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21 中学卒業式
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私も柊君も無事に難関といわれる高校に合格した。莉子ちゃんも、シェフになるべく食物調理科のある高校に合格!
皆がにこにこと希望と夢に溢れていた。礼子さんもお祖母ちゃんも、健一叔父さんも聡子さんも、みぃーーんな喜んでくれた。
「良かったねぇ! 紬ちゃんは、もうなんでもしっかり自分でできるね」
礼子さんの言葉に照れる私だ。
ここで事件というか、重大発表がされた。
「高校が始まる前の休暇に皆で旅行に行くよぉーー!!」
礼子さんがそう宣言したのだった。
「皆って? 健一叔父さんとお祖母ちゃんだね?」
「もっとよ」
「わかった。バイトリーダーの明子さんとか弘さんとか篤さん?」
「ぶーー。いつも一緒にいて大好きなお友達はだぁれ?」
「それは莉子ちゃん。あと柊君かな」
「正解!」
「えぇーー!」
「莉子ちゃんも柊君も?」
「そうよ。皆で行くのよ!」
「すっごい!」
莉子ちゃん一家や柊君一家、健一叔父さん達もお祖母ちゃんも、皆だって言ってた。
「大型バスを借りて皆で行くのよ! 海の見えるところで美味しい物を食べて、大きなお部屋に皆で泊まろうね!」
「皆で泊まれるの? 楽しそう! 」
そんな楽しみも抱えての中学校卒業式。礼子さんは綺麗なレモン色のスーツを着て卒業式に参加してくれて・・・・・・号泣していた。
「れ、礼子さん、泣きすぎだよ」
「これが泣かずにいられるかっての! あんなに小さい赤ちゃんだったのに……」
「礼子さん、ここでぼけるのやめて」
「あっははは」
こんな場合でもジョークをいれて、泣き笑いする礼子さんが大好きだ。お祖母ちゃんまで泣いていて、私はちょっと恥ずかしかった。
父兄は式が終わったら先に帰って、私達は仲間との別れを惜しむ。
話したこともない女の子達までがわらわらとやって来て、私に色紙になにか描いてとしきりにねだってくるのだった。
「あ、あのさ、なんで私のなんてそんなにほしいの?」
「だって、将来お宝になるかもだもん。なんでもいいから、ちゃっちゃと描いてよ!」
「え?」
「こらぁーー! 紬ちゃんの色紙はタダではもらえませぇーーん! ったく、あっち行った、行ったぁーー。しっしっ!」
「あぁ、保護者莉子ちゃんきたらダメだ。いっつもガードかたかったよねぇーー。ちぇ」
「ちぇっじゃないよ。油断も隙もないんだから!」
「え? もしかして莉子ちゃんってずっと・・・・・・」
「ふふふ。もちよ! ずっと紬ちゃんに変なの寄ってこないよーに守ってきたよ! 高校は別になっちゃったけど、しっかりするんだよ! 嫌われても、嫌なことは嫌って言うのよ? わかった?」
「うん!莉子ちゃん。頑張るよ!」
そう言えば小学校の頃より中学生になってからの方が、変なこと言う子は寄ってこなかった気がする。知らないところでも、守ってくれた莉子ちゃんに感謝した。
「うふふ。皆で行く温泉旅行楽しみだねぇ?温泉ってとこが年寄りっぽいけどさ。温水プールもテニスコートもあるしボーリングもできるって」
莉子ちゃんは、はしゃぎながら微笑む。
「あ、ボーリング好きだぁ」
「楽しみだね!」
「うん!」
柊君も側に来て、旅行の話で盛り上がった。そして、中学卒業式は無事に終わったのだった。
皆がにこにこと希望と夢に溢れていた。礼子さんもお祖母ちゃんも、健一叔父さんも聡子さんも、みぃーーんな喜んでくれた。
「良かったねぇ! 紬ちゃんは、もうなんでもしっかり自分でできるね」
礼子さんの言葉に照れる私だ。
ここで事件というか、重大発表がされた。
「高校が始まる前の休暇に皆で旅行に行くよぉーー!!」
礼子さんがそう宣言したのだった。
「皆って? 健一叔父さんとお祖母ちゃんだね?」
「もっとよ」
「わかった。バイトリーダーの明子さんとか弘さんとか篤さん?」
「ぶーー。いつも一緒にいて大好きなお友達はだぁれ?」
「それは莉子ちゃん。あと柊君かな」
「正解!」
「えぇーー!」
「莉子ちゃんも柊君も?」
「そうよ。皆で行くのよ!」
「すっごい!」
莉子ちゃん一家や柊君一家、健一叔父さん達もお祖母ちゃんも、皆だって言ってた。
「大型バスを借りて皆で行くのよ! 海の見えるところで美味しい物を食べて、大きなお部屋に皆で泊まろうね!」
「皆で泊まれるの? 楽しそう! 」
そんな楽しみも抱えての中学校卒業式。礼子さんは綺麗なレモン色のスーツを着て卒業式に参加してくれて・・・・・・号泣していた。
「れ、礼子さん、泣きすぎだよ」
「これが泣かずにいられるかっての! あんなに小さい赤ちゃんだったのに……」
「礼子さん、ここでぼけるのやめて」
「あっははは」
こんな場合でもジョークをいれて、泣き笑いする礼子さんが大好きだ。お祖母ちゃんまで泣いていて、私はちょっと恥ずかしかった。
父兄は式が終わったら先に帰って、私達は仲間との別れを惜しむ。
話したこともない女の子達までがわらわらとやって来て、私に色紙になにか描いてとしきりにねだってくるのだった。
「あ、あのさ、なんで私のなんてそんなにほしいの?」
「だって、将来お宝になるかもだもん。なんでもいいから、ちゃっちゃと描いてよ!」
「え?」
「こらぁーー! 紬ちゃんの色紙はタダではもらえませぇーーん! ったく、あっち行った、行ったぁーー。しっしっ!」
「あぁ、保護者莉子ちゃんきたらダメだ。いっつもガードかたかったよねぇーー。ちぇ」
「ちぇっじゃないよ。油断も隙もないんだから!」
「え? もしかして莉子ちゃんってずっと・・・・・・」
「ふふふ。もちよ! ずっと紬ちゃんに変なの寄ってこないよーに守ってきたよ! 高校は別になっちゃったけど、しっかりするんだよ! 嫌われても、嫌なことは嫌って言うのよ? わかった?」
「うん!莉子ちゃん。頑張るよ!」
そう言えば小学校の頃より中学生になってからの方が、変なこと言う子は寄ってこなかった気がする。知らないところでも、守ってくれた莉子ちゃんに感謝した。
「うふふ。皆で行く温泉旅行楽しみだねぇ?温泉ってとこが年寄りっぽいけどさ。温水プールもテニスコートもあるしボーリングもできるって」
莉子ちゃんは、はしゃぎながら微笑む。
「あ、ボーリング好きだぁ」
「楽しみだね!」
「うん!」
柊君も側に来て、旅行の話で盛り上がった。そして、中学卒業式は無事に終わったのだった。
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