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実はあの時に前世の記憶は戻っていたわ・・・・・・(サラside)
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私は、ディラン様にとても素晴らしいことを言われた。
「私は、真実の愛に目覚めた。サラのような言いなりの犬などいらない。私は天真爛漫なブリアンナと婚約する」
『真実の愛』? どこかで聞いたことがあると思った。前にもこのような言葉は言われたことがあった気がした。
「俺は真実の愛に出会った。凛みたいに俺の夢がわからない超現実主義の女なんていらない。俺は天真爛漫な詩と結婚する」
ん? この頭にポワンと浮かんだ、忌々しいセリフは誰が言ったのだったかしら?えーーと・・・・・・あぁ、31にもなって『俺はミュージシャンになる! ビッグになってやるから見てろよ』が口癖の大和の言葉だ。
私は、超現実主義では決してない。ただ、31でビッグミュージシャンになるのは、どうなんだろうと思っただけだ。大和は郵便局員で、その職を辞めてバンド活動に専念すると言い出したので、諫めた私がそんなにいけなかったのだろうか?
この記憶は前世のもの? では、ここはなんの世界だろうか? 目の前にいるディラン様にピンとくるものはなく、サラ・クレアン伯爵令嬢というここでの自分の名前にも心当たりはないのだ。
かつて、日本という国で生きていた私は、漫画やネット小説をたまに読むことがあった。そこでは転生ものが流行っていて、突然主人公が今の私のように気がつくのだ。
例えば、
「はっ! この世界ってゲームの『愛と冒険のプリンセスは傾国の美女』じゃない! えぇーー、私って『傾国の美女』になっちゃったーー」
のようなことですね。そして、前世の知識を生かしてチートな存在となり、数々の試練を乗り越えゲーム設定を覆したうえでの幸せ路線突っ走りが定番だった。
ところが、今の私は残念です。『傾国の美女』ならず、ゆで卵だわ。お化粧で、なんちゃって美女に変貌できるのが、せめてもの救いか。良かったわ、この世界のメイクグッズが元いた日本とそれほど変わらなくて。
チートな能力になりそうなものもないね・・・・・・前世が医者とか薬剤師だったらこの世界の医学に貢献できただろう。デザイナーでもこの世界のドレスに変革をもたらすことができるでしょう。あとは、有名なコックなら、この世界の食生活に改革をおこし大活躍というのも定番。
しかし、ないわ。私はそのようなチート能力なしの転生者です。ただ、口だけは達者よ。私の前世の職業は『実演販売士』だった。どんなつまらない物でも私が実演すると、飛ぶように売れるテレビでも引っ張りだこの売れっ子だった。前世の記憶が戻ったと言ってもこのようなパッとしない能力でこころもとない。
このような思考が5分ほど頭の中でグルグルした後に私はディラン様に言ったのだった。
「かしこまりました。いままで、どうもありがとうございました。つきましては、そちら様の一方的な心変わりからの婚約破棄ですので、慰謝料を請求いたしますね? 私の婚約破棄を告げられたことによる精神的苦痛と、この半年間のモラハラに対する精神的苦痛を足し合わせますよ。それと、時間的損失、これも見落とせませんわ。17歳の半年間を私はディラン様と過ごしました。婚約適齢期を半年も無駄にしたことになりますね!」
なんだろう? もう、すらすらと言葉がでてくるのだ。立て板に水とはこのことか。モラハラと言う言葉がこの世界にあるのかは自信はないが・・・・・・
そしてディラン様との会話で慰謝料一億を請求することに成功した。早速、家庭裁判所に申し立てを申請しに行った。口約束は信用できないからね。書類も侍従にアシュレ家に持たせて、私は傷んだ毛先を切って卵でパックをした。卵の黄身だけを二個分とりだして、オリーブオイルと蜂蜜も加えた。よく混ぜてペースト状になったら髪に塗る。これは、前世の私がよくやっていた手法だった。スーパーの安売りの卵は大活躍したものだ。もちろん、白身は捨てずにおいしく食べたのよ。さて、さてシャワーキャップをしてリラックス。ついでに湯浴みもしてリフレッシュした。ゆで卵のお顔にも、久しぶりにばっちりお化粧を施した。
あぁ、解放されるって素晴らしい。髪はつやつやだし、お化粧は私を『ちょっとした美人さん』にしていた。絶世の美女ではないけれど、私はこれで満足だ。
解放された喜びと前世の記憶が戻って、勝ち気な明るいキャラの凛が半分同居している私は戻ってきたディラン様に、ぎょっとして思わずこの言葉を投げつけたのだった。
「まだ、なにかご用ですか? 慰謝料はこれ以上、ビタ一文もまけないわよっ!」
「私は、真実の愛に目覚めた。サラのような言いなりの犬などいらない。私は天真爛漫なブリアンナと婚約する」
『真実の愛』? どこかで聞いたことがあると思った。前にもこのような言葉は言われたことがあった気がした。
「俺は真実の愛に出会った。凛みたいに俺の夢がわからない超現実主義の女なんていらない。俺は天真爛漫な詩と結婚する」
ん? この頭にポワンと浮かんだ、忌々しいセリフは誰が言ったのだったかしら?えーーと・・・・・・あぁ、31にもなって『俺はミュージシャンになる! ビッグになってやるから見てろよ』が口癖の大和の言葉だ。
私は、超現実主義では決してない。ただ、31でビッグミュージシャンになるのは、どうなんだろうと思っただけだ。大和は郵便局員で、その職を辞めてバンド活動に専念すると言い出したので、諫めた私がそんなにいけなかったのだろうか?
この記憶は前世のもの? では、ここはなんの世界だろうか? 目の前にいるディラン様にピンとくるものはなく、サラ・クレアン伯爵令嬢というここでの自分の名前にも心当たりはないのだ。
かつて、日本という国で生きていた私は、漫画やネット小説をたまに読むことがあった。そこでは転生ものが流行っていて、突然主人公が今の私のように気がつくのだ。
例えば、
「はっ! この世界ってゲームの『愛と冒険のプリンセスは傾国の美女』じゃない! えぇーー、私って『傾国の美女』になっちゃったーー」
のようなことですね。そして、前世の知識を生かしてチートな存在となり、数々の試練を乗り越えゲーム設定を覆したうえでの幸せ路線突っ走りが定番だった。
ところが、今の私は残念です。『傾国の美女』ならず、ゆで卵だわ。お化粧で、なんちゃって美女に変貌できるのが、せめてもの救いか。良かったわ、この世界のメイクグッズが元いた日本とそれほど変わらなくて。
チートな能力になりそうなものもないね・・・・・・前世が医者とか薬剤師だったらこの世界の医学に貢献できただろう。デザイナーでもこの世界のドレスに変革をもたらすことができるでしょう。あとは、有名なコックなら、この世界の食生活に改革をおこし大活躍というのも定番。
しかし、ないわ。私はそのようなチート能力なしの転生者です。ただ、口だけは達者よ。私の前世の職業は『実演販売士』だった。どんなつまらない物でも私が実演すると、飛ぶように売れるテレビでも引っ張りだこの売れっ子だった。前世の記憶が戻ったと言ってもこのようなパッとしない能力でこころもとない。
このような思考が5分ほど頭の中でグルグルした後に私はディラン様に言ったのだった。
「かしこまりました。いままで、どうもありがとうございました。つきましては、そちら様の一方的な心変わりからの婚約破棄ですので、慰謝料を請求いたしますね? 私の婚約破棄を告げられたことによる精神的苦痛と、この半年間のモラハラに対する精神的苦痛を足し合わせますよ。それと、時間的損失、これも見落とせませんわ。17歳の半年間を私はディラン様と過ごしました。婚約適齢期を半年も無駄にしたことになりますね!」
なんだろう? もう、すらすらと言葉がでてくるのだ。立て板に水とはこのことか。モラハラと言う言葉がこの世界にあるのかは自信はないが・・・・・・
そしてディラン様との会話で慰謝料一億を請求することに成功した。早速、家庭裁判所に申し立てを申請しに行った。口約束は信用できないからね。書類も侍従にアシュレ家に持たせて、私は傷んだ毛先を切って卵でパックをした。卵の黄身だけを二個分とりだして、オリーブオイルと蜂蜜も加えた。よく混ぜてペースト状になったら髪に塗る。これは、前世の私がよくやっていた手法だった。スーパーの安売りの卵は大活躍したものだ。もちろん、白身は捨てずにおいしく食べたのよ。さて、さてシャワーキャップをしてリラックス。ついでに湯浴みもしてリフレッシュした。ゆで卵のお顔にも、久しぶりにばっちりお化粧を施した。
あぁ、解放されるって素晴らしい。髪はつやつやだし、お化粧は私を『ちょっとした美人さん』にしていた。絶世の美女ではないけれど、私はこれで満足だ。
解放された喜びと前世の記憶が戻って、勝ち気な明るいキャラの凛が半分同居している私は戻ってきたディラン様に、ぎょっとして思わずこの言葉を投げつけたのだった。
「まだ、なにかご用ですか? 慰謝料はこれ以上、ビタ一文もまけないわよっ!」
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