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4 (妹視点)その2

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お姉様がいなくなって、屋敷の中は荒れ放題になった。お掃除が嫌いな私は、それでも片付けるのが面倒だった。

ただ、食べ物や生活に必要なものはロン公爵家から、いろいろ届いて不自由はない。働かなくても、生活できるし、なにか困ったことがあったらお姉様に言えば、大抵どうとでもなった。

けれど、三ヶ月が過ぎた頃、公爵様が包帯をとって、公の場所に出席するようになった。

素晴らしい美貌だった。なんで、あんなに美しい顔を隠していたのかしら?

あんなに素敵な方なら私が、お嫁に行きたかったのに!

大変だわ! 取り返さなきゃ! あそこは、私の居場所だもん! 

だから、私はロン公爵家に乗り込んだ。

「私こそは、ロン公爵夫人ではないですか? お姉様が無理矢理、私から奪った地位を返していただきますわ!」

「なにを言うの? 貴女が泣いて嫌がったではありませんか? だから、私は・・・・・・」

「お姉様。お願い! もともとは、私が望まれた結婚よ? お願いよ、大好きな最愛のお姉様・・・・・・」

そう言えば、だいたい譲ってもらえる。『大好きな最愛のお姉様』この言葉は、お人好しのお姉様には効果的な魔法の言葉だ。

お姉様は黙って頷いた。これで、いいわ。

私は、ロン公爵様の執務室に行き、お姉様を追い出すように言った。

「公爵様、お姉様が私から、無理矢理ウエディングドレスを奪ったんです! あの酷い姉を追い出してください!」

「あぁ、もちろん、元からオークリンを妻にする予定だったけれど、もっと早く来ると思っていた」

ロン公爵様は、不審がったが、私は体調が悪かったと言い訳をして、かえってロン公爵様を責めた。

「ロン公爵様こそ、私のことを本当に望んでいたのでしたら、様子を見にきてくだされば良かったではありませんか?」

ロン公爵様は、黙って頷いて『すまなかったね』と、おっしゃった。

やったわ! 私が、これで公爵夫人だわ!

お姉様がいなくなって、なんでも、私が采配するようになると、面倒くさいことばかりだった。

侍女長のマーサはいつだって、私に些細な問題まで押しつけてくるし・・・・・・

はっきり言って、ロン公爵様の献立なんてなんでもいいじゃない? なぜ、私にいちいち聞くの?  

うんざりなのだけれど・・・・・・


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚



「来週、王家が主催する舞踏会があるから、このハンカチとそれから上着の襟のあたりにロン家の紋章を刺繍してほしい」

ロン公爵様から言われた私は、できないとは言えなかった。

お姉様なら、多分半日もかからないはずの刺繍は私にとっては三日かけても終わらない難しいものだった。

おまけに、マナーもダンスも講師が来て教えてくれるけれど、今までなにもかも怠けていた私には到底、公爵夫人としての威厳が保てるとは思えなかった。

どうしよう・・・・・・お姉様は追い出したし・・・・・・また代わってもらえないかしら?  

私は、こっそり、お姉様に会いにカラザ家に戻ったが、その屋敷には『売り物件』の立て札が立てられていた。

お姉様はどこに行ったの? 私に、何も知らせずにどこかに行くなんて酷い・・・・・・

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