え? だって言う必要あった? ジョンちゃまはカトレア様の旦那様だったでしょう? 私の家族のことなんて話しても意味はないと思っていたし・・・・・・」
確かに不倫の恋に現実のしみったれた生活感はいらないはずだ。ほんのひとときの現実逃避に家族の話はナンセンスだから。しかし・・・・・・
「これって詐欺だよ! だってこんなの聞いてない・・・・・・ネリアンはいつだって母親のように”僕たん”だけを甘えさせてくれて・・・・・・」
「はぁ? もう現実に夫婦になっちゃってるのよ? いつまでそんな寝ぼけたこと言ってんのよ? 母のおむつを替えたら父の着替えも手伝ってあげてよ。私はパーティで貰ってきた料理を並べて食事の用意をするわ。さぁ、弟たちーー!!今日はご馳走よぉーー」
ネリアンは途端に私に命令をしはじめ、テキパキと食べ物をテーブルに並べていった。
「私はこんな生活なんて望んでいない! こんなの欲しかった生活じゃないよぉ」
「”僕たん”! ”僕たん”もね成長するときが来たのよ! いつまでも甘えていられるわけがないでしょう? わかったら、明日から職探しにでも行ってきてよね! もう公爵家の婿様じゃないんだよ!!」
ネリアンにいきなり冷たく突き放されて私はやっと理解した。不倫だからこそありえた関係。夫婦になったらあの虚構の世界はなくなるんだ。だって、夫婦は現実の生活に向き合わないといけないから。
無い物ねだりだったんだ。幸せはもう手の中にあったのに・・・・・・そうして私は今日もネリアンにどやされながらも、せっせと家事を手伝う。ファガナ準男爵家には侍女もメイドもいない。私はネリアンの母親と父親の介護をしながらネリアンの弟達の面倒をみて、さらには市井に働きに出かける。辛い・・・・・・
そうして半年後、ネリアンは家に帰って来なくなった。私に家族を押しつけ行方をくらましてしまったのである。この場合、一方的に離縁することもできず私はネリアンの家族の世話をし続けるしかなくなった。
(これって地獄だよな? 前の優雅な生活に戻りたいよぉおぉおぉおおおーー!! 誰か、これが悪夢だと言ってくれよ。夢なら覚めて、お願いだ!!)
それでも毎朝ネリアンの古い屋敷で目を覚ましがっくりと項垂れる私。
「起きたならおむつを替えておくれよ!! 気が利かないねぇ」
ネリアンの母親の悪態が聞こえて今日も悪夢のような一日が始まるのだった。
完
「これほどの人を集めたということは・・・・・・もしかしてカイスビー公爵は引退して婿の私を跡継ぎに据えるということだろうか? カトレア、なにか聞いていないかい?」
ジョンは落ち着かない様子でそわそわとカイスビー公爵家の大広間を行ったり来たり。
「さぁ? 存じませんわ。ですが、ほらあそこにネリアンが来ていますわよ。まぁ、ジョン様の瞳の色と同じドレス! 素敵ですわね」
「え? あぁ・・・・・・単なる偶然だろう。そんなことより、兄上が先ほどから私を睨み付け挨拶もしてくれない。なにか怒られるようなことをしたのだろうか・・・・・・あぁ、わかった。きっと私がカイスビー公爵になると兄上よりも身分が上になるからおもしろくないのだろうな。うん、きっと、そうだ。カトレア! 私はカイスビー公爵になったらますますこのカトレア商会を大きく発展させようと思う!」
「はぁ、それは良い心がけですわね」
私はそんな日は二度と来ないことを知っていながらもジョンにはそう答えたのだった。
それから数分後、お父様が一段高い壇上で私の妊娠とジョンへの追放宣言をしたのである。それを聞いたジョンは魂がぬけたような表情でネリアンとカイスビー公爵家を去っていった。
それ以降、私は二度とこの二人を見ることはなかった。
その後私は元気な男の子を出産。この子はアーサーと名付けられてピエールをお父様と呼んでいる。そう、私はピエールと再婚してアーサーを一緒に育てている。
アーサーは賢くも美しく育っている。ジョンの子供なのに表情が豊かでよく笑う可愛い子だ。ピエールと性格が同じで優しくて表裏が全くない。もちろんジョンの兄のメロナ侯爵にもとても可愛がられていた。
要するにジョンがいなくてもアーサーがいれば家同士の結び付きは強固。政略結婚のお勤めは家同士の血を引く子供を誕生させること。私はその大仕事をこなし、今は本当に愛してくれる専属執事が夫である。
「私、幸せすぎて怖いわ・・・・・・アーサーは良い子だし貴方はとっても優しいし・・・・・・そういえばジョンはどうしてるのかしらね?」
「あぁ、ジョンはネリアンと真実の愛を築いてるから大丈夫だよ」
夫のピエールはそう言いながら笑った。
(そうよね? だってジョンはネリアンに甘えたがっていたんだもの! 皆が幸せになって良かったわ!!)
私の幸せはずっと続く、これはきっと間違いないことだった。
ꕤ୭*ジョン視点
一族の全てが集まったカイスビー公爵家の大広間。集められた貴族達は、カイスビー公爵家とメロナ侯爵家の傘下の貴族達と親戚縁者。
「お集まりの皆さん! 今日は実に嬉しい知らせがあります」
私はわくわくとそのカイスビー公爵の次の言葉に期待したのだった。
「我が娘カトレアが妊娠しました! これでカイスビー公爵家とメロナ侯爵家の結び付きは強固なものになりました。この産まれてくる子供が次期公爵となるでしょう。そしてもうひとつ知らせがあります! ジョンはネリアンと再婚することになりました!」
「え!! どういうことですか?」
私はカイスビー公爵に動揺しながらも尋ねる。額から冷や汗が流れ落ちるし、背中には刺すような兄上の視線が注がれていた。
「わかっているはずだ。娘を裏切ってそのままで済むと思うなよ。お前はカイスビー公爵家から追放だ! ジョンはネリアン・ファガナ準男爵令嬢の婿になることに決まった。さぁ、ネリアンが待っているぞ! この屋敷からさっさと出て行くがいい!」
私がどんなに言い訳したくても、カイスビー公爵には取り付く島もなかったのである。
「馬鹿者が! お前はもう私の弟ではない! 産まれてくるお前の子供にはメロナ侯爵家の血がはいっているゆえ、大事に可愛がるつもりだから安心しろ。だが、お前とは縁切りだ」
兄上のメロナ侯爵は私を罵倒し、忌々しげに顔を歪ませたのだった。
ネリアンの屋敷に着くとそこは平民の家と大差ない質素な作りで、かなり薄汚れて明らかに掃除が行き届いてはいない。おまけにネリアンには年老いて寝込みがちの母親と足の悪い父親がいた。さらには年の離れた弟3人・・・・・・
「・・・・・・なんで今まで黙っていたのさ?」
「え? だって言う必要あった? ジョンちゃまはカトレア様の旦那様だったでしょう? 私の家族のことなんて話しても意味はないと思っていたし・・・・・・」
確かに不倫の恋に現実のしみったれた生活感はいらないはずだ。ほんのひとときの現実逃避に家族の話はナンセンスだから。しかし・・・・・・
「これって詐欺だよ! だってこんなの聞いてない・・・・・・ネリアンはいつだって母親のように”僕たん”だけを甘えさせてくれて・・・・・・」
「はぁ? もう現実に夫婦になっちゃってるのよ? いつまでそんな寝ぼけたこと言ってんのよ? 母のおむつを替えたら父の着替えも手伝ってあげてよ。私はパーティで貰ってきた料理を並べて食事の用意をするわ。さぁ、弟たちーー!!今日はご馳走よぉーー」
ネリアンは途端に私に命令をしはじめ、テキパキと食べ物をテーブルに並べていった。
「私はこんな生活なんて望んでいない! こんなの欲しかった生活じゃないよぉ」
「”僕たん”! ”僕たん”もね成長するときが来たのよ! いつまでも甘えていられるわけがないでしょう? わかったら、明日から職探しにでも行ってきてよね! もう公爵家の婿様じゃないんだよ!!」
ネリアンにいきなり冷たく突き放されて私はやっと理解した。不倫だからこそありえた関係。夫婦になったらあの虚構の世界はなくなるんだ。だって、夫婦は現実の生活に向き合わないといけないから。
無い物ねだりだったんだ。幸せはもう手の中にあったのに・・・・・・そうして私は今日もネリアンにどやされながらも、せっせと家事を手伝う。ファガナ準男爵家には侍女もメイドもいない。私はネリアンの母親と父親の介護をしながらネリアンの弟達の面倒をみて、さらには市井に働きに出かける。辛い・・・・・・
そうして半年後、ネリアンは家に帰って来なくなった。私に家族を押しつけ行方をくらましてしまったのである。この場合、一方的に離縁することもできず私はネリアンの家族の世話をし続けるしかなくなった。
(これって地獄だよな? 前の優雅な生活に戻りたいよぉおぉおぉおおおーー!! 誰か、これが悪夢だと言ってくれよ。夢なら覚めて、お願いだ!!)
それでも毎朝ネリアンの古い屋敷で目を覚ましがっくりと項垂れる私。
「起きたならおむつを替えておくれよ!! 気が利かないねぇ」
ネリアンの母親の悪態が聞こえて今日も悪夢のような一日が始まるのだった。
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