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子供を見れば親がわかる(サラside)

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 「とにかく、貴族のご令嬢らしくお話し合いをいたしましょう。立ち話もなんだから、事務所でお茶でも頂きましょう」

 私は、そう言って彼女を誘った。

 その男爵令嬢はクロエ・マンデー男爵令嬢と名乗った。

「私は、本当に万引きなどしていませんわ。同じ貴族なら庇っていただけるでしょう? 貴族が犯罪などするわけがないでしょう? だって、私はこのシャンプーなどいくらでも買えるのですもの!」

 彼女は、そう言いながら胸の前で手のひらを可愛らしく重ね合わせ、私を拝むようなしぐさをした。それは、男性には通じる悩殺ポーズのひとつかもしれないけれど、女性にやったら逆効果だ。

「シャンプー? 私はなにを万引きされたかは、まだなにも言ってませんよね? なぜわかるんですか?」

「え? えぇっと・・・・・・なんとなく」

「その手提げに入っているのは、わかっているんですよ。見ていましたからねぇ。出してこのテーブルに並べてください」 

 彼女は、手提げの中身を出した。シャンプーと歯ブラシは特に高価なものではなかった。

「お金を払えばいいでしょう? こんな安いものいくらでも買えるもの」

 私は、この言葉にムカついた。このピンクの髪の娘は躾がなっていないと思う。

「これから、貴女の家に一緒に行ってもいいかしら? ご両親にお話した方が良いと思うのよ?」

 私がそう言うと、マンデー男爵令嬢は、ふてくされた様子で頷いた。

 

*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*


ーーマンデー男爵家の居間にてーー

「はぁーー? うちに娘が万引きした証拠はどこにあるんだ? さぁ、出してみろ?」

 マンデー男爵が私に食って掛かって来た。私は、こんなことは前世で経験したことだったので小型の録音装置を取り出した。会話はここにばっちりはいっていた。あとで、ホームセンター冨士山の店内の各所にも防犯カメラを仕掛けよう。

「お金を払えばいいでしょう? こんな安いものいくらでも買えるもの」

 クロエの可愛い声が録音装置から聞こえてきた。マンデー男爵は、気まずいような表情をして視線を逸らす。そうして、命令口調で言ったのだった。

「金ならあるんだ。倍を出すからこれはなかったことにしろ! この家から犯罪者がでるなんてまずい。3倍出してもいい。どうせ、金が欲しくてわざわざここまで来たのだろう? だいたい、伯爵令嬢がなぜホームセンター冨士山なんかにいるんだよ? おかしいだろ? おまけに、歯ブラシのひとつやふたつで、ギャーギャー騒ぐなんてバカなのか? シャンプーだって、安物だろう? あんた、マンデー男爵家を強請りにきたのか?」

 話にならない保護者のマンデー男爵を冷めた目でみて、私は呟いた。

「やっぱ・・・・・・上級警察に行くことにしますね」

 目の前の男爵は急に顔色を青ざめさせたのだった。




୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

※この異世界の警察は貴族も取り締まれます。上級警察は貴族を下級警察は平民を取り締まります。貴族に重い処分をする際には王家の許可も必要で裁判にも王家が介入します。万引きのような軽犯罪の場合は王家に報告がなされます。
 
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