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因果応報が始まる
15 (王太子視点)
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私は、王太子妃にアイリスがなると母上から聞かされた時に、大賛成した。彼女は優秀だし物静かで、物の道理をわきまえている。必ず、王家の秘密も死ぬまで守り、忠実に王太子妃としての仕事をしてくれそうだ。
私は、政治にも経済にも興味はないし、はっきり言って、おもしろおかしく生きていたいだけだ。せっかく産まれた命なんだ。苦労する必要がどこにあるんだい?
先々代の王妃様は、とてもいいことを考えたよね? ”お飾りの王様”なんて、笑っちゃうけどさ。楽だから文句は言わないよ。好きなことを毎日していればいいと言われたから、いつも庭園で天気の良い日は騎士団員とピクニックさ。父上は、多分、裏庭で若い執事達を侍らしていると思う。
仕事は母上とその側近達が全てやっている。私と父上は公式の行事に出て、偉そうに王座に座っているだけだ。これって、最高だよね? ただ、王室の予算も決まっているから、私はそのなかでしか行動はできない。豪遊や散財はできないし、政治に口は出せないし、外交も蚊帳の外さ。いいよ、それでも・・・全然私は気楽だよ。
この安定した暮らしを続けるためには、優秀な王太子妃が必要だからアイリスには、とても優しく接していた。
アイリスがしっかりしていれば、この国は安泰だし、世継ぎはサミールにお願いしようと思っていた。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
「なぁ、サミールを見込んで、お願いがあるんだよ。実は、私は女性は愛せない。だから、王太子候補が決まったら、サミールがその女性との間に子供を作ってくれよ! サミールは王族だし、隣国の王族の血も入っている。こんなことは、よくあることだろう? そうして、ゆくゆくはサミールが宰相になればいいよ。なぁに、この国は仕事は王妃が全部やることになっているからね! サミールだって、適当に遊んでればいいんだよ? 今の宰相みたいに、もう母上が決裁済みの案件に印鑑を押すだけの仕事さ? 実にいいアイディアだろう?」
こんなことを、持ちかけたのは、随分と昔のことだった。サミールは、女好きで努力が嫌いな怠け者だから、私とはすごく気が合うんだ。だから、王家の秘密を漏らしても安心だと思った。今こそ、サミールにその件を改めて頼もうとしていたところに、サミールから話があると持ちかけられて、サロンで待っていたらヴァレリアまで現れたのだった。
全く、いくらこの女に気があるからって私をダシにするなよ。おまけに、サミールは急に頭痛がすると言って帰ってしまったし・・・
仕方ないから、この女が持ってきたつまらない紅茶を飲んでいたら、いつの間にか目の前に筋肉もりもりのドストライクの男性がいたんだ。
あれ、ヴァレリアはいつの間にか、帰ったのかな? まぁ、いいか・・・とてもタイプだし、私は王太子だ。なにをしても許されるはずだよな・・・ なにか、ぼーっとして思考回路がうまく繋がらないけれど・・・・・・そうして、突然3人の見慣れない侍女達が叫びだして騎士達が駆けつけてきたんだ。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
あとから、母上に私がヴァレリアを押し倒していたと聞かされて、私は首を傾げた。私は生粋の女嫌いなのに、そんなことがあるわけがない・・・その紅茶を調べてみると・・・媚薬ともうひとつ不審な点があり、母上は早速、隣国から魔道士を呼び、分析させた。
その結果は、強力な幻を見させる魔法がその媚薬には、かかっていたのだった。
「こんな魔法を使える者は、我が国の先代の頃の第二王女様以来ではないでしょうか。我が国でも、魔法は衰退してきておりまして、まともに魔法を使える者は、それほどいません」
その魔道士は、汗をかきながら、私と母上にそう言うが・・・先代の頃の第2王女様って、サミールのお婆様でもうこの世にはいらっしゃらないぞ!
・・・ということは・・・私と母上は、顔を見合わせてぞっとしたのだった・・・サミールは能なしの怠け者なんかじゃない・・・その正体は・・・
私は、王太子妃にアイリスがなると母上から聞かされた時に、大賛成した。彼女は優秀だし物静かで、物の道理をわきまえている。必ず、王家の秘密も死ぬまで守り、忠実に王太子妃としての仕事をしてくれそうだ。
私は、政治にも経済にも興味はないし、はっきり言って、おもしろおかしく生きていたいだけだ。せっかく産まれた命なんだ。苦労する必要がどこにあるんだい?
先々代の王妃様は、とてもいいことを考えたよね? ”お飾りの王様”なんて、笑っちゃうけどさ。楽だから文句は言わないよ。好きなことを毎日していればいいと言われたから、いつも庭園で天気の良い日は騎士団員とピクニックさ。父上は、多分、裏庭で若い執事達を侍らしていると思う。
仕事は母上とその側近達が全てやっている。私と父上は公式の行事に出て、偉そうに王座に座っているだけだ。これって、最高だよね? ただ、王室の予算も決まっているから、私はそのなかでしか行動はできない。豪遊や散財はできないし、政治に口は出せないし、外交も蚊帳の外さ。いいよ、それでも・・・全然私は気楽だよ。
この安定した暮らしを続けるためには、優秀な王太子妃が必要だからアイリスには、とても優しく接していた。
アイリスがしっかりしていれば、この国は安泰だし、世継ぎはサミールにお願いしようと思っていた。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
「なぁ、サミールを見込んで、お願いがあるんだよ。実は、私は女性は愛せない。だから、王太子候補が決まったら、サミールがその女性との間に子供を作ってくれよ! サミールは王族だし、隣国の王族の血も入っている。こんなことは、よくあることだろう? そうして、ゆくゆくはサミールが宰相になればいいよ。なぁに、この国は仕事は王妃が全部やることになっているからね! サミールだって、適当に遊んでればいいんだよ? 今の宰相みたいに、もう母上が決裁済みの案件に印鑑を押すだけの仕事さ? 実にいいアイディアだろう?」
こんなことを、持ちかけたのは、随分と昔のことだった。サミールは、女好きで努力が嫌いな怠け者だから、私とはすごく気が合うんだ。だから、王家の秘密を漏らしても安心だと思った。今こそ、サミールにその件を改めて頼もうとしていたところに、サミールから話があると持ちかけられて、サロンで待っていたらヴァレリアまで現れたのだった。
全く、いくらこの女に気があるからって私をダシにするなよ。おまけに、サミールは急に頭痛がすると言って帰ってしまったし・・・
仕方ないから、この女が持ってきたつまらない紅茶を飲んでいたら、いつの間にか目の前に筋肉もりもりのドストライクの男性がいたんだ。
あれ、ヴァレリアはいつの間にか、帰ったのかな? まぁ、いいか・・・とてもタイプだし、私は王太子だ。なにをしても許されるはずだよな・・・ なにか、ぼーっとして思考回路がうまく繋がらないけれど・・・・・・そうして、突然3人の見慣れない侍女達が叫びだして騎士達が駆けつけてきたんだ。
*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚
あとから、母上に私がヴァレリアを押し倒していたと聞かされて、私は首を傾げた。私は生粋の女嫌いなのに、そんなことがあるわけがない・・・その紅茶を調べてみると・・・媚薬ともうひとつ不審な点があり、母上は早速、隣国から魔道士を呼び、分析させた。
その結果は、強力な幻を見させる魔法がその媚薬には、かかっていたのだった。
「こんな魔法を使える者は、我が国の先代の頃の第二王女様以来ではないでしょうか。我が国でも、魔法は衰退してきておりまして、まともに魔法を使える者は、それほどいません」
その魔道士は、汗をかきながら、私と母上にそう言うが・・・先代の頃の第2王女様って、サミールのお婆様でもうこの世にはいらっしゃらないぞ!
・・・ということは・・・私と母上は、顔を見合わせてぞっとしたのだった・・・サミールは能なしの怠け者なんかじゃない・・・その正体は・・・
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