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17 ジョアンナの復讐
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「うわっ、今のはなんだったんだ? まるで、魔王がアリアナの家来みたいに従っていたけど?」
「ふふん。魔王はね、アリアナに夢中なのよ。心底、愛しているってこと! ところでさ、あんた、アリアナに婚約破棄したんでしょう? そんな程度の顔で? そんな程度の足の長さで? たかが人間の王太子風情が? おまけに、アリアナにえん罪をなすりつけたなんて許さないんだからっ!」
ジョアンナの怒りが大爆発する。
「レオナルドの大事にしている物を全部、隠しちゃえ! クズの宝物よ、魔界の魔尊木のツリーハウスに移動せよ」
ジョアンナの命令で、レオナルドの宝物が目の前に現れては消えていった。レオナルドが大事にしていた金の懐中時計や、嘘や不誠実な行動を正当化するために使っていた言い訳を書き留めた大事な手帳や、人生における指針となる「偉大な計画日記」もだ。ちなみに、金の懐中時計はごてごてと装飾されすぎており、肝心の時間がよく把握できない。
「なんてことだ。私が偉大な王になるための計画日記まで隠してしまうとは」
「へぇーー、これが一番大事なものなんだ。なになに……側妃を5人つくり、愛妾は50人はべらす? くっだんない! 世界を統一して大帝国を築き上げる? 無理、無理! 歴史に残る大帝国の皇帝となり魔界や天界をも支配する? なにを寝ぼけているのよ? どれも実行できない、ただの夢物語や思いつきに過ぎないわね。こんなの隠してもゴミになるだけだから返してあげる」
ジョアンナはまるで風に乗る葉っぱのように、ケタケタと楽しげに笑いながら空中を舞っている。
「おっと、一番大事な物を忘れていたわ。『アリアナ・スクプリタム』を回収しなきゃ。だって、あれはアリアナが発明したものでしょう? アリアナを虐めたあんたたちが使っていいわけないじゃない?」
『アリアナ・スクプリタム』と王家の財宝がレオナルドの前に現れ、一瞬で消えた。
「あんたはアリアナに、王室財宝横領の罪を着せたのよね? だったら、財宝はアリアナが持っているほうが自然だわ。もちろん、アリアナのことだから、貧しい者たちに配ることになるだろうけどね。それから、あんたはもう絶対アリアナの夢に出てきちゃダメよ。今度こそ、魔王に殺されちゃうから」
「夢に出たくて出たわけじゃないぞ。それはアリアナの問題だろう?」
「魔王にそんな言い訳が通じると思うの?」
「……思いません」
「まぁ、修道院にでも入って毎日神に祈っていたら、魔王も殺しはしないかもね」
ジョアンナはコロコロと笑いながら姿を消した。
その後、レオナルドはなにかに追い立てられるように修道院に入り、一生をそこで神に祈りを捧げて過ごした。彼は悪夢にうなされると、決まって同じ言葉を口にした。
「魔王様、申し訳ございません。許してください、お願いです。二度とアリアナ様の夢には出ませんからぁ~~!」
「ふふん。魔王はね、アリアナに夢中なのよ。心底、愛しているってこと! ところでさ、あんた、アリアナに婚約破棄したんでしょう? そんな程度の顔で? そんな程度の足の長さで? たかが人間の王太子風情が? おまけに、アリアナにえん罪をなすりつけたなんて許さないんだからっ!」
ジョアンナの怒りが大爆発する。
「レオナルドの大事にしている物を全部、隠しちゃえ! クズの宝物よ、魔界の魔尊木のツリーハウスに移動せよ」
ジョアンナの命令で、レオナルドの宝物が目の前に現れては消えていった。レオナルドが大事にしていた金の懐中時計や、嘘や不誠実な行動を正当化するために使っていた言い訳を書き留めた大事な手帳や、人生における指針となる「偉大な計画日記」もだ。ちなみに、金の懐中時計はごてごてと装飾されすぎており、肝心の時間がよく把握できない。
「なんてことだ。私が偉大な王になるための計画日記まで隠してしまうとは」
「へぇーー、これが一番大事なものなんだ。なになに……側妃を5人つくり、愛妾は50人はべらす? くっだんない! 世界を統一して大帝国を築き上げる? 無理、無理! 歴史に残る大帝国の皇帝となり魔界や天界をも支配する? なにを寝ぼけているのよ? どれも実行できない、ただの夢物語や思いつきに過ぎないわね。こんなの隠してもゴミになるだけだから返してあげる」
ジョアンナはまるで風に乗る葉っぱのように、ケタケタと楽しげに笑いながら空中を舞っている。
「おっと、一番大事な物を忘れていたわ。『アリアナ・スクプリタム』を回収しなきゃ。だって、あれはアリアナが発明したものでしょう? アリアナを虐めたあんたたちが使っていいわけないじゃない?」
『アリアナ・スクプリタム』と王家の財宝がレオナルドの前に現れ、一瞬で消えた。
「あんたはアリアナに、王室財宝横領の罪を着せたのよね? だったら、財宝はアリアナが持っているほうが自然だわ。もちろん、アリアナのことだから、貧しい者たちに配ることになるだろうけどね。それから、あんたはもう絶対アリアナの夢に出てきちゃダメよ。今度こそ、魔王に殺されちゃうから」
「夢に出たくて出たわけじゃないぞ。それはアリアナの問題だろう?」
「魔王にそんな言い訳が通じると思うの?」
「……思いません」
「まぁ、修道院にでも入って毎日神に祈っていたら、魔王も殺しはしないかもね」
ジョアンナはコロコロと笑いながら姿を消した。
その後、レオナルドはなにかに追い立てられるように修道院に入り、一生をそこで神に祈りを捧げて過ごした。彼は悪夢にうなされると、決まって同じ言葉を口にした。
「魔王様、申し訳ございません。許してください、お願いです。二度とアリアナ様の夢には出ませんからぁ~~!」
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