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12 ベタな嫌がらせで転ぶ紬ちゃん
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朝になって少しだけ憂鬱な私はため息をつきそうになるのをぐっと我慢した。礼子さんに余計な心配をかけちゃいけない……よね?
「おはよう! 紬ちゃん、よく眠れた?」
「う、うん。まぁ、まぁです……」
私は曖昧に答えると学校に向かう。朝のキラキラした光も透き通った湖の美しさも、いつもなら楽しい気分で眺めるけれど今日はテンション低め。
「おっはよーー! 紬ちゃん!」
教室に入ると、にこにこと笑いかけてくる莉子ちゃんと咲良さんに、ほっとして挨拶をかえす。山口咲良さんは、莉子ちゃんの仲良しでふっくらしたエクボがかわいい女の子だ。
そして、背後から、
「紬ちゃん! おはよー! その髪留め、可愛いね。どこで買ったの? やっぱり『レイコ・ササキ』がお母さんだから、このへんで買ったんじゃないよねぇ? もしかして外国で買ったとか? レイコさんってよくパリに行くんでしょう?」
ひときわ、大きな声で私に声をかけてきたのが、芽依さんだ。なぜ、それほど礼子さんのことを話題にしたがるのか理解できない。
今日もなにも言い返せないでいると、莉子ちゃんがイライラしながら私を引っ張った。
「んもう、なんか言い返さないとダメだってば! 言われっぱなしは、他の子も助長させてからかう人が増えちゃうよ」
そう言ってぷんと頬を膨らませる莉子ちゃんに、下を向いてうなづき『ごめんね』と言った。
柊君が登校してくると私と莉子ちゃんの方に、ニコニコとやって来ておしゃべりをしだす。
その途端に芽依さんが媚びた表情で来て、ものすごーーく良い笑顔で柊君の話にうなづいていた。
❦ஐ*:.٭ ٭:.*ஐೄ❦ஐ*:.٭ ٭:.*ஐೄ
お昼になってまた事件は起きた。芽依さんの横を通る時に、給食を持つ私の足を芽依さんは一瞬だけ足でひっかけたのだ。
ベタな嫌がらせで思わず驚く私は、給食の中身をこぼしそれは芽依さんの服も汚したのだった。
「大丈夫? ほら、よそ見をしながら運ぶからよ! あ、でも全然気にしないで! こんなのほんの少しだけかかっただけだから。カレースープはシミなっちゃうかもしれないけど私は怒ってないよ」
芽依ちゃんの言葉に、同じ班の男の子は私を睨んだ。
「ねぇ、佐々木さんって芽依ちゃんに、なんでそんなに意地悪するのかな? さっきのわざと転んだよね?」
冷たい声で言い、私に詰め寄ってきたのだった。
「おはよう! 紬ちゃん、よく眠れた?」
「う、うん。まぁ、まぁです……」
私は曖昧に答えると学校に向かう。朝のキラキラした光も透き通った湖の美しさも、いつもなら楽しい気分で眺めるけれど今日はテンション低め。
「おっはよーー! 紬ちゃん!」
教室に入ると、にこにこと笑いかけてくる莉子ちゃんと咲良さんに、ほっとして挨拶をかえす。山口咲良さんは、莉子ちゃんの仲良しでふっくらしたエクボがかわいい女の子だ。
そして、背後から、
「紬ちゃん! おはよー! その髪留め、可愛いね。どこで買ったの? やっぱり『レイコ・ササキ』がお母さんだから、このへんで買ったんじゃないよねぇ? もしかして外国で買ったとか? レイコさんってよくパリに行くんでしょう?」
ひときわ、大きな声で私に声をかけてきたのが、芽依さんだ。なぜ、それほど礼子さんのことを話題にしたがるのか理解できない。
今日もなにも言い返せないでいると、莉子ちゃんがイライラしながら私を引っ張った。
「んもう、なんか言い返さないとダメだってば! 言われっぱなしは、他の子も助長させてからかう人が増えちゃうよ」
そう言ってぷんと頬を膨らませる莉子ちゃんに、下を向いてうなづき『ごめんね』と言った。
柊君が登校してくると私と莉子ちゃんの方に、ニコニコとやって来ておしゃべりをしだす。
その途端に芽依さんが媚びた表情で来て、ものすごーーく良い笑顔で柊君の話にうなづいていた。
❦ஐ*:.٭ ٭:.*ஐೄ❦ஐ*:.٭ ٭:.*ஐೄ
お昼になってまた事件は起きた。芽依さんの横を通る時に、給食を持つ私の足を芽依さんは一瞬だけ足でひっかけたのだ。
ベタな嫌がらせで思わず驚く私は、給食の中身をこぼしそれは芽依さんの服も汚したのだった。
「大丈夫? ほら、よそ見をしながら運ぶからよ! あ、でも全然気にしないで! こんなのほんの少しだけかかっただけだから。カレースープはシミなっちゃうかもしれないけど私は怒ってないよ」
芽依ちゃんの言葉に、同じ班の男の子は私を睨んだ。
「ねぇ、佐々木さんって芽依ちゃんに、なんでそんなに意地悪するのかな? さっきのわざと転んだよね?」
冷たい声で言い、私に詰め寄ってきたのだった。
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