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放火したのは誰でしょう? と思っていたら懐かしい人が来た(サラside)

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 あぁ、思惑通りに白状してくれたわ。私は下級警察を呼んで、タネコさんを連行してもらった。
イライジャ様は、店長室のほうでその様子をずっと聞いていた。

「サラ! お疲れ様。本当に貴女は尊敬するよ。ところで、そろそろお昼にしようか?」

「えぇ! お父様も呼んできてくださらない? 店長室で食べましょう。
 今日はサンドイッチを作ってきたのよ? ほら?」

「うん、すごく美味しそうだね。僕が、ヒーコーを淹れるね!」

「ふふふ。イライジャ様が淹れるヒーコーは、すごく美味しいわ」

「心が、こもっているからだよ」

 そう言いながら、私の頬にキスしてきたから私は照れて顔が真っ赤だ。
ちょっとだけ、手を握りしめ合って、お互いにっこり笑い合う。

 私達は、まるで中学生のような恋愛だわ。
でも、ゆっくりで良いと思う。

 私達は、気が合うし、この店はもうすっかり繁盛店で、ここ1年で業界トップになった。
クレアン伯爵家の借金は、こないだ返済し終わったばかりだったから、恋愛はこれからだ。


 これから、少しづつ愛を確かめ合う。これが、いいのよね?
恋の醍醐味は、この期間の甘い切ない期間なのよ! 
ほら、レモンの砂糖漬けのような甘酸っぱいかんじのこの期間がね、最高なのよ。
例えが、ちょっとアレだったかもだけど・・・・・・

 
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*



 お父様と私とイライジャ様と3人で食べる食事は、いつだって美味しい。

「あぁ、このローストビーフサンドイッチ、すごく美味しいね!」

 イライジャ様が、とても褒めてくれるから、いつもすごく作りがいがある。

「うん、うん。サラは、なんでもできて、天才だな」

 親馬鹿なお父様は、もっと褒めてくださるから、つい張り切ってしまう。

 そんなわけで、私の料理の腕も急上昇中なのだ。

「ところで、あの放火魔は誰だったんだろうな?」

「うーーん。タネコさんだと思ったんだけどね?」

「ところでだ、そろそろ、二人とも婚約したらいいんじゃないかな? 借金も返したし、この店を皆で協力して盛り上げるのに信頼感も芽生えた。お互い好きなのだろう?」

「えぇ、もちろん・・・・・・」

 私のその言葉が終わらないうちに、ディラン様が入っていらっしゃいました。

「その婚約は待て! 先に、婚約したのは私だぞ!」

 は? この方は、なにをおっしゃっているのでしょうか?


*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*

※ヒーコー:コーヒーに似た飲み物です。

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